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薬草少女は今日も世界を廻す  作者: るなどる
第3節
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35.魔獣討伐作戦会議 前編

「うん、もう大丈夫」


 どのくらいの時間が経ったのか分からないが、気持ちがだいぶ落ち着いてきた。

 窓の外からは通りを行く人々の声が入ってくる。


「本当に?本当に大丈夫?」

「本当に大丈夫だよ。ほらっ」


 両腕の肘を曲げて、”大丈夫だぞっ”というポーズをしてみせる。


「良かった~。あのままだったらどうしようかと思っちゃったよ~」

「ごめんね、また心配かけちゃった」

「そうだよっ!もー、あんまり心配ばっかり掛けてたら、私もおかしくなっちゃうよ~!ぷんぷん!」

「ごめんごめん。もうちょっと気を付けます、ミラ先生」

「せんせー?」


 あ、思わず先生とか付けてしまった!

 なにか誤魔化さないと。えーと、えーと・・・


「ナンデモナイ、ナンデモナイ。キノセー、キノセー」

「ふーん?ま、いいけど~」


 かなり不自然なくらいにカタコトになってしまった。

 うーん、我ながら演技力の無さに呆れてしまう。

 ポーカーフェイスとか、少し勉強して身に付けないとなぁ。


「落ち着いたんだったら、ブレンダさんたち呼んでくるけど大丈夫?」

「うん、お願い」

「リアはここで待っててね~」


 そういえば、魔獣の話をしている途中だった。

 あの声、私なら出来るとか言ってたよね。

 誰も犠牲にしない方法があるんじゃないのかな?


「呼んできたよ~」

「うん、落ち着いたみたいだね」

「体の方は大丈夫ですか?これ、気持ちが落ち着くお茶です」

「ありがとうございます。皆さんにご心配かけました」


 エリスさんからカップを受け取って一口飲む。

 鼻から抜ける爽やかな草原の香り。そしてほんのりと甘い。

 砂糖でも入っているのかな?

 甘さと香りと温かさが相成って、気分がとても落ち着いていく。

 気が付けば、カップの中は空っぽになっていた。


「いかがでしたか、ギルド特製の薬草蜂蜜茶は?」

「はい、とても美味しかったです・・って蜂蜜?!」

「はい、蜂蜜が入っています」


 蜂蜜と言えば砂糖の数倍の値段で取引されるとか聞いたことがあるだけど?!

 私も蜂蜜を味わうのは人生でこれが初めてだ。

 むぅ、薬草の苦みがうまい具合に蜂蜜の甘さで包まれていて飲みやすい。

 これ、ジャムにした時よりもこっちの方が美味しいんじゃないのかな?

 あとでレシピを教えてもらおう。


「あのー、そんなのもらって良かったんですか?」

「ええ、上流階級向けの商品開発の試供品ですから」

「はぁ、試供品ですか」


 なるほど、確かに上流階級の人ならお金をかけてでも良い物を欲しがるのは当然だ。

 こういうものが広がれば、薬草の扱いもかなり改善される気がするかも!

 うん、薬草にも光が見えてきたっ!


「さて、リアも落ち着いたみたいだし、話し合いの続きでもしようか」

「はい」

「で、犠牲無しに何とか出来るかという話からだったな。それについて何か考えでもあるのか?」

「何とか出来る・・・とは思うんです」

「出来ると思う、とはなんとも曖昧な。それでは答えになっていないぞ?」

「いえ、まあそうなんですけど」


 何とか出来ると言った矢先に、する回答では無いというのは分かっている。

 でも、方法が思いつかない。

 うーん・・・って、アレ?何かが引っ掛かっている。

 何だっけ・・・あの時、門の前で冒険者が言っていた話。

 えーと、えーと・・・確か『中級冒険者のパーティーでもやっと太刀打ちできるかどうか』って言ってたなぁ。

 あ、そうか!アレを()()()()()()()っていうことだ!

 ということは、何か攻略のコツがあるのかもしれない!


「あのー、魔獣について詳しく知っている人っていませんか?」

「魔獣についてか?それなら冒険者ギルドに聞くのが一番じゃないのか?」

「情報収集って事かな~?」

「うん、うまくいけば何か対策法が見つかるかも!」

「ふむ、確かに一理ありそうだな。しかし手持ちのコマで対応できるかは分からないぞ?」

「それでも方法があるなら賭けてみたいです」

「まあ、正直できることは少ないからな。よし、二人は冒険者ギルドに話を聞きに行ってくれ。私たちは可能な限り準備をしておく」

「はい、行ってきます!」


 時間は少ない、戦力も限られている。

 これから聞きに行く情報もどこまで使えるかは分からない。

 でも、何もしないで後悔するのだけは絶対にイヤ!

 必ずこの状況を何とかするんだっ!


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