弥生三十一日
今日きりで 二人の道は ばらばらに
本当に最後の日だね。
卒業式も悲しかったけれど、なんだかんだいって、まだ学校で会える日が残っていたから。泣いてはしまったけれど、あれはあくまでも、あのムードに別れを感じてしまっただけだし。
それでも今日は本当の本当に最後なのだ。
今日きりで同じ学校に通っているという、その肩書さえも失ってしまい、僕と君との接点はないものになってしまう。
完全に二人の道はばらばらになってしまうのだ。
僕は僕で、君は君で、自分自身で選んだ道なのだから、選択を後悔するつもりはない。
けれども別れというものは大きくて、どれほどまでに、僕にとって君という人が大きなものになっていたかを知る。
大切だから悲しくて、悲しいからこそ大切さを知る。
こんなのはあまりにも哀しいと思う。
「またね」
「うん、またね」
いつものように手を振って、笑顔で別れるけれど、これが最後だと思うと、君に背を向けた途端に涙が溢れてきた。
この状態じゃ、名残惜しさに振り向くこともできないや。
振り向かない僕のこと、どう思っているのかな?
情けない? 冷たい? 男らしい?
正解は情けなさなのだけれど、潔いとか思ってくれたら嬉しいかな、なんて。




