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カリーナ火口湖で



 ザブダクルを離してくれたアミュラには申し訳なかったが、青生は瑠璃と彩桜を連れてカリーナ火山に行った。


怒りの神火が鎮まった火口にもアオが雲水を注いでくれたようで、湖面の小波(さざなみ)が月の光を照り返して煌めいていた。


【カーリとカイさんは? 結界アミュラ様は?】


【アミュラ様と共に来て保護した。

 今はマヌルの里だ】


【そっか~♪ あれれ? 埋めてたオーロは?】


【それは知らぬが……】【居ないよね】


神世も揺れただろうからと、その時に動いてしまった可能性を考えて神眼を拡げたが、見付からなかった。


【後でアミュラ様に確かめよう】


【そぉだね~】【ふむ】

【ね、青生兄。どしてカリーナ火山?】


【なんとなく呼ばれているような気がしてね】

「うん。俺達が呼んだからね」


湖上に姿を見せたのは、光を纏う瑠璃鱗鳥翼の『ただの竜』達だった。


「アオ王子? ブルー様? 青身神様?」


「「アオでお願い」」飛んで来た。


「青生兄いるからアオ王子でお願いなの~」


「王子は事実だからね」「そうだね」頷き合う。

「「じゃあ、それで」」


「うんっ♪

 アオ王子達て順番バラバラ? どしてなの?」


「三界からは地星が とても遠いからだよ」

「狙った『時』に来るのが難しいんだ」


「ふぅん……???」


「まず、宇宙は広い。

 その宇宙が複数あるんだよ」

「宇宙には『時流』という、宇宙内で統一の時間軸が在るんだ」

「俺達は三界が在る宇宙から、3つの宇宙を通って地星が在る宇宙に来たんだ」

「異なる時流を通って来たから、この宇宙の着地点が時間軸の何処になるのか、まだ俺達では決められないんだよ」

「でもきっと将来は狙った『時』に来るのが可能になると思うんだよね」

「今も未来の俺達が少し離れた場所から見ているからね」

アオ達は『ね♪』と微笑み合った。


「へぇ~♪」


「俺達は地星が飛んで来た時に渡した布石像を目指して来たんだ」

「もう一度 会おうと約束したからね」

「うん。道を探しながら旅をして、やっと辿り着いたんだよ」


「じゃあ飛ばされて来たのが初めてで、地星が飛ばされて、今?」


「「そうなるね」」


「道、見つかったから また来る?

 サクラ達は? ルリ様達は? 他の王子様達は?」


「質問が沢山だね♪」

「サクラとルリは一緒に来たよ」

「布石像が月にあったから、サクラは月に置いていた竜宝達と話しているよ」

「ルリは周辺を調べているよ。

 旅で見つけた星では、いつもそうなんだ」

「兄さん達が天竜王をしているから離れられなくてね、だから皆が隠居したら兄弟揃って来るよ」


「俺達 生きてる? あ そっか~♪

 生きてる間に来てくれるんだ~♪」


「「そう出来るように修行するよ」」

「「此処でも修行するのか?」」

並んで宙に浮かんでいるアオ達の両側に瑠璃鱗鳥翼の女神達が並んだ。

「「常に修行だよ♪」」「「ふむ」」

「「彩桜だ~♪ 俺達も来たよ♪」」

アオとアオの間に桜花鱗鳥翼のサクラ達が割り込んだ。


「サクラ、ゆっくり話したいだろうけど、後でね」

「未来の俺達が順番待ちをしているから一旦 離れるよ」


「「この周辺をもう少し詳しく調べたいのだが」」


「じゃあ調べたら」「戻って来よ~♪」


「待つ程に暇にはならないだろうから」

「また後でね。それじゃあ隣の惑星に」

「「行こ~♪」」手を繋いで輪になって消えた。



「次はブルー様なってるかにゃ?♪」わくわく♪

『あっ、彩桜!』「ほえ? ソラ兄だ~♪」


「お兄が固まってしまって!

 アミュラ様が この山に行けって――」

『その件なら たった今 解いてきたからね』

『だから安心して俺達の話に付き合ってね』

さっきまでアオ達が浮かんでいた位置に現れた。


「ボクも? いいんですか?」


「「うん。君も鍵だからね」」


「ボクも!?」


「うん、何か大切な事を忘れていないかな?」

「だから揉めないように君の声で『兄さん』にケーキを頼んでおいたからね」


「ケーキ……? あっ響の誕生日!

