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【-完結-連載版】今年5歳になる愛娘が家出JKを拾ってきたが、飼うことは出来ないので通い妻にしてみた。  作者: 棘 瑞貴


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第28話 後輩は幸せそうだった。


「それじゃ皆今日も来てくれてありがとね~!ほなまた!」


 1時間にも満たない僅かな時間、俺達2人に向けられたカメラやマイクのスイッチを江本は優しく切っていく。


「つ、疲れた……!!」

「おつかれいパピー」

「うぃ~……」


 江本家の高そうなテーブルの上でうなだれる俺をパタパタとひなのがうちわで扇いでくれている。


 だがそれもほんの少しの間で、俺の冷や汗が収まるや江本が持つ最新ゲームをしに行ってしまった。


 結局強引に江本の配信にお手伝いとして参加した訳だが、これが想像以上にきつかった。


 何がきついって、コメント欄が優しすぎて逆にしんどいの!!


 今日の配信内容はただの雑談配信で、上がってくるスパチャコメントを読み上げるのが俺の仕事だった。


 本来であれば江本に読んで貰う為にわざわざ金を払ってるんだろうに……

 噛み倒すし、スムーズに進行出来んしで足引っ張りまくりでマジで申し訳ない。


 ただ視聴者は逆にそれを面白がってか、俺に応援コメントが届くという謎のスパイラル。

 世間様に醜態晒してしまった……


 それにしてもコメント、か。

 そう言えば──


「先輩っ!おつかれっす!」

「……恨むぞ江本ぉ……」


 俺の肩をぽん、と叩いて労ってくれるのは嬉しい。が、しかし睨んでしまうのは仕方ないよな。


「いやー思ったより先輩ガチガチでびっくりしましたよ。ウケる」

「初心者を笑うな。もう二度とごめんだ」

「元気出せパピー。じぇーけーよりはきしょくなかったぞ」

「……あんま喜べんな」


 「はぁ~~~……」と、深くため息を吐いた俺の隣に江本が座る。


「でも良い経験だったでしょ。少しは"MiyaBi"の気持ちが分かったんじゃないですか?」

「! お前……その為に……?」

「私はただ先輩と一緒に配信したかっただけですけどね」

「……そうか」


 素直じゃないやつだ。

 だが江本の言う通り本当に良い経験だったかもな。


 それに……


「佐々倉さん、見てくれてたかな……」

「この前のJKがどうかしたんですか?」

「!! な、なんでもない」

「……」


 すげぇジト目を向けられてる……


 いやまぁ本当別に隠すこっちゃ無いんだけどさ。

 逆にペラペラ喋る事でもないしなぁ。


 江本も江本で"MiyaBi"を良く思ってないっぽいし。


 俺が唸りながらどうするべきか悩んでいると、江本が俺の頬をつつく。


「何度も言うようですが、あまり未成年に入れ込んじゃ駄目ですよ。マジで」

「……まぁそうなんだがそうもいかなくってな」

「……ふーん。今度は否定しない、か」

「江本?」


 江本は急に立ち上がり、1枚の用紙を持ってきた。


「先輩、これあげます」

「ん?これは……」

「先輩が今日うちに来てくれたお礼ですよ」


 彼女が俺に見せてくれた用紙には、俺が佐々倉・母と戦う為に欲しかったものが記載されていた。


「良いのか、これ」

「敵に塩を送るみたいで嫌ですが、私の推し(・・)の手助けはしたいですからね」

「……?」

「それをあげる代わりに一つ約束して下さい」


 江本は後ろ手を組み、優しく微笑んでいる。

 ここまでされちゃ俺に出来る事は全部やらないとな。


 だから俺はこう答えた。


「おう。何でも言ってくれ」


 茶色の長い髪で顔を少し隠す美しい後輩は、頬を真っ赤にして恥ずかしそうに告げる。


「……わ、私の事……な、名前で、呼んで欲しい、です……!」


 数瞬の間、俺は固まってしまった。


 気恥ずかしそうにしている彼女があまりにも可愛らしくて、面白くて。


「ちょ、ちょっと!何とか言って下さいよ先輩!!」


 思わずポカーンとしている俺の肩を揺さぶる彼女は耳までもを赤く染めている。


 ……ったく、本当に可愛い後輩だよ。


「悪い悪い、まさかそんなお願いだと思わなくって」

「も、もう……嫌なら呼ばなくて良いですよばか!」

「嫌だなんて言ってねーだろ?あ、それよりひなの!そろそろ帰るぞ!」

「ん?あいさ!!」


 俺は広いリビングでゲームを遊んでいたひなのを呼びつけた。


 ひなのはすぐにゲームを手放し俺の元へやって来る。

 本当はもっとやりたかったろうに、今度買ってやるか。


 俺達がそうして帰り支度を始めると、江本が俺の腕を掴んだ。


「え、ちょ、もう帰るんですか!?泊まってって下さいよ!!」

「いや、さすがにそういう訳にはいかないって。お前さえ良ければまた遊びに来るからさ」

「ひなもまた来たいぞ!!」

「……や、約束ですよ。来なかったら拗ねますから」

「拗ねんなよ。強かなお前はどこに行ったんだ?」

「し、知りませんっ」


 やれやれ……


 俺とひなのは玄関へ向かい、ノブに手を掛けて江本の方へと振り向いた。


「じゃあ今日はありがとう。またな()

「……!」


 江本は──静は、一瞬驚いた顔をした後、満面の笑みで俺達を見送った。


「はいっ、諒太先輩!」


 俺も笑顔を返し、玄関を出た。


 ドアの間からいつまでも手を振っている静に、ひなのもぶんぶんと両手を振った。


「じゃなー天才様ーー!」

「ふふ、またおいでひなひな!」


 お前らあんまマンションの廊下で騒ぐなよな。全く……


 まぁ口にはしなかったけどな。

 今日くらいは許して下さいご近所様。


 だって俺の大事な後輩が凄く幸せそうな顔をしているから──

お読み下さりありがとうございます!


お待たせしてすみません!

活動報告にも残り話数など書いておきましたのでお目通し願えれば幸いですm(_ _)m

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