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学校一の美少女が日々キスを求めてくるんだが  作者: 早瀬 渚
寒さが深まっていく季節

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イブの夜

 空を見上げると、すっかり帳がおりており半月が主役に躍り出ていた。わずかに見える星々も自分が主役だと言わんばかりに鋭く輝いている。


「綺麗だね!」


 隣にいる雫川が満面の笑みで、声を張り上げる。


 ただ、彼女が見ているのは上にある夜空ではなく、横だ。


 そこにはキラキラとしたイルミネーションで彩られた木々たちが並んでおり、夜空より強い光で自分たちの目を奪っていた。


「そうだな。」


「もう!泰輔君、いつもとテンション変わらなすぎ!舞踏会くらいはしゃがないと!」


 言いながら、雫川は俺の前にでて軽く来るっと回る。


 制服のジャンパースカートがひらっと舞い、ベージュのタイツ越しではあるが透き通った太ももが少しだけ露になる。


 ドキッとした俺は目をそらしながら、ボソッと呟いた。


「それしたら、多分このあと俺楽しめなくなっちゃう……。」


 恐らく恥ずかしさで死にたくなってしまい、イルミネーションどころじゃなくなってしまうだろう。


「まあ、それはそうかもね。……でも、もうちょっとテンション上げてもいいんじゃない?」


 雫川は言ってこちらを覗き込んでくる。長くさらさらとした黒髪は垂直に落ち、少し丸く大きな瞳がこちらを捉えて離さない。


「……そうだな。……いぇい。」


 彼女の圧に負け本来の自分では絶対にしない言動をしてしまった。


「……ピースしただけじゃん。」


 ただ、それではご満足いただけなかったようで雫川が少し拗ねてしまった。


 俺的にはかなり勇気出してダブルピースしたんだけどな……。


「あ!見てみて、あれ虹色にずっと色が変わってるよ!」


「……確かに、すごいな。」


 そこにあったのは周りの木々より二回りくらい大きな大木で、くくりつけられているイルミネーションが虹色のグラデーションのように絶え間なく変化していた。


 ……綺麗だな。


「……泰輔くんが珍しく素直に褒めてる。」


 隣にいる雫川が驚いた声を上げていた。


「え?俺、そんな印象?結構素直に褒めてるつもりなんだけどな。」


「いや、いつもはお世辞で言ってる感じだけど、100%本心って感じがした。」


「……そう?」


 確かに、無意識のうちに口からポロッと出ていた気がする。


……見破られるのは少し照れくさいな。

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