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二人の聖女。光と影の終焉

黄金の光が、世界樹を、楽園を、そして私のすべてを塗り替えていく。

 『命の契約』によって五人の魂と繋がった私の身体は、もはや一人の人間としての枠を超え、神々しいまでの熱量を帯びていた。


「……あ、あぁ……っ。みんなの『想い』が、私の中で、こんなに……っ!」


私の感覚は、彼女たち五人と完全に同調シンクロしていた。


背中に感じる、ルナリアとしなやかで重厚な、包み込むような柔らかさ。


胸元に押し付けられた、シノブの弾むような熱量。


腰を抱くメイリンの、若々しく引き締まった鼓動。


首筋に触れるフェリシアの冷たくも情熱的な牙の疼き。


そして全身を包囲する、エルセお姉様の圧倒的な慈愛と魔力の奔流。


五人の個性が、五人の愛が、私のCカップの小さな身体の中で一つに溶け合い、純白の輝きへと昇華される。



「おのれ……おのれぇぇぇ!! 追放されたゴミ共が、私の『魔神』を拒むというのかぁぁ!!」


ミーナが狂ったように杖を振りかざす。

 彼女の背後にそびえる、天を突くほど巨大な漆黒の魔神が、絶望の咆哮と共に数万本の触手を一斉に放った。

 空を埋め尽くす闇の雨。けれど、私はただ静かに、その先へ一歩を踏み出す。


「……ミーナ。もう、あなたの声は届かないよ」


私が指先をそっと振るうと、私の背後から五つの光の翼が展開された。

 それは、彼女たちの力を具現化した「愛の権能」だった。


「――『不知火・爆華しらぬい・ばっか』!」

 シノブの爆発忍法が、私の一振りに宿る。放たれた光の礫が連鎖爆発を起こし、迫りくる触手を派手に、美しく、木端微塵に粉砕していく。


「――『零下の極光サブゼロ・オーロラ』!」

 フェリシアの氷結魔術が空間を凍てつかせ、ミーナの放つ瘴気ごと、闇の軍勢を美しい氷像へと変えた。


「――『八卦・極楽崩はっけ・ごくらくほう』!」

 メイリンの神速の拳圧が空気を震わせる。実体のない闇さえも、彼女の「護る拳」の前ではただの霧に過ぎない。


「――『精霊の祝祭スピリット・フェスタ』!」

 ルナリアが呼び集めた数百万の精霊たちが、魔神の身体を内側から食い破り、ドス黒い魔力を清浄な光へと変換していく。


「……ありえない……ありえないわ! 私が積み上げた絶望が……たったこれだけの『愛しさ』に、消されるなんて……っ!」


ミーナが絶叫し、地面をのたうち回る。

 彼女が信じていた「力による支配」が、私たちが育んできた「寄り添う絆」の前に、無残にも瓦解していく。これこそが、――悪意が善意に完膚なきまでに叩き潰される、至高の瞬間だった。



「……最後よ、ミーナ。お姉様が、あなたの歪んだ夢を終わらせてあげるわ」


エルセお姉様の魔力が私の中で最大出力に達する。

 私は空高く舞い上がり、世界樹の頂から、楽園のすべてを抱擁するように両手を広げた。


「――神の権能・最終奥義――『エデン・ジェネシス(楽園の創世)』!!」


私の身体から放たれた、太陽をも凌駕する黄金の衝撃波。

 それはミーナの魔神を、彼女の憎しみを、そして王都から伸びる呪いのすべてを、優しく、けれど容赦なく焼き尽くしていく。


「あ、あああああぁぁぁ……っ!!」


光に呑み込まれるミーナ。

 その瞬間、彼女と私の意識が、一瞬だけ深く重なり合った。


視えたのは、遠い過去。

 一人の聖女が、その身に余る「神の魔力」に耐えきれず、二つの魂に裂かれた記憶。

 純粋な『愛』の結晶だった私と、孤独な『執着』の器だったミーナ。

 彼女が私を追い詰め、追放したのは、欠けてしまった自分の一部を、憎しみという形で埋め合わせようとした、悲しい足掻きだったのだ。


「……さよなら、ミーナ。……次は、暖かいところで、誰かと笑えるように」


私が最後の一撃を振り抜くと、ミーナの身体は光の粒子となって霧散し、楽園の肥沃な大地へと還っていった。



静寂が戻った。

 紫色の空は晴れ渡り、世界樹は以前よりも逞しく、まばゆい黄金の葉を茂らせている。

 戦いに疲れた私が、ゆっくりと地上へ降り立つと――。


「アリシア殿ーー!! やった、やったでござるよおぉぉ!」


シノブが泣き出しそうな顔で私にタックルし、その豊かな胸元に私を埋め込んだ。続いてフェリシア、メイリン、ルナリア、そしてエルセお姉様が、私を囲むように抱きしめてくる。


「……あ、あはは……みんな、苦しいよ……っ」


「……死なせないと言ったでしょう。……あんたがいなくなったら、わたくし……もう、生きていけませんわ」

「お姉さん……大好きアル……。……あ、今の……言っちゃった……(赤面)」

「……アリシア様。……これで、本当の意味で……私たちは一つになりましたわね」


肌と肌が触れ合い、混ざり合った魔力の余熱が、心地よい快感となって全身を包む。

 私たちは、勝利の余韻に浸りながら、誰からともなく唇を重ね、互いの存在を確かめ合った。


偽聖女は去り、王国の呪いも解けた。

 ここにあるのは、追放された女の子たちと、彼女たちを愛する私の、世界で一番幸せな『最強の楽園』だけ。


物語の終わり。

 けれど、私たちの「濃密な生活」は、ここからまた新しく始まっていく。


「……ねえ、みんな。……今夜は、誰から『お祝い』してほしい?」


私の問いかけに、五人の美しい少女たちが、一斉に顔を赤らめて微笑んだ。

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