先祖帰り?
俺は会議室にいた。
騒ぎに包まれた体育館から校長らにつれられて移動してきたのだ。
いまの俺にはそんなことはどうでもよく、あの魔法石から浮かんだ光が1つだったこと、観たことのない色であったことの方が重要だ。
確実に俺は5属性の魔法が使える。
"使えるはず"ではない、毎日のように使っているのだ。
それがなぜ1つしか光が浮かばないのか
理由を考えてみた、俺は5属性を使えるが、平等に使える訳ではない、得意不得意がある。
火・風・雷系統を得意としている。逆に水・土系統を不得意とまではしていないが、得意な3属性に比べれば明らかに劣っている。
魔法石がある程度の実力以上の属性魔法にしか反応しないと仮定した場合、光が1つしか浮かばない理由は残り4属性が光を浮かばせられるレベルではないためと証明することができる。
しかしだ、その仮定には矛盾が2つある。
1つ目、浮かんだ光の色
火は赤、水は青、風は緑、雷は黄、土は茶と属性によって浮かぶ色が決まっている。
浮かんだ光はこの5色に該当するものではなく、太陽のような明るさというか温かさをもつだけの"光"だった。
色がついていなかったのだ。
もし、5属性が扱える者が触れた場合このような光が浮かび上がるのであれば俺の不安は杞憂にすぎない。
俺の前に魔法石に触れていた生徒は多くても3属性分しか光が浮かばなかった。
俺が5属性を使える最初に触れた者であれば、観たことがなくても不思議ではない。
しかし、5属性が使えるだけで教師陣に連行されるだろうか。
2つ目、魔法石は属性魔法の実力ではなく単に使える属性を示してくれる
すべての仮定を否定するのがこの矛盾だ。
そもそも魔法石は使える属性を示すものであり、そのレベルは関係なく、光を浮かばせることで示すのだから、不得意だから浮かばないなどということはないのだ。
もし、俺の理解が間違っており、魔法石による属性開示に実力が反映されるとしても矛盾は残る。
不得意といっても得意な3属性に比べてであってそれなりのものは使えているはず、それに俺の魔法の比較対象はハイネお祖父様と母上だ。
この二人と比較するのも間違っているが(笑)
リア姉に言わせれば「ユリウス様の水と土系統の魔法も高いレベルにあります。残りの3属性は異次元みたいなレベルですね!」とのことだし。
他の反応した生徒に比べて劣っているとも思えない。
考えられる仮説の中で矛盾を生まないものが唯一あった。
魔法石の故障だ。
長い年月使用された魔法石がたまたま俺の番に故障したのであれば全て納得だ。
あ、だから、教師陣までざわついたのか!
貴重な魔法石が壊れたとなれば騒ぎにもなる。
そして責任も…責任?
俺が壊した扱いになってるやつなのこれ?
教師によって会議室に連行、嫌な展開しか予想できない。
入学初日に問題起こすとか…
なんて言い訳したらいいんだよ、というか俺が壊した事になるの?
触ったというか触れただけだよ?
壊れないでしょ、普通は!
などと妄想を膨らませていると、会議室に父上と母上が入って俺の両隣に座る。
そして少し遅れて、両お祖父様も入ってきた。
国王と共に。
俺の対面に座る。
国王と共に来たということは、俺の祖父という立場ではなく、騎士団のトップの神聖騎士、魔導師団のトップの大賢者として、国王を支える国の要職者として来たのであろう。
なにこれ?国王様が来るレベルの問題になってるの?
あー、やーばーい、絶対怒られる…
土下座いや、土下寝した方がいいかな…
校長が口を開く「先程、ユリウス・アルスタイン君に属性開示の為、魔法石に触れていただきました。」
「入学初日の恒例行事だな」国王が言う
「はい、我が校の伝統です。長い歴史のなかで行われてきた…」
「この日の結果に親族は期待を膨らませるものだな、私も息子の結果を早く聞きたいものだよ」
国王には俺と同級生になる息子がいる。
それはまた、説明しよう。
校長が暫く口を閉ざして意を決して「ユリウス君が浮かばせた光は1つだけでした。」
「ユーリちゃんは確かに、5属性使用できます!」母上が抗議するとハイネお祖父様も母上をなだめつつ「落ち着かんかマリア、だが校長よ、ユリウスが5属性使えるのは私も知っているし、5属性全ての鍛練も私が指導している。何かの間違いではないか?」
「確かに、私も間違いであると思いましたよ。
自分の目で確認するまではですが。重要なのは浮かんだ光の色です。ただの光でしたこれが意味することは」校長が核心を言おうとした瞬間「光属性かっ‼」国王が声を荒げた。
「ユリウスが光属性を持っていると?」
「私も自分で確認するまでは信じられませんでした。何せ長い歴史のなかでも光属性を使用できたとされるのただ一人ですからね。」
「アラムス・ラインハルト・アルスタイン様か」
国王が呟く。
「誰ですか?」つい発してしまった。
「ユリウスが知らんのも当然か」カイルお祖父様が言う
「アラムス・ラインハルト・アルスタイン様はこの大国アラムスの名前の元になっているお方であり、歴史上で唯一の光属性を使用したとされる"解放者"だよ」国王が教えてたくれた。
「アラムス様は魔神と闘い、この国の地底深くに自らと一緒に封印をされた。彼の功績を称え国はアラムスと名を変え、彼の子孫たちに地位を与えた。」
「ラインハルト家とアルスタイン家?」
「その通りだよ、君のご先祖様がアラムス様だ、ラインハルト家はアラムス様の魔法をアルスタイン家はアラムス様の武道の才を色濃く受け継ぎ今でもこの国の名家だ。そして、君には長い間、分散されていたラインハルトとアルスタインの血が受け継がれているのだよ。この事実を知る者は極一部だけどね。アラムス様の名も単にアラムスとしか意図的に表記していないし、ユリウス君が光属性を使えるのは先祖帰りかもしれんな」
魔神を封印した勇者が俺の先祖?
確かに、そう言われれば高スペックすぎる親族にもなっとくはできる。
長い間、別れた血統が俺で再び繋がった結果、神童が生まれたと。
なんか、納得だ。
「ユリウス君が光属性を開示したと知る者は?」
「私以外には校内にはいないかと、光属性が開示されるなんて想定していなかったので(笑)」
校長、国王との会話で笑っちゃったよ!
「そうか、カイル、ハイネ、どう考える?」
「私は国の監視の下でユリウスを育てるべきかと」
「私もカイルと同意見です。学園を信用していない訳ではないですが、あまりにも未知数な部分が多すぎます」
「確かに、光属性を強大な力を秘めている上に詳しいことはあまりわかっていない。力が暴走する可能性も十分にあり、我が校の教師にそれが防げるかどうか。」
「暴走だなんて、そんなユーリちゃんが…」母上が倒れそうだ…
「ユリウス・アルスタインは制御ができるようになるまで騎士団・魔導師団の下で訓練を積ませ、時がきたら学園に戻す。そうだな、5年次のクラス編成時が良いタイミングだろう。剣術はカイルに魔法はハイネに担当してもらう、良いな」
「はっ」両お祖父様が少し誇らげに返答した。
「史上2人目の解放者か…」
なんか大変な事になったなぁー




