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祈祷師
「やめれ」
友達が流行り病にかかったと告げた直後に返ってきた答えがこれ。
「どういうことですか?」
「この病はある一定の周期でやってくる。前は10年前だった。呪いじゃよ。病で死んでいったものたちの怨念がまた募って、この町をまた流行り病で襲うのじゃ」
「…だとしても、友達が犠牲になっているんです。見過ごすことなんて私にはできません」
「どうしてもか」
「どうしてもです。なんでもいいんです。なにか手立てはないんですか?」
「一つだけある。じゃがおすすめはしない」
「教えてください」
「鳥骨鶏の卵じゃ」
「鳥骨鶏の卵?」
「そうじゃ。それを煎じて飲ませるのじゃ」
「なんだ。手はあるんじゃない。どこに行けば?」
「ここからはるか東にリアス式海岸と呼ばれる場所がある。その断崖絶壁の途中の洞穴の奥に何匹か生存しておると聞く」
「わかったわ。ありがとうおばあちゃん」
「娘。名を聞いておこう」
「私の名前はプローリアよ」
「そうか。プローリア。……道中気をつけてな」
「ありがとう。祈祷師のおばあちゃん」
「また一人犠牲者が出る」
その声はすでにプローリアには聞こえない。




