睦月二十八日
雪だるま 私を見るよな その視線
こりゃ恐怖じゃと 目を外しけり
雪だるまを作ってみたのは良いのだけれど、我ながら、――センスがないとでも言えば良いのだろうか――仕上がりは最悪とも言えるようなものであった。
作っている過程では、素晴らしいものが出来ているような気がしていたのだ。
自分を褒めてあげたいくらいだったのだ。
それなのに、作り終わり完成形を見てみれば、なんとひどいものだろう。
最後に作った顔なんて、雪だるまが哀れに思えるくらいの不細工ぶりであった。
自分の不器用なところは自覚していたけれど、まさかこのようなところでまで、それが発揮されるとは思わなかった。
「……こわいなぁ」
今にも倒れそうにいくつも折り重なる、直径十センチほどの雪玉。
一番上に乗っている雪玉には、落ちていた二つの石と小枝がつけてある。もちろん、雪だるまの顔となる、目と口である。そのはずなのである。
それなのに、気持ちが悪いのはなぜなのだろう。
やはり原因は目が飛び出していることにあるのだろうか。
このアンバランスの原因は? そもそも、雪玉を重ねた時点では、上に行くに連れて、雪玉が小さくなっていたはずだ。少なくとも、私にはそう見えた。
どうして変わらない大きさになっているのだろうか。
「……睨むなよ」
自分で作った雪だるまと会話をしているのだから、完璧なる気違いだろう。
しかしこの雪だるまを見たなら、だれだって私と同じ感想を持つだろう。
雪の過ぎないものなのに、なぜだか生まれてしまったグロテスクさによる恐怖。そしてなんだかこちらを睨んでいるかのように見える、その眼、視線。
反対にこんな雪だるまを作れるものはいないと、開き直って自分を褒めようとしてしまうほどだ。
「にしても、こわいなぁ」
何度見ても、雪だるまは私を睨んでいる。
もしかしたら、このように作ってしまった私を、恨んでいるのかもしれない。
あぁ、そう思うと、襲いかかってきそうで、ますます怖ろしいや。
お世辞にも上手いとは言えない出来だが、作ったばかりなのに壊してしまうのは惜しい気がして、せめて恐怖を和らげるためにと、目だけを外した。
目さえなければ、睨んでくるようなことはないだろう?
不自然な雪の塊になってしまったが、ここに不細工な雪だるまがあったということを、私は知っている。
だから私は、この雪の塊を見たときに、それが雪だるまだと判断することが出来る。私さえわかれば、それで良いのだよ。
雪だるまを作ったのは私なのだから、その雪だるまのことを知っているのも、私だけで良いのだよ。
「じゃあね、私の友だち」




