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365個の物語  作者: ひなた
如月 冬の恋は一方通行のようでもあり、……だけど重なっている。
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如月一日

  抱き寄せた 腕に温もり 見つからず

      徐にただ 雪を掘る日に


 どこにいるの。どうして会ってくれないの。

 もしかして僕のこと、嫌いになっちゃったの……?

 嫌だよ。

 僕は貴方のことが大好きなのに、別れるだなんてそんなの嫌だよ。

 貴方の影を抱き寄せるけれど、そこに温もりなんて見つけることはできなかった。


 そうだ、そうだった、貴方は死んでしまったのだった。


 僕を置いて、いなくなったしまったんだ。

 ずっと一緒にいようと、永遠を誓ったというのに、貴方はいなくなってしまった。

 あっさり僕の腕から抜けて、手の届かないところへ逝ってしまった。

 どんなに待っても願っても、貴方に会うことはできない。そんなことはわかっているのに、冬が訪れる度に、貴方のことを思い、貴方のことを待ってしまう。

 僕は貴方のことが忘れられない。忘れられなくて、会いたくて……苦しい。

 貴方にはこんな思いになってほしくない。

 だから貴方が、僕を忘れてくれていると良いな……。

 忘れられなくて、苦しい想いをするのなんて、僕だけで良いから。

「あぁあああああああああああああ!!」

 降り積もった雪に向かって叫び、貴方がそこにいるのではないかと、本能のままに雪を掘った。

 ”諦めの悪い。もうあの人はいないのだ。今更、何をしたところで、あの人を取り戻すことはできない。お前に残ったのは、あの人を助けられなかった罪。そして、この先も一人で生き続ける罰だけだ”

 心の中で、冷静な僕が毒づくけれど、そう簡単に諦めることも認めることもできなかった。

 貴方のことを、愛しているんだ。

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