第23話 決意した。
あかりの手紙を読み終えた俺はしばらくの間動けずに居た。
涙が手紙に付かないようにするのに必死で、止めようと思えば思う程溢れて来るんだ。
これはもう一度あかりの存在を感じられた幸せから来る涙だからきっと許してくれる。
「……大体、なぁ……!!」
こんなの見せられて泣かないわけがないんだよ……!!
「あかり……!ぁあっ……あか、りっ……!!」
俺だってずっと愛してる。
何年経ったってこの想いが欠ける事は少しもない。
未来永劫俺はあかりを愛してる。
それにな、お前に泣き止めなんて言われたくないんだよ。
涙で文字が滲みまくってんだよばーか。
結局、これは天国からの手紙だったのか。
その答えは手紙の中のあかりと、便箋の中に入っていた小さなメモが否定してくれた。
便箋の中にはひなのへのもう一枚の手紙。
そして"中身は見ていません。ベッド裏に隠してあったの落ちていたので少しだけ分かりやすい位置に直します。絶対見付けてあげて下さいね"と書かれたメモ。
間違いない、佐々倉さんの仕業だろう。
彼女がこの部屋で過ごした時間は少なくない。
配信にあたって整備をしていた時に見付けたんだろう。
なんだ……あかりの予想通りじゃないか。
この手紙を見付けたのは佐々倉さんだったんだ。
俺一人じゃ絶対見付けられなかった。
……こりゃ、2発殴られる覚悟が必要だな。
ったく……なんの因果か……
あかりそっくりの女の子があかりの遺した最後のメッセージを俺に託し、その彼女はあかりと同じように俺の元から離れた。
だけど、あかりとは一つだけ違う点がある。
佐々倉さんはまだ守ってやる事が出来る。
俺は……まだ彼女と関わるべきなのだろうか。
疑念は晴れない。
けれど。
俺には叶えるべきあかりからの"ワガママ"がある。
俺は仏壇の遺影を元の場所に戻し、涙を拭いた。
「あかり……俺、見付けたよ。守りたい女の子ってやつ。まだひなののお母さんになる相手って訳じゃないけどさ。でも、今度こそ後悔しないようにやってみるよ」
だから……
「だからさ……あかり……!俺の方こそありがとうな……!全部、全部お前が居たから今日まで来れたんだ……!もう、俺の事は心配しないで良いからなっ……ひなのの事は任せろ!世界一幸せな女にしてやるから!!あかり……愛してる、あかり……!!」
俺は再び大粒の涙を流して仏壇を見た。
遺影を戻しながら、同時に手紙もその裏に置き、止むことのない涙をせき止める。
こんな状態じゃひなのの所に戻れないからな。
「……ふぅーー……」
深く息を吸い込んでまだ止まらない涙を押し込める。
いい加減泣き止まないとあかりに怒られる。
俺はそっと立ち上がり、あかりの部屋を後にした。
寝室に戻りすやすや寝ているひなのの隣に寝転ぶと、ひなのの寝言が聞こえてくる。
「マミィ……だっこ……」
「……!」
俺はこの子があかりの事を覚えているのが心の底から嬉しい。
だがきっと成長していくに連れてその記憶は薄れて行く事だろう。
仕方のない事なんだ。
けれど決して全て消えて無くなったりはしない。
うっすらと、けれど確かにひなのの中にあかりは居続けるだろうし、大きくなったらあの手紙を見せてやらなきゃならない。
また色濃くひなのの中にあかりが蘇ってくれる事だろう。
俺だってじいさんになっていずれ全ての事があやふやになるかも知れない。
けれどひなのが生きている事、それ自体があかりが居た証明であり、物理的な記憶なんてものに意味はないんだ。
大事な事はいつだって心の中にある。
佐々倉さん、全部君がうちに来てくれたから気付けた事だ。
やっぱり君は俺にとってなくてはならない存在だよ。
勝手に居なくなって貰っては困る。
君は俺の"通い妻"なんだから。
俺は目を瞑ると先程と違いすぐ眠りにつく事が出来た。
長かった夜が明ける──
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