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 レイカが操作する主人公が草原を歩きながら、東へと進んでいく。道中でモンスターが出現することはなかった。


 しばらくすると、鬱蒼とした森が見えてくる。


:森だ!

:あそこに最初のボスがいるぞ!

:誰かいる!


 森の入り口には、無精髭を生やした中年男性が立っていた。緑色の鎧を着ていて、腰にロングソードを下げている。


 近づいていくと、自動的に会話が発生する。


「旅人か。俺の名はディート。よろしくな」


 ディートと名乗った男性は、フッと気取った笑みを見せてくる。


:またおっさんかwww

:おっさんばっかだなwwww

:今度はクール系のおじさんwww

:もういきなり攻撃するんじゃないぞwwww


「ブルーさんのときは、装備がほしくて仕方なく攻撃したまでです。そんな誰でも彼でも見境なく攻撃をしかけたりはしませんよ」


 ここでディートと敵対する意思はないと、視聴者たちに伝えて安心させておく。


 レイカはモニターを見ながら、ディートとの会話を進めていった。


「ところであんた、ブルーって男を知ってるか? 俺の親友なんだが」


:え?

:ちょっ!

:親友!

:さっきレイカちゃんが手にかけちゃったけど!


 ディートの発言を聞くと、コメ欄が色めき立つ。みんなドキリとしたようだ。


 そしてゲーム画面には、『イエス』と『ノー』の選択肢が出てきた。


「そんな人は知りませんね」


 レイカは迷わず『ノー』を選ぶ。


:こらぁwwww

:ウソついたwww

:小林さんがウソついたぞwww

:ブルー? 誰だっけそれ?

:俺も知らないな(すっとぼけ)

:たぶん会ったことない人だな(断言)

:レイカさんのファンが必死に庇おうとしてて草

:ぜんぜん庇いきれてないがwwww


「知らないほうが、幸せな真実というものが、この世にはあります。わたしはディートさんを悲しませたくはありません」


 レイカはカメラから目をそらしながら、なんかいい感じに言い訳をする。


:真実を知られて不都合なのはアナタでしょwww

:なんというおためごかしwwww

:ディートさんを悲しませないように気づかって、レイカさんはやさしいなぁ(棒読み)


 レイカが『ノー』を選択すると、ディートは「そうか……」と短い返事をする。


「ところでアンタ、この森を一人で抜けるつもりか? そりゃ無謀ってもんだ。俺でよければ力を貸すが?」


 また画面に『イエス』と『ノー』の選択肢が表示される。


「ディートさんが協力してくれるのは助かりますね。これで多少は楽に進めます」


 レイカは口元をほころばせながら、『イエス』を選択する。

 

「あぁ。アンタについていこう」


 ディートはフッと笑ってきた。


 画面には『ディートが仲間になった』と表示される。


:親友殺しといて仲間にしたぞwwww

:倫理観バグってるなwww

:ディートさん、親友を殺したのはソイツですよwwww

:うちの娘がゲーム内でもトンデモないことしてる……(お父さん)

:異世界やダンジョンの映像だけでも大変なのに、お父さんゲーム配信でもダメージを受けてるwww

:まさかこんなゲーム配信になるだなんて、お父さんも思ってなかっただろうなwww


 ディートを仲間にすると、森のなかへと踏み込んでいった。


 二人で木立に囲まれた道を進んでいくと、前方にモンスターを発見する。


 つりあがった目つきにワシ鼻。大きな口は頬まで裂けていて、小柄な身体は緑色に染まっている。


 ゲームなどで、よく見かけるモンスターだ。


:ゴブリンだ!

:スライムの次はゴブリンか!

:こいつも定番と言えば定番だな!


 主人公とディートが近づいていくと、ゴブリンは「キキキキッ!」と叫んだ。スライムよりも素早い動きで走り出して、殴りかかってくる。


 レイカはガードボタンを押す。主人公は両手で持っている大剣を構えつつ、防御の姿勢を取って、ゴブリンの攻撃を受け止めた。


:ガード!

:大剣で防御してる!

:もしかして大剣はガードできるのか?


「その通りです。大剣のような大型武器は盾としても使うことができます。とはいえ、完全にダメージを防ぐことはできませんけどね。それでも今は鎧を装備しているので、ガードさえすればゴブリンの攻撃で深刻なダメージを受けることはありません」


 主人公がゴブリンの攻撃を引きつけていると、側面に回りこんだディートがロングソードで斬りかかる。ゴブリンは「グギャ!」と声をあげて弾き飛ばされた。


「仲間もいますから、戦闘が格段に楽になりましたね」


 主人公をゴブリンのもとに近づけていき、大剣を叩きつける。ゴブリンが反撃してくるが、ローリングでかわして更に大剣で斬りつけた。


 ディートの協力もあったので、すぐにゴブリンを撃破する。


「やっぱりちゃんとした装備があると戦いやすいです。それにまたレベルアップしました」


 鐘の音が鳴って、レベルアップを知らせてくる。筋力と体力を中心にステータスが向上した。


:ここ剣と鎧がないとキツイからな!

:ディートを仲間にしそびれると、やり直しが効かないから仲間にしとくのがオススメ!

:レイカさまはゲームを効率よく進めるために正しい選択をしてるんだろうけど、ヒトとしてはまちがってるwww


 それからディートと協力しながら出現するゴブリンを倒していき、森のなかを進んでいった。何度か鐘の音が鳴って、レベルアップする。




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― 新着の感想 ―
親友から剥ぎ取った装備でそれを言う!? すげぇ、面の皮がチタンで出来てそうだ
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