命運を分けよ -4-
その後、スウたちからも話を聞いた結果、晶は一つの結論を得た。晶はクレアの部屋に向かいノックした。
「晶です。入ってもいいですか」
「……いいわよ」
どこか疲れたような声が返ってきた。晶はどうしたのかと思いながらも部屋に入った。
魔王がベッドに寝転びクレアさんがマッサージしていた。
あっエロい。
晶は思った。
全裸の美少女を美女がマッサージしている。
なんかぬるぬるした液体みたいのも塗っているしクレアさん汗ばんでいるしエロい。
とにかくエロい。
だから言った。
「これは3Pの誘いということでいいんですかっ!」
「違うわ!」という言葉とともにぬるぬるした液体が入っていたと思われる瓶が飛んできて晶の頭に当たった。痛い。瓶が割れて刺さって血が出ている。
「……痛いじゃないですか」
晶は魔力を全身に滾らせ治療する。
「あなたがいきなり変なことを言うからじゃない!」
「俺、まだ魔法もろくに使えないんですよ? 死んだらどうするんですか」
「あんな下品なことを言うやつは死んでもいい!」
「ひどいですね。と言うか、3Pって言葉の意味、わかるんですね」
「そっ、それは」クレアの顔が赤らむ。「……私も、そういうことに興味がないわけじゃあないし」
かわいい。「かわいい」
「かっ、かわっ」クレアの顔の赤がさらに濃くなる。「からかわないで!」
「いや、本心ですよ」
晶はふっと笑う。
「俺は今すぐにでもそのかわいい顔をむちゃくちゃにしてやりたいとぐほぁ!」
突然、晶は何かに殴られ吹っ飛び壁に衝突し崩れ落ちる。晶はそれをやった犯人、スウを見て言う。
「くっ、俺が何をしたと言うんだ!」
「わからないなら教えてあげましょうかー?」
全身から溢れんばかりの殺気を発し髪を矛のように変形させゆらゆらと揺らしながら言う。
「その身体に、教えこんであげますよー?」
それを見て晶は言う。
「つまり触手プレイをするとい痛い痛い痛いそんなところに入らないからちょっと待ってあっでも気持ち良いかもしれなあああああああああっ!」
数分後、まるで一つの戦でも終えたような格好と雰囲気をまとった晶は言った。
「ふぅ。テレ屋な子猫ちゃんたちだぜ」
スウの髪が逆立ちクレアがどこからか剣を取り出した。
「……ま、まあ、落ち着いて下さい、クレアさん、それからスウも」
「もう二度とあんなことを言わないって約束できる?」
「あなたたちのような美女を前にそんな約束はできませ」スウの髪が高速に晶の横顔を通り数本の髪が切れた。「……と、時と場合は考えようと思います」
「許してやれ、クレア、スウ」寝転んだままの魔王が言った。「長野晶はこのような人間なのだ。この生き方は変わらない。この我にも言っている時点でわかるだろう」
「でも……」
「それに、こいつが役に立つことはもうわかっているだろう? むしろ身体の一つくらい差し出せば良いと思うがな。貴様の身を捧げるだけで国が救えるなら本望だろう」
「そっ、それは、そうかもしれないけれど……」
クレアがもじもじとして顔を伏せる。かわいい。剣を持ったままというのがちょっとこわいがかわいい。しかし美女を悩ませるのは晶の望みではない。晶は言う。
「心配しなくても、クレアさん、俺はあなたが美女というだけでこの身程度なら捧げますよ。確かに、あなたが身を捧げてくれると言うならば俺も嬉しいとは思いますが、それがあなたの望むものでなければ俺の望むものでもない。俺は『無理やり』っていうのはあまり好きじゃあないんですよ。俺に身を捧げるのは俺に惚れてからでお願いします」そして晶は笑う。「まあ、もう俺に惚れているのなら、今でも構いませんが」
「惚れてない」クレアは言う。笑みを含んで言う。「で、何の用なの? まさかこんなバカ話をするために来たわけじゃあないでしょう」
「今のも十分真剣な話のつもりだったんですが」晶はあははと笑う。「まあ、確かに本題は別にありますね」
「それは?」
クレアが訊ねる。
晶は笑みを深めて言う。
「『連盟』に行きましょう。もしかしたら、『王国』を取り戻せるかもしれないので」