魔女の拠点巡り①漢中国から中東へ
彩桜達は先ずは双子魔女・鈴春と鈴豊の家に行った。
その門に向かいながら、
【あ、そぉだ。ユーロン里帰りさせないとね。
杏華さん待ってるからね~♪
サーロン、連れてってあげてね♪】
幻尾(獣神力だけで成している尾)をサーロンにチラリ。
気付いたサーロンが寄って、術移と一緒に習ったばかりの幻尾で彩桜のに触れた。
(地縛されちゃうから)
それだけで察した。
【ユーロン、もう帰ってもよくなったんだよ。
だからお母ちゃんを安心させてあげようね】
【うんっ♪】キラキラ☆
【飛鳥クンも一緒に行かない?】【行く!】
両手にチビッ子なサーロンは離れた。
【ラン、見えたものとか話しちゃダメだよ】
封鎖されているので敷地内へは飛んで入った。
【さっきの龍尾? それとも……】
物置部屋の方を見た。
【ランなら大神様だから見えちゃうよね。
ユーロンには、その記憶がないんだ。
たぶんトリノクス様が蓋したんだと思う。
地縛されるかもだし、蓋こじ開けちゃうかもだからキッカケならないよぉにお願いね】
【分かったわ】
【住んでた魔女達が、キツネの里に保護してる人達から魂材フレブラン様を乱暴に噛み千切って食べて神世薬草の知識を得たの。
アッチの畑とコッチの庭で、人世植物に神世薬草が重なってるのを集めて育ててたの。
人世植物の毒草もね。
その草から毒薬 作ってたの。
魔女、獣神嫌いだからユーロンも危険て思って毒薬で。
これから地下深くを探るからね。
表層は兄貴達が探してるから一気に深くね】
【お兄様達、何を探したの?】
【人神様に噛みつく玉。凶悪なのぉ。
フレブラン様を回収する為なのぉ】
地面ペタペタ。掌握を伸ばして探っている。
紗も真似て探り始めた。
【何を探すの?】
【双子魔女の母ちゃん魔女と婆ちゃん魔女の犠牲者さん達。
怨みつらみで怨霊なってるかもなの】
【サクラ♪ サクラ~♪】ここ掘れワンワン♪
同時に立ち上がる。
【ランも行くの?】【もっちろん♪】
【戦うかもだよ?】【任せてねっ♪】
【じゃあ一緒にね】【うんっ♪】
ショウがピョンピョンしている場所へ。
【ナンかある~♪】ピョンピョン♪
彩桜は地面に両掌を当てた。紗も。
【うん。すっごく深くに変な封印結界ある】
【何も見えないけど……】
【そっか。またまた獣神様には見えないんだ】
【ん? ショウって……】ジーーーッ【あ……】
【うん。ショウは人神様だよ。
ショウ、封印解除するから下がって。
網 構えててね】【うんっ♪】
【ランも下がって待機ね】【うん……】
【人用浄破邪、お願いね】【うんっ♪】
両掌を当てたまま、ぶつぶつと唱え
【――総解還! 浄破邪堅固モドキ!】
解除と共に地中へと浄破邪を放った。
普通ではない結界でも穴は作れたようだ。
地中は囲ったので上にしか動けない怨霊達が噴出した。
癒着も肥大化もしているので数は把握できないが、10や20ではない多さだった。
ショウからの神力封じ網と、紗からの浄破邪が達したが、数的に間に合いそうになかった。
【封神力、雷刃強闇呼千華掌!】
癒着している箇所を蕾からのビシバシ雷刃で切り離しつつ、蕾に捕らえさせていく。
その間にもショウが投げる神力封じ網が霊達をガサッガサッと捕らえているので、そんなにもは時間が掛からなかった。
【そっか。地縛もされてるから飛んでけないんだね】
納得して怨霊化を解いては地縛も解いていく。
【恐怖や怒りに毒気を注いで怨霊化ねぇ……】
〈お迎え神様、待っててく~ださい♪〉
集まりつつある死神達に伝えた。
コレした魔女、悪霊母ちゃんでしょ?
警察、言わなくてもいいよね?