 ありがとうございます!」


「思い出せたから、この件はクリアだね」

「君達のどのペアでも夫婦喧嘩をしたら地星を粉微塵に出来るからね」

「だからソラは、帰りはイーリスタ様に乗せてもらって色とりどりの木苺を貰ったらいいよ」

「デコレーションの為にね」


「はいっ」


「青生と彩桜も、もう記憶の蓋を開けていいよ」

「飛ばされて来た俺達を見て」

「道を見つけた俺達と話して」

「俺達と再会したからクリアだよ」


「再会?」「彩桜、先に開けて確かめようよ」

目を閉じて暫し。揃って笑いだした。

「あれからずっと居らしたんですか?」


「少し離れていたよ」

「さっきの俺達が辺りを調べていたからね」

「本当に此処なのかを確かめていた時だよね」

「そうだったね♪ 布石像の位置とかね♪」


「会ってはならないとか?」


「会いたくても会えないんだよ」

「過去と未来は同時に存在できないんだ。

 でも必要だから戻って来て、何処へとも知れない場所に飛ばされていた過去の俺達を地星に引き寄せたんだ」

「そもそも今回は、その為に来たんだからね」

「あれが地星の運命を変えたんだ。

 初期に遡って支流に入ったんだよ。

 接触する筈の無い俺達の接触が地星を存続させてしまったんだ」

「でも俺達としても、あの時に命が尽きてしまっていたら……」

「うん。変なパラドックスだらけになっただろうから引き寄せに来たんだよ」


「じゃあ地星が三界トコ行ったのも引き寄せたの?」


「「ブルー様がね」」


「ほえ?」


「俺達の宇宙内での過去の出来事だからね」

「今の俺達にとってはね。

 当時は若かったからね」

「それに星を動かすだなんて、ただの竜には無理も甚だしいよね」

「地星が安定する三界の真反対に引き寄せてくださったのは「超越者ブルー様なんだよ」」


「もしかして地星は恒星の恩恵が受けられない空間に向かっていたんですか?」


「その通り。滅亡に向かっていたんだよ」

「それが、この宇宙の最高位の超越者様が定めた本流に近い運命だったんだろうね」


「本流、とは?」


「時流であり歴史であり運命、かな?

 分岐の多い川を想像してみてね」

「流れ込みも、流れ出しも、とにかく支流が多いんだよ」

「その流れを管理している超越者様を仮にだけど『時流様』と呼ぶね。

 時流様は とても真面目でね、本流を守る事に必死なんだよ」

「それは必要で、とても大切な事だとは思うけどね」

「それでも関わった場所は助けたいよね」

「君達が考えている通り、地星は短命な本流にあったんだよ」

「とても短命だったからこそ、入った支流を本流に変える為の提案を幾つか話したんだ」

「混沌神様方にね。

 神戦(いくさ)を起こす前に神力を分けるべきだとか」

「内側の空間に核を作るべきだとかね」


「それで神様は人神様と獣神様に分かれて、人世が生まれたんですね」


「他にも幾つかね」

「うん、話した事が実現されているよね」


「それでも支流を本流に変えるのは難しくて」

「どうしても戻されそうになるから」


「何度も来て、助けてくれたんだ~♪」


「「全ては恩返しだよ。(えにし)だからね」」

「飛ばされて来た時に戻してもらえなかったら」

「俺もルリも命尽きていたからね」

「再会すら出来ずに、ね」


青褪めた瑠璃が青生の腕をギュッと抱き締めた。

大丈夫だと青生が手を重ねる。


「もう乗り越えたから、その近似件は終わったよ」

「青生と彩桜が消えてしまったら瑠璃も生きてはいけない。

 その危機を乗り越えたばかりだよね」

「もしも3人が消滅してしまっていたら、地星の救世主達にとっては、衝撃も損失も大きいよね。

 復興も何もかもが滞って、時流的には本流に戻されてしまうんだよ。

 その大きな分岐点(ポイント)を乗り越えたんだ」

「でも真面目な時流様は次を用意している。

 それを乗り越えても更に次を仕掛けてくるだろうね」

「でも時流様は敵じゃない。悪でもない。

 悪意なんて無いんだ。

 ただただ真面目に本流を守りたいだけなんだよね」

「だから俺達は この宇宙の超越者様方を探そうと思っているんだ」

「出来れば時流様よりも上の超越者様をね」

「異物である俺達にとっては困難だから時間は掛かってしまうと思う。

 でも諦めずに探すからね」

「待っていて――じゃなくて乗り越え続けて、かな?

