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卯月六日
大雨で 桜が散りゆく 哀しさや
この季節に、大雨というのは止めてもらいたい。
せっかく咲いた桜が、散っていってしまうから。
一年を掛けて輝くばかりに咲き誇るその花を、自ら望むときに散らせずして、雨の力により散らせてしまうというのは、あまりに哀しいではないか。
家の中でそれを眺めている僕は、そうしたら、一体何になるのだろう。
救うこともできず、ただその哀しくも美しいさまを、観賞している僕は何になるのだろう。
哀しさを美と繋げている僕は、咲き誇る花たちにとって、何になっているのだろうか?
これを美しさと詠んでしまったら、僕は、桜を裏切ることになっている。
散らされる花たちの虚しい夢こそを、望んでしまっているのだから。
どの桜をも、慈しんでいるくせして、散り際こそを美としてしまっているのだから。




