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365個の物語  作者: ひなた
睦月 寒さを楽しむ余裕
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睦月二十八日

  雪だるま 私を見るよな その視線

     こりゃ恐怖じゃと 目を外しけり


 雪だるまを作ってみたのは良いのだけれど、我ながら、――センスがないとでも言えば良いのだろうか――仕上がりは最悪とも言えるようなものであった。

 作っている過程では、素晴らしいものが出来ているような気がしていたのだ。

 自分を褒めてあげたいくらいだったのだ。

 それなのに、作り終わり完成形を見てみれば、なんとひどいものだろう。

 最後に作った顔なんて、雪だるまが哀れに思えるくらいの不細工ぶりであった。

 自分の不器用なところは自覚していたけれど、まさかこのようなところでまで、それが発揮されるとは思わなかった。

「……こわいなぁ」

 今にも倒れそうにいくつも折り重なる、直径十センチほどの雪玉。

 一番上に乗っている雪玉には、落ちていた二つの石と小枝がつけてある。もちろん、雪だるまの顔となる、目と口である。そのはずなのである。

 それなのに、気持ちが悪いのはなぜなのだろう。

 やはり原因は目が飛び出していることにあるのだろうか。

 このアンバランスの原因は? そもそも、雪玉を重ねた時点では、上に行くに連れて、雪玉が小さくなっていたはずだ。少なくとも、私にはそう見えた。

 どうして変わらない大きさになっているのだろうか。

「……睨むなよ」

 自分で作った雪だるまと会話をしているのだから、完璧なる気違いだろう。

 しかしこの雪だるまを見たなら、だれだって私と同じ感想を持つだろう。

 雪の過ぎないものなのに、なぜだか生まれてしまったグロテスクさによる恐怖。そしてなんだかこちらを睨んでいるかのように見える、その眼、視線。

 反対にこんな雪だるまを作れるものはいないと、開き直って自分を褒めようとしてしまうほどだ。

「にしても、こわいなぁ」

 何度見ても、雪だるまは私を睨んでいる。

 もしかしたら、このように作ってしまった私を、恨んでいるのかもしれない。

 あぁ、そう思うと、襲いかかってきそうで、ますます怖ろしいや。

 お世辞にも上手いとは言えない出来だが、作ったばかりなのに壊してしまうのは惜しい気がして、せめて恐怖を和らげるためにと、目だけを外した。

 目さえなければ、睨んでくるようなことはないだろう?

 不自然な雪の塊になってしまったが、ここに不細工な雪だるまがあったということを、私は知っている。

 だから私は、この雪の塊を見たときに、それが雪だるまだと判断することが出来る。私さえわかれば、それで良いのだよ。

 雪だるまを作ったのは私なのだから、その雪だるまのことを知っているのも、私だけで良いのだよ。

「じゃあね、私の友だち」

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