それぞれの想い
アラムス王国は無事に国民の王都への避難を完了させた。
王国兵団も騎士団・魔導師団を中心に再度、連携の確認を怠らない。
恐らく、魔人達が土地を狙うことはないとアラムス上層部は結論を出していた。
なぜなら、魔人達には彼らの生態系に適した土地があるからだ。
となれば、狙いはアラムス王国への侵略である。
アラムスは広い。守りの戦いをするには不利だ。
そのために国民を王都に集めた。
兵力を一点に集中させるためだ。
数千規模の魔人ともなれば各所の連携は必須であり、最重要事項である。
魔人が国境付近に広く展開しつつあり、周辺国からの援軍は期待できない。
だが、万が一の場合の避難民の受け入れは各国の了承を得ている。
できればこの受け入れは現実に起こらないで欲しい。
アラムスの破滅を意味するのだから。
~アルスタイン邸~
「父上、話があると聞きましたがなんでしょう?」
俺は父上に呼ばれ、邸内の父上の執務室に来ている。
「ユーリ、いつ魔人達との戦闘が始まるかわからない、俺は父さんと前線で指揮をする。」
「気をつけてください。母上とこの家は俺が守ります。」
「こんな時に愛する家族の傍に居られない父を許してくれるかい?」
「許すも何も父上は家族を守るため戦うのでしょ?ならば俺も戦います。父上は父上の成すべきことをやり遂げてください。」
「ほんとうに頼もしい息子だよ、ユーリは」
父上は笑いながら俺の頭を撫でる。
「ユーリ、俺は近くに居られない代わりにこれをお前に託す」そういって父上は剣をだした。
「父さんと俺が鍛えたユーリの為の剣だよ」
俺は剣を受けとる。
「本当は学園の卒業式で渡す予定だったんだけどね。」
「ありがとうございます。大事に使います。」
神聖騎士と神速騎士が俺の為に鍛えた俺専用の剣
刀身と柄の間には魔法石が埋め込んである。
「その魔法石が剣に纏う魔力を増大させるんだ。どうしよにも魔法石を混ぜてあってね、試しに何種類か魔力を纏わせてみて」
父上に言われた通りに剣に魔力を纏わせる
火の魔力を纏わせると刀身は赤く発光する
続いて雷の魔力を纏わせてみると黄色く発光した剣の表面に魔力を纏わせているのではない。
剣の内部から魔力を放出しているような感じだ。
「凄い…」それ以外の言葉が思いつかない
「俺と父さんの自信作だからね!剣の名はクラウドだよ」
クラウド、君となら更なる高みに行けそうだ。
~ラインハルト邸~
「ミリアルドよ、私は前線で戦わなければいけない。」
「わかっていますお祖父様。家のことは私に任せてください。」
「頼りにしているぞ。しかし、魔族共が王都内に侵入した時は、ユリウスやゼクス殿下と協力し戦うのだ。」
「それもわかっています。俺はまだ未熟です。ユリウスのような圧倒的才能もなければ、殿下のような大局を観る智力もないですから…」
「しかし、ミリアルドよ、お前には大賢者ハイネ・ラインハルトより受け継いだ魔導がある!自信をもて。」そう言ったお祖父様の顔は笑っていた。
ユリウスと殿下だけではない。
俺にはクロスロード、ランスロット、カミーノ
心強い仲間がいるのだ。
守りきってみせる。
~王宮~
「父上、王都内で戦闘が起こった場合、私も闘います。」
「第一王子のお前がか?」父上の言葉・態度が威圧だ。俺は試されている。
「戦火により国が滅びれば私の肩書きなど意味を持ちません。それに、国民を守る事が王族としての義務です!かつて父上がしたように私も国民の為に闘います。ゼクス・ディセウムとしてではなく、ただのジークハルトの息子ゼクスとして。」
「はっはっはっ、ゼクスよ成長したな!」
父上が笑った。その言葉を待っていたんだといった感じだ。
「ゼクス、お前とユーリ君、ミリアルドが協力すればカイル様やハイネ様にも引けをとらんだろう。存分に闘いなさい。」
5日後、闘いが始まった。




