第三十六話 数学の修羅場
うわぁ……なんかこの人、時々しかけてくる攻撃がやけに激しくないか?特に最近その頻度が高くなっている気がする。羞恥心が薄れてきているのか?それとも、ただ単に照れ隠しの演技が上手くなっただけなのか?だが、こうして邱艾晶の世話を焼けるのは、実際のところ自分にとっても嬉しい役得だ。そう思いながら、游暐安も自然な流れで箸を受け取った。
葉物野菜を一枚つまみ上げ、邱艾晶の口元へ運ぶ。邱艾晶は自分でふーふーと冷ましてから、迎えに行くように箸から直接口へと運んだ。
煮込み加減はまさに絶妙だった。野菜の葉は歯が少し触れただけでとろけるほど柔らかく、トマトスープの味わいが野菜の甘みと共に口いっぱいに広がる。お椀の中の他の野菜も、ちょうどいい具合に柔らかく煮込まれている。料理人がそれぞれの食材の特性に合わせて適切な大きさに切り、最も完璧なタイミングで鍋に投入したことが十分に伝わってくる。じっくりと煮込まれたその濃厚な味わいは、市販のレトルト品にも全く引けを取らないものだった。
まずはお椀の中の目立つ固形具材を箸で食べさせ終えた後、游暐安は両手でお椀を持ち上げ、邱艾晶が直接口をつけて飲めるようにした。彼女はゆっくりと顔を上げながらスープを飲み干した。食事を食べさせる過程は少し滑稽にも見えたが、游暐安は自分がまるで専属の介護士にでもなったような気分だった。あとは車椅子を押して邱艾晶を日向ぼっこに連れ出すくらいしかやることがない。しかし一方で、あながち間違ってもいなかった。こうして邱艾晶が全面的に游暐安に頼りきりになる時間は、食事であれ、学校で学べない知識の補習であれ同じことだ。ただ一つ違うのは、これが単なる生理的な欲求を満たすための依存ではなく、そこにある程度の感情的な拠り所も含まれているという点だった。
食後、游暐安が空になったお椀を洗おうと下のキッチンへ持っていくと、方雨彗が共同キッチンのダイニングテーブルに一人で座り、スマホをいじっているのを見つけた。
「あれ?調理器具の片付け終わったの?なんで部屋に戻らないで、ずっとここに座ってんだよ?」
「あんたたち、まだ数学の続きやるんでしょ。終わったら戻るわよ、邪魔したくないし。」方雨彗はスマホから少しだけ視線を外し、游暐安をちらりと見ただけで、またスマホの画面に目を戻した。
「お椀はそこに置いておいて。私が洗うから。」
「あ、サンキュ。」
この気遣いは余計なお世話と言うべきだろうか?なにしろ、彼女が一人で共同キッチンに座って何もしていないのは、他の人の目から見れば少し奇妙な光景だ。とはいえ、ここを通りかかる人がほとんどいないなら、まあ大丈夫だろう。游暐安も、別に部屋に戻ってきても構わないと言おうかと思ったが、どうせ言っても無駄だろうと察し、今日は教えるべきところを教え終えたら早めに帰ることにした。
翌日の放課後、方雨彗は部活に参加しなければならなかったため、簡彤菲が邱艾晶の看病に行くことになった。
「明日、簡彤菲が来てる間に何か突発的なトラブルがあったら、いつでも私に電話してよね。何しろあの子もあんたと同じで、ちょっと安心して見てられないタイプだから。」これは前日の夜、游暐安が帰った後、方雨彗が邱艾晶の部屋で彼女に言った言葉だった。
「えーっ、ちょっと、あの子のことだけ言えばいいじゃん。なんで私まで一緒に巻き込むのよ。」
「否定できるわけ?」
「……できないけどさ。」
軽い冗談のような口調で交わされた会話だったが、方雨彗の忠告は極めて真剣なものだった。しかも、方雨彗の中で、簡彤菲と邱艾晶の「心配な点」というのは、実は全く別物なのだ。邱艾晶の単なるおっちょこちょいとは違い、簡彤菲に対するそれは、別の次元にある――「疑念」とでも言うべきものだろうか?
簡彤菲が邱艾晶の世話をしに来るこの日、游暐安も同様に、邱艾晶がクラスの授業の進度から遅れないよう彼女の家へ向かうことになっていた。今日の放課後、游暐安は簡彤菲と一緒に邱艾晶の家へ向かうことはなかった。簡彤菲は先に一人で別の用事を済ませる必要があったため、彼も合鍵を受け取り、先に向かっていたのだ。しかし、游暐安の傍らには、別の女の影がくっついていた。
「もう一回言っておくぞ。せっかく連れてきてやったんだから、後でふざけたり、嫌味なこと言ったりするなよ。あいつと仲良くしたくないにしても、少なくとも面倒だけは起こすな。分かったな?」
その女とは、游暐安の妹・游筱安であった。前日の放課後はバレーボール部の練習に参加していた彼女だが、今日は練習がなく、しかも兄が今日も邱艾晶の家に行くと知るや否や、何が何でもついて行くと言ってきかなかったのだ。連れて行けば絶対に面倒なことになるのは目に見えていたが、断れば彼女が自分を行かせてくれないのも分かっていたため、邱艾晶と簡彤菲の了承を得た上で、しぶしぶ同行を認めたのである。ただし、面倒を起こさない、無礼な態度をとらない、大人しくしている、というのが条件だった。まるで、五歳の子供を親戚の家に連れて行く前に言い聞かせる約束のようだ。游筱安もその条件には同意したため、こうして一緒に向かうことになったのである。
「それじゃあ、今日はまず国語から始めようか。今はこの『馮諼、孟嘗君の客となる』の単元で……」
邱艾晶に向かってそう言いながらも、二人はやはり、背後からこちらへ突き刺さるような冷たい視線を感じていた。
「えっと、游筱安。お前、本当に自分のことやらないのか?自分の勉強しててもいいんだぞ。俺たちがどっか行ったりするわけじゃないんだから。」
「別にいいよ。二人は二人のこと進めてて。私のことは気にしないで。」
「そうかよ……。」
無意味なやり取りを経ても、游筱安は相変わらず二人をじっと見つめ続けていた。そのため、彼らは時折居心地の悪さを感じていたが、そんな感覚に囚われるということは、授業に集中しきれていない証拠だろう。二人はそう自分たちに言い聞かせ、背後の視線を気にしないように努めた。相手はただの自分の妹だというのに、無意識のうちに彼女に支配されているような感覚に陥り、なぜか昨日のようにリラックスした雰囲気で、たまに雑談を交えるような空気には到底なれなかった。本当におかしい。どうして俺はこんなに妹を恐れなきゃならないんだ?
次回予告:簡彤菲が何食わぬ顔で邱艾晶の食事を運び、游兄妹の飲み物を買ってきてくれる。一見するとごく普通の光景だが、やはりこの張り詰めた空気が長く続くはずもなく、游筱安がこのタイミングでこっそり常軌を逸した行動に出て……
次回:それぞれの思惑が交錯する看病の日常




