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365個の物語  作者: ひなた
睦月 寒さを楽しむ余裕
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30/365

睦月三十日

  寒いのに 君は暑いのかい? 融け出して

     それとも僕と 別れたいのかい?


 毎日毎日寒くて、嫌になる。

 昨日、雪遊びでもしたなら、少しは寒さだって楽しくなるかもしれないと思って、外で雪だるまを作ってきた。

 けれど寒さを楽しめるどころか、凍え死にそうな気分になったね。

 冬が好きだなんて、信じられないね。

 ウィンタースポーツ? ないわ。絶対ないわ。

 ただでさえスポーツは嫌いなのに、それに寒さが重なるだなんて、絶対にやりたくない。

 雪遊びだって、進んでやりたがる意味がわからないね。

 挑戦もしないで言うわけでなく、挑戦をした上でそう言っているのだから、別に良いだろう?

 まあ、作っているときは寒いばかりだったけれど、一日経ってみると、作ったときよりも愛着が湧いているものだね。

 初めてにしては、よくできたと思う。

 昨日の方が綺麗な形をしていたと思うが、それは仕方がないことなのだろう。

「融けている」

 風でずれたのかと思ったのだけれど、どうやらそうではないらしく、雪だるまは融けて行ってしまっているのだ。

 こんなに寒いというのに、どうしてなのだろう。彼にとってみたら、この気温は暑いと感じるようなものなのだろうか。

 それとも、僕のことが嫌いなのかい……?

 早く僕と別れたいから、本当は寒いはずなのに、無理に暑く感じて、融けてなくなってしまおうとしているのかい?

 だとしたら、どうして僕はそんなにも嫌われてしまったのだろう。

 製造主だというのに、作る以外何もしていないというのに、可愛らしい眼鼻口だってつけてやったというのに、どうして嫌われてしまったのだろう。

 もしかしたら、雪だるまは作ってほしくなかったのかもしれない。

 自分なんて生まれなければ良かった。そう、悩んでいるのかもしれない。

 それだったら僕が励ましてあげなければ。

 ……なんてね。そんなわけがないよね。

 週末にはまた雪が降るようだし、そうしたらまた作れるかな。この雪だるまがそれまで残っていてくれたなら、仲間を作ってやれるのに。融けてしまったところを、直してやることだってできるのに。

 もっと雪国に住んでいたなら、冬の間中、別れずにずっと一緒にいられたのだろうか。

 でもずっと一緒にいられた方が、かえって別れが辛くなるというものかな。

 そうした流れで春の訪れを望まなくなり、冬が好きになるというのだろうか。ということは僕は、冬好きの気持ちを、この雪だるまを通して理解したということなのだろうか。

 ありがとうね。

 僕と君とがともにいられたのは、昨日と今日と、もって明日だろうか。たった、その程度の間。

 けれど僕は君のことをきっと忘れない。

 この僕が寒い中、外に出て雪だるまを作っただなんて、それを聞いたならみんな驚くと思うよ。

 君が融けてしまっても、僕は君を忘れないのだから、心配せずに逝っておくれ。

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