睦月三十日
寒いのに 君は暑いのかい? 融け出して
それとも僕と 別れたいのかい?
毎日毎日寒くて、嫌になる。
昨日、雪遊びでもしたなら、少しは寒さだって楽しくなるかもしれないと思って、外で雪だるまを作ってきた。
けれど寒さを楽しめるどころか、凍え死にそうな気分になったね。
冬が好きだなんて、信じられないね。
ウィンタースポーツ? ないわ。絶対ないわ。
ただでさえスポーツは嫌いなのに、それに寒さが重なるだなんて、絶対にやりたくない。
雪遊びだって、進んでやりたがる意味がわからないね。
挑戦もしないで言うわけでなく、挑戦をした上でそう言っているのだから、別に良いだろう?
まあ、作っているときは寒いばかりだったけれど、一日経ってみると、作ったときよりも愛着が湧いているものだね。
初めてにしては、よくできたと思う。
昨日の方が綺麗な形をしていたと思うが、それは仕方がないことなのだろう。
「融けている」
風でずれたのかと思ったのだけれど、どうやらそうではないらしく、雪だるまは融けて行ってしまっているのだ。
こんなに寒いというのに、どうしてなのだろう。彼にとってみたら、この気温は暑いと感じるようなものなのだろうか。
それとも、僕のことが嫌いなのかい……?
早く僕と別れたいから、本当は寒いはずなのに、無理に暑く感じて、融けてなくなってしまおうとしているのかい?
だとしたら、どうして僕はそんなにも嫌われてしまったのだろう。
製造主だというのに、作る以外何もしていないというのに、可愛らしい眼鼻口だってつけてやったというのに、どうして嫌われてしまったのだろう。
もしかしたら、雪だるまは作ってほしくなかったのかもしれない。
自分なんて生まれなければ良かった。そう、悩んでいるのかもしれない。
それだったら僕が励ましてあげなければ。
……なんてね。そんなわけがないよね。
週末にはまた雪が降るようだし、そうしたらまた作れるかな。この雪だるまがそれまで残っていてくれたなら、仲間を作ってやれるのに。融けてしまったところを、直してやることだってできるのに。
もっと雪国に住んでいたなら、冬の間中、別れずにずっと一緒にいられたのだろうか。
でもずっと一緒にいられた方が、かえって別れが辛くなるというものかな。
そうした流れで春の訪れを望まなくなり、冬が好きになるというのだろうか。ということは僕は、冬好きの気持ちを、この雪だるまを通して理解したということなのだろうか。
ありがとうね。
僕と君とがともにいられたのは、昨日と今日と、もって明日だろうか。たった、その程度の間。
けれど僕は君のことをきっと忘れない。
この僕が寒い中、外に出て雪だるまを作っただなんて、それを聞いたならみんな驚くと思うよ。
君が融けてしまっても、僕は君を忘れないのだから、心配せずに逝っておくれ。




