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命運を分けよ -5-

 リリィが話した『ナガノアキラ』についての情報はあまり多くなかった。彼は言った。


「確かに、俺は帝国の、と言うよりはレインの下に居るが、それは『今』だけの話だ。自分の愛弟子とつい最近会ったばかりの主、どちらを優先するかは明白だろう」


 その言葉に反発する者も居たがレインはそれを制した。レインとリリィは協力関係にあるだけで上下関係はない。利害が一致しているからリリィは補給部隊に所属しているが、それでもレインの部下ではないのだ。裏切ることはないだろうが裏切ったところで問題はない。裏切ったなら殺すだけだ。そしてリリィはそれをわかっている。だから裏切ることはない。たとえ『ナガノアキラ』が敵になったとしても、リリィは彼を撃退するだろう。殺すことは避け、しかし必要とあらば殺すだろう。彼はそういう人間だ。


 レインとリリィはまだ知り合ってから日が浅いがそれでも互いが『どういう人間か』くらいはわかっていた。そしてそれで良かったのだ。それだけで十分だったのである。


 そうして『ナガノアキラ』に関する話は終わった。次にいつ会えるかはわからないが、その時までは『会った時にどうするか』くらいしか考えることはない。そして今の本題はそれではない。会議は本題へと入った。


「それで、レイン様」レイン軍『第二』アークリンドが口を開いた。「次の戦は、どこで」

「ここだ」レインはトントンと地図を示した。「交渉だけで奪える可能性もあるが無理だろう。まずは交渉だな。そして交渉決裂の結果、『開戦せざるを得なくなる』」

「ここに何かあるんスか?」ユクノという少女が言った。「攻める理由が」

「ああ」レインはうなずく。「少し、興味深い話があってな」

「へえ。レイン様が興味を抱くってことは、結構なものなんスね」

「ああ、結構なものだ。ひょっとすると、世界征服達成が早まるかもしれないほどには」

「それはすごいッスね。興味深いッス。ミクリスもそう思いませんか?」

 その言葉にローブとラバースーツのようなものを着ている女性、ミクリスが顔を上げる。「まあ、確かに気になるけれど、それ、私にも『やらせて』くれるんですか?」

 レインは笑みを見せる。「『食べかす』でいいなら考えてやらんこともない」

「ほら」ミクリスはユクノを見て言う。「だから、今回はそんなに気が乗らないかも」

「気が乗らなくとも、自分の仕事をきっちりとこなせばそれでいい」レインが言った。「無論、自分の仕事すらこなさない『愚民』は私の部下ですらないが」

「わ、わ」あわあわとなってミクリスは言う。「ほ、本気でやりますっ!」

「そこまで慌てるな、ミクリス」くっくっと笑いレインは言う。「最初から私も研究するならお前と共同にしようと思っていたからな」

「えっ」ミクリスの目が輝く。「い、いいんですかっ!」

「今回は私の専門からは外れるからな。どちらかと言えばお前の専門だ。だから、私とお前で共同研究することになるだろう」

「きょ、共同……」ミクリスが恍惚に呟く。「せ、精一杯、頑張らせて頂きますっ!」

「ああ、頑張ろう。そしていつも通り『征服』しよう」


 そしてレインは言った。


「では、これより作戦を立てる」


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