新しめの霊さんも居るから
双子オバサン魔女も使ってたみたいだけど……
勝士さん……居ないねぇ。
【おい彩桜、何やってるんだよ?】
見上げると死神爺様。
【理俱師匠、里の作業は? 出来たの?】
【怨霊臭いから来てみたんだよ!
双子魔女の家か。その下は?】
【このヒト達分 埋まってるよ】
【サラッと言うな~。
エィム! ルロザムール様!】
と呼んで、霊達を頼んで爺様解除して降下。
【で? 誰か探してるのか?】
【うん、勝士さん。
たぶん魔女と戦った思うの。
沙由さん此処だったし、勝士喜くん此処から瞬移した思うの。
だから助けに来た思うの。
でも……別トコ行ったのかな……?】
【拾知したらどーだよ?】
【邪魔されててダメダメなのぉ。
蛇さんサーチしてよぉ】
【蛇眼走査だっ!
だが、また人神オンリーな何かで妨害してるんだろ?
虱潰ししかないだろーが】
【世界中? 魔女拠点ぐるぐる?】
【頑張ってくれ。
現状、誰も一緒には行動できんからな。
エィム! 誰か彩桜に付けてくれ!
他でも怨霊わんさか出すらしい!】
【では僕が!】【頼む!】
エィムは離れていて神世近くなので叫び続けだ。
【彩桜、ちょっと待ってろ】瞬移。
【うん】?
待つ間、他にも何かありそうな気がして探っていると、封印結界その2を見付けた。
【死神師匠~、おかわりある~】
【どうぞ】溜め息。
その騒ぎが落ち着いた頃、瑠璃が大きく膨らんだ彩桜のリュックを持って現れた。
【弁当だ。保護珠に込めた状態で入れている。
子守りも頼む】
【ほえ~い。でも、ご飯ありがと♪
コレも妨害て分かってるけど頑張る~】
【苦しんでいる多くの人の為だ。頼む】
【だよね♪ うんっ♪】
―◦―
敷地内の地下をせっせと探ってから、翔家前でサーロン達と合流した。
【次、ナディアールさんトコね】
【誰?】
【あ、そっか。兄貴達と捕まえたんだった。
ダラジャ博士とマルハラ博士の通訳なって、結婚して大富豪なる計画してたヒト】
【通訳希望者の話なら少し聞いてたよ。
また魔女なんだよね?】
【魔女なのぉ。
家とか知らないから不穏で追跡なのぉ】
【ユーレイ探偵団らしいよね♪】
【うんうん♪ あ、死神師匠~♪】【何?】
【磯前 波輝さんと美海さんの想いの欠片お願いしま~す】
【僕が戻るまで怨霊を出さないでね】
【は~い♪
ユーレイ探偵団 中渡音支部、出発するよ~♪】
【一緒に行こうね♪】
【【【【は~い♪】】】】
―・―*―・―
【兄様、カケルは?】
【まだ寝ておりますね】
【起こさないのか? 修行は?】
【そうですね。ところで理俱が これから稲荷堂なのですか?】
【いや。様子を見に来ただけだ。
夜に話すんだろ?】
【そのつもりで情報を整理していたのです】
【診察しながら?】
【はい。
ご兄弟も瑠璃様も普通の生活を今は捨てて地星の為にと動いておられます。
私は少しでもお支え出来ればと、鍵であるカケルとトシを含めての此方での事を引き受けたのです。
今は命に関わる青生様をしておりますが、休診時間にはカケルの指導をしますよ】
【白久に手術依頼が来たら行くのか?】
【そうせざるを得ませんね】
【トシは?】
【今はヨシ殿にお任せしておりますよ。
彩桜様は?】
【行方不明者を捜索中だ。
拾知が使えないなんて思えないくらいに持ち前の賢さでカバーして頑張ってるよ。
本当にサーロンとは良いコンビだ。
俺は紅火と話したら里に戻って作業を進める。
早く あの場から兄弟を解放してやらないと呪縛に変わりそうだからな】
【そうですね。
あの皆さんが動けるようになれば少しは心に余裕が持てるでしょうね。
