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森勝蔵長可 転生者は家族を守りたいが為、狂い笑う。  作者: 確かな嘘
第5章 生き残りをかけて
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孫一と照算

鈴木孫一さんの話です。裏話です。

儂は鈴木孫一だ。

最近は根来の津田監物とも上手くやっている。


根来とは先代の監物に頼みごとをしたので、それなりだったが。

今代はまぁ困り事を上手くやってくれたからな。


その困りごとが娘だ。照姫というのだが。

こやつは小さい頃からお転婆で困っておった。

ついには、

銃を習い、儂の後を継ぐとか。

自分は男として生きるとか。

できるはずがなかろう。


しょうがないので、銃は教えた。

でも、困ったことに、銃の腕前が儂と同等の才能だ。

息子の鈴木重秀に孫市は任せるとしているのだが、あやつよりも良いのだ。


家督で揉めるかもな。しかも娘は側室の子だ。

うーん、困った。ということで、先代の津田監物に相談し、養子にしてもらい男として育てた。

重秀が怪我したので、あやつに戻ってこいというと、拒否された。


重秀は重秀で、怪我は嘘で、あやつに危険な仕事させて、亡き者にしようとしたようじゃ。

それに気づいた時には、あやつが家出をしとった。

それで、監物にどこかの力のある家に勤めさせられぬかと相談した。


主人が森勝蔵長可ということだ。


会いたかったがのぉ、よりにもよってあの笑う死神、死を呼ぶ閻魔様だ。

儂のあやつへの罪かのぉ。


本願寺から再三、あの死神を撃てとかくるが、あやつのことを考えるとのぉ。

父親としては何もしてやれておらんから、せめてこの依頼は無視しよう。


顕如が来よった。

「やっこさんも、繁盛してまっか?」

こいつ坊主のくせに、どうも商売人のようだ。

金もたんまり貯めているようだ。


「そんな顔なさんなや、あの件をどうしてもしてはらないと聞いてなぁ。儂直々に頼みに来よったんや。」

「無理だ」

「あんたさんが出来ずなんて、あんなガキでっせ。」

「無理だ」


「そうでっか、子供は可愛いでしゃっろな。」

「むっ」

「重秀さんに頼みまっしゃろ。」

「お前とは縁を切る。」


「ほう、うちの金なしにそちらはん、回るんですか?」

痛いところをついてくる。

根来は顧客が広いが、うちは一向宗だけだ。どうする。

「構わん」

そう答えてしまった。くそ。


顕如が帰ると、変な客が来た。

竹中半兵衛だ。

こいつ、雑賀に2人で来よった。


「顕如さんあたりから、勝蔵様の依頼でも受けてますかね?」

くっ、わかって言ってるな。儂の痛いところを。

「そうですか、ではこいういうのは。

どうせ断ったら、顧客がいなくなるのですから織田が顧客になる。

そうすれば、娘さんにも会える。雑賀は救われる。亡びる必要もない。」


ははは、こいつ凄いこと言いやがった。

今まで一向宗に与していた儂らを抱え込むのか?


「ただ、信仰は捨ててもらいます。一向宗以外なら構いません。」


「父上」

「重秀、もう顕如とはやっていけん。それどころかあやつらは滅亡する。ならば、織田とうまくやるしかない。お前も覚悟しろ。雑賀を潰すか、織田につくか?」

「うっ」


「覚悟出来ぬなら、お前に孫市はやらん。石山にでもいけ。」

「はっ、わかりました。織田につくことを納得しました。」


それでいい。時流は乗らんといかん。

本願寺は誇りで乗らなかった。比叡山も朝倉も、三好も、近衛も、斎藤も。

その辺、浅井の若は見所がある。

もちろん、あの勝蔵という男は特にな。

あの男は時流に乗るのではなく、時流を作る男だ。


会いに行くか。


「入るぞ。お前が勝蔵か。デカイがガキだな。」

「まぁ、まだ10歳ですからね。普通だったら元服前でしょう。織田は人手不足で」

「ふん。お前の部下がすでに、どこぞの大名より立派だ。、それより照算は?」

「はて、誰でしょう?」


(こやつ、儂の殺気を物ともせず、それも警戒しとらん。バカか大物か。というか彼奴はあの時、竹中の従者のフリか。うっ、大物だ。それにさっきより他のところに銃の殺気と勝蔵というガキの殺気が。うん!?そういうことか甲賀のジジイか。隠れて殺すのが上手いやつだがバレたら、しょうがないだろう。出てくればよかろうに。)


(しかし照め、上手いこと牽制しておる。いい腕になったのう。いい主人を持ったようだ。そうか、儂の判断は何も間違っておらぬ。神も見ててくれたか。)



43話大物登場②の裏話を描いてみました。ちょっと楽しんでいただければ。

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