表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この万年筆で、私の人生を取り戻す ―父が見捨てた工房から始まる領地再建記―  作者: しぃ太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/14

エピローグ


「お嬢さん、一生のお願いです」


 その日、いきなりフィンに頭を下げられた。

 私とノアは顔を見合わせる。


「どうしたの?工房で問題が?」


 少し不穏な想像をしてしまい、ゆっくりと聞いた。


「いいえ……。でも、俺、字に自信なくて……。でも、この万年筆をあげたい女の子がいて……」

「……ああ、あの時の!」


 その言葉にピンときた。

 フィンが以前、万年筆を『言葉を作ってあげている』と自覚した、あの、言葉が話せない少女の事だ。


「普段はすぐに行動するのに。怖気づいたの?」

「……!違います……。でも。いや、そうなのかな……」


 ぎこちない返事に、彼の誠意が伝わる。

 きっと色々と葛藤もあるのだろう。


 ――言葉が伝えられない少女が、さらに文字まで書けない可能性が、フィンを躊躇わせている。


「文字が書けないかもしれないと、心配しているの?ふふ。大丈夫。私の補佐官はとても綺麗な字よ。ついでにあなたも習い直したら?」


 茶化してから、少しだけ真面目に言ってみる。


「きっと無駄にならない。ここに、無駄なものなんて一つもないのよ」


 ◇◇◇


 フィンは少し照れくさそうに、万年筆を差し出した。

 女の子は戸惑いながら、それを両手で受け取る。


 ノアが静かに紙を置き、椅子を引いた。

「まずは、この線からです」


 女の子の手が震えながら、紙の上をなぞる。

 ぎこちない線だったが、確かに『文字』だった。


 フィンは息を呑んで、それを見つめている。


 私は少し離れた場所で、その光景を眺めていた。


 ――これでいい。


 誰かの声が、また一つ、世界に生まれたのだから。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

もし物語を楽しんでいただけましたら、

評価やブックマークで応援していただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