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美人な叔母にイケメン改造された俺、なぜかモテない  作者: 春凪とおる


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2/2

■ 後編 ――最適化しても、うまくいかない

見た目が変わると、世界のほうが先に変わる。

大学に行った初日、それを実感した。


「え、誰?」


視線が一瞬だけ集まって、すぐに逸れる。


悪い気はしなかった。

たぶんこれが“正しい反応”なんだと思う。


その日だけで、何人かに話しかけられた。

今までなら、たぶん起きなかったことだ。


正しく整えれば、ちゃんと結果は出る。

――少なくとも、最初の入り口までは。


その週のうちに、マッチングアプリを入れさせられた。

写真も、角度も、表情も。

全部“いい感じ”に整えられる。


結果は分かりやすかった。

いいねは増えた。

メッセージも来る。


――なのに。


会話は、なぜか続かなかった。

少しずつ短くなる返事。

間が空いて、やがて途切れる。


「ログ、見せて」


「全部、間違ってはいないわ」


少しだけ安心する。


「だから、印象に残らないの」


「減点はない。でも、引っかかりもない」


「導入しましょうか」

「なにを」

「AI」


それからの俺は、指示に従うだけの人間になった。


イヤホン越しに、小さく声がする。

共感して、質問して、間を測る。


全部、正しかった。

全部、納得できた。


途中までは、うまくいく。

笑ってくれるし、会話も続く。


でも――


最後が、続かない。


「今日はありがとう」

「うん、楽しかった」


「また、よかったら――」


ほんの少しの間。

そのあとで、やわらかく断られる。


ああ、ダメなんだな、と思う。


帰り道、イヤホンを外した。

静かになる。


言われた通りにやった。

ちゃんと“正解”を選んだはずだ。


それでも、うまくいかない。


……いや、違う。


うまくいかなかった理由は分からない。

ただ、あの時間の中に、“俺がいた感じ”だけがなかった。


笑ったタイミングも、相づちも、言葉の選び方も。


どれも間違っていないはずなのに、

どこを切り取っても、自分のものに思えなかった。


ちゃんとやった、という感覚だけが残って、

誰かと過ごしたはずの時間が、ほとんど記憶に残っていない。


それが一番、気持ち悪かった。


ガラスに映る自分を見る。

見た目は、ちゃんとしている。

それなのに。


「……なんでだろ」

「まだ、少し噛み合っていないところがある」


「恋愛ってさ」

「正しくやれば、うまくいくものなの?」


「少なくとも、確率は上がるわ」


夕方の光が差し込む。

自分の目が、少しだけ茶色く見えた。


たぶん俺は、まだ――

“正しくない何か”を、うまく扱えていない。


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