人には浄化も治癒も、弱く少しずつでなければ回復させられませんからね……】
【長く掛かるからこその補助具だ。
兄弟も犠牲者達も笑顔にしてみせるよ】
【お願いしますね】
【カケルに話す時には俺も加わるからな。
兄様も元気出してくれよな。
藤慈と責任シンクロして落ち込むなよ】
【そうですね。ありがとう理俱】
この後、カケルを叩き起こして説教し、夜には大事な話があると念を押して瞑想させた死神爺様だった。
―・―*―・―
だいたいな場所へと瞬移して、姿を消して飛んで探していた彩桜達が気配を感じて留まった。
【この辺りかにゃ?】【彩桜、不穏禍が!】
【あるねぇ。にゃ~に埋まってるかなぁ?】
少し離れた場所に降下。
浮かんでいる不穏禍は近くに1つ、遠くに1つ。
【溜まってるトコ見つけにゃいとね~♪】
【2つを結んだ延長線上?】
サーロン、遠くに神眼を向ける。
【延長線上だけどコッチ側♪】
【【【【え?】】】】【サクラ~♪】ワンワン♪
【ショウありがと♪】【怨霊いるよ~♪】ここ♪
【じゃあ死神師匠 待たないとね~♪】【うんっ♪】
ショウは3m程 離れている2箇所を行ったり来たりでピョンピョンピョン♪
彩桜達は待ち時間分の余裕があるので普通に走って行った。それでも速いのだが。
すぐに着いて彩桜は地面に両掌。
掌握で地中を探り、不自由な拾知も拡げる。
また人神オンリーなのだろうと、サーロンと団員達は静かに待った。
ショウだけは他の場所をクンクン探っている。
【このヒト達……財宝に付いてるけど……】
ぐるりと見渡して2周。
改めて1点を向いて見詰める。
【うん、コッチだね】〈サクラ?〉
〈あれれ? その声、ダラジャ博士?〉
〈やはりサクラだ♪ サクラ感じた♪
少し、練習した。話せる♪〉
〈探すから待っててね~♪〉
〈私達、遺跡。昔々の王の家と墓。
王、邦和で言えば、豪族〉
〈ヒントありがと♪ 見つけたから行くねっ♪〉
【ショウ、掘らずに待っててね♪】【うんっ♪】
【みんなで行こ~♪】【【【うんっ♪】】】
【ボクはショウと残るよ。
怨霊いるのに単独は危険だよね】
【サーロンありがと♪ 行ってきま~す♪】
チビッ子達を連れて瞬移した。
【ショウ、まだ何かありそうなの?】
【わっかんな~い♪ でも何か埋まってる~♪】
【それって、有るってコトだよね♪】
【そうかも~♪】
ショウと彩桜は似ている。
ショウと組むのも楽しそうだと改めて思うサーロンだった。
お兄ね……真面目に修行するなら
相棒してもいいんだけどね。
お義姉さんの為にしか
真面目が無理なんだよね……。
ついつい、そんな事を考えつつ。
第2世期末期の魔女オーガンディオーネは浄魂耐性を持つので、処刑されようが魂が粉砕されようが生きているんです。
その細かくなった魂片が神やら人やらの魂に紛れ込んでいて、宿主を封印したり、操ったりして悪事ばかりを続けているんです。
彩桜達が最初に行ったのは、漢中国の3代魔女(祖母・母・双子娘)の4人の家です。
祖母(初代)・豊鈴と母(2代目)・水鈴は既に怨霊になっていて、現役(3代目)毒薬魔女は娘の鈴春と鈴豊でした。
その魔女達の家から保護した人達がキツネの里に居たんです。
翔家は孤児院で、怨霊 豊鈴に拐われた梅華(瑠璃の双子の妹)を保護して育ててくれました。
羽龍も暮らしていましたし、リーロン・サーロンも金錦の話だけで養子として受け入れてくれた優しい夫婦の家です。
双子魔女は翔家も苦しめていたんです。
次のナディアールは中東出身だとしか分かっていない女性です。
どうやら泥棒だったみたいですね。
輝竜兄弟に捕まった時も、彩桜が重いと言うくらい金銀財宝を身に付けていましたからね。