 俺達も「頑張るからね」」


「その『次』が人世の不穏とお兄なんですか?」

「時流様が闇禍のアタマ? 送り込んでるの?」

ソラと彩桜が同時に聞いた。


「流石、息ピッタリな相棒だね♪」

「先ず『次』は、その通りだと思うよ」

「そこそこ弱めたからカケルは最終兵器にはならないけどね」

「でも、どうにも起こってしまうみたいだね。

 だから今は無理をせずに起こしておいて」

「逆転勝利で乗り越えるべき、かな?」


「「逆転勝利……」て、どぉやって?」


「そこは考えてね」「君達なら間違わないからね」

「今回の危機の救世主はユーレイ探偵団とマーズだよ」

「共通項は音楽だよね?」


「ユーレイ探偵団も「音楽?」」

「きっとそれがヒントなんだよ」

「そっか~♪」「あっ、はい!」


「じゃあ次に時流様と闇禍ね」

「1つの宇宙には複数の超越者様がいらっしゃるんだよ」

「闇禍を従えているのは『死滅』を司る超越者様なんだ」

「超越者様方は悪じゃない。

『生』があれば『死』も必要なんだ」

「それは俺達も理解しているよ。

 でも闇禍を使うのは「納得できないんだ」」


「だから戦ってるんですね?」


「「そうなってしまったんだよね」」苦笑×2。

「今は、このくらいしか話せないんだ」

「でも、いつかは全て話せると思うんだよね」

「俺達は過去に何度も地星に来ているから、これから先、君達は何度も俺達を見たり会ったりするけど尋ねたりしないでね」

「深く知る前の俺達だからね」


「「「「はい」」」でも見分けられる?」

「話してくださるまで尋ねなければいいんだよ」

「そっか~♪」


「目安は身体の大きさかな?」

「でも時々、、ほら」

「あ~確かにね。

 でも今が過去最大じゃないかな?」

「そうだね♪

 まぁ、いろいろとあったんだよ。

 だから小さくなったりもするけど、この大きさを覚えておいてもらえるかな?」


「「「「はい」♪」」あ♪ 瑠璃姉 並んでみてみて~♪」

「はあっ!?」

「目安なるから~♪」「そうだね」くすくす♪


「青生まで……」


「睨まないでよ。ね、並んでみてよ」


「ふむ……」

不満気に龍になって浮かぶと、アオ達が間を空けて手で『どうぞ』。


瑠璃(ラピスリ)は困りながらも間に収まった。


「そっか~♪

 ドラグーナ様より大っき~んだ~♪」

「彩桜、それ……」「なんだか失礼なような……」


「「気にしないでね」」くすくす♪


恥ずかしさやら何やらが混ぜこぜになって、サッと逃げ戻った瑠璃は青生の背に隠れた。


「ブルー様達も女の子されちゃったコトある?」


「あるよ♪」「驚いたよね♪」


「やっぱり~♪」


「青生と彩桜のはサクラが戻したよね?」


「うんっ♪」「あのっ、この鏡は?」

瑠璃が『ピュアリラの想いの欠片』を集めた鏡を差し出した。


「ちゃんとな通信竜宝にしておこうか?」

「そうだね。なら、これを加えておこう」

何やら鏡面に置いて唱え始めた。


鏡が光る。

〖アオ王様♪ かしこまりました♪

 僕は改々(かいかい)超域(ちょういき)千里眼(せんりがん)の核です♪

 皆様、よろしくお願いいたします♪〗


「うんうん♪ 俺 彩桜♪ ヨロシク~♪」


〖はい♪ サクラ王様♪〗


「じゃにゃくてぇ~」「彩桜、後にしようよ」


「緊急時には使ってね」

「真っ先にサクラが出るだろうけどね♪」

「そうだね♪ それじゃあ「またね♪」」

楽し気に笑いながら異界の『ただの竜』達は消えた。



「これからどぉするの? あれれ?」

また鏡が光っていた。


明滅に変わり、

『言い忘れていたけど、さっきの俺達が戻るのは明日になるからね』

『明日の今頃になってしまったよね』

『今は火星で遊んでいるんだ』『サクラがね』

『『じゃあまたね』』

と聞こえて光が消えた。


「通信テストかにゃ?♪」「「そうかもね♪」」

「青生兄とソラ兄 揃った~♪」







地星を押し戻した後、修行を重ねて宇宙を越えて来たアオ達と、ずっと未来から来たらしいアオ達に会って話しました。


時原点(じげんてん)が異なる、『今』でない同一生物は同時に存在できない――なんだか ややこしい設定です。

時原点が『今』と『未来』、『今』と『過去』は同じ域に同時に存在できます。

『過去』と『未来』はダメなんです。


なので未来のアオ達は火星くらいまで離れて、固まったカケルを解いたんです。



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