25/25
《エピローグ》
数日後、庭に出てみると、ハザマが二階の窓から外を眺めていた。
何をしているんだろうと、庭から見上げて声をかけてみると、不意にこんな言葉が返って来た。
「なぁ、御影。西側の塀が傾いていないか?」
うちの屋敷の白壁は、町並み保存地区に指定されており、観光名所にもなっている室生家自慢の壁だ。
俺は当主としてのリスクマネジメントも兼ねて、一応、屋敷の西側の壁へ偵察にいった。
すると……確かに微妙に傾いているうえに、なんと白壁にヒビが入ってやがる。
俺は壁の前で腕を組み、考えこんでしまった。
……これの原因……雨宮じゃねぇの?
アイツ、うちの従業員をたぶらかす時に、この自慢の壁で何度も壁ドンしやがったから、その衝撃で傾いてきた……
しかもヒビまで入るなんて、いくらなんでも誘惑しすぎだろ。
俺は静かに怒りを燃やしながら、この壁の修理費は絶対にアイツに回そうと固く心に誓った。
青き名の家系 篇 <完>




