トライカー編14 スイッチ
A、「次の方どうぞー。」
並んだ数百人の、先頭の人物が歩み出る。
A、─「なーんにもこわくありませんからなー。かぶっ。」
口を広げたガルデニアが、彼の手首を咥える。
「んむんむ。ぷはっ、しばらくよいこにしていればしっかりくっつきますぞー。」
彼は人差し指を、曲げて伸ばして、「ありがとうございます、ありがとうございます!」と感謝の言葉を述べる。「あなた」は「お大事に〜。」彼を見送って「次の方どうぞー。」と列へ声をかける。
「な、なあ…。いや、ナインさん。」
マチコに声をかけられる。「あなた」は「今まで通りでいいよ。」と返事をして、次のAADA隊員に声をかける。
「だからって、あんな事の後、今目の前で起きている事を見せられて、よ…。」
「あなた」は次の隊員を呼んで、マチコに「ガルデニアは、既にこの一帯の大気組成を操作してる。そもそもこの地球人類の技術の基礎になった、幸拓 結実子の肝入りの対惑星文明兵器のひとつがガルデニアなんだ。」息を呑むマチコ。
「わたしはノーカラーズそのマークシックスですなー。かぷっ。」
「始めから、上から目線だったって事かよ…!」
やっと、マチコが以前と同じ口調に戻った。
A、「少し違う。」
「あなた」の言葉に、
A、─「何が違うってんだよ!わざわざトライカーの試合に出て、AADAに入るって、観光気分かよ!」マチコが叫ぶ。例えば、旅行先の宿泊施設で行うカードゲームのような感覚で、惑星文明同士の戦争に介入する。そう、言いたいのだろう。
B、「ぼく/私にも正しい答えなんてわからない。」そう、答えなんて無いかも知れない。
B、─「ならどうして!」マチコの声は、この場のAADA隊員全員の気持ちを代弁しているのだろう。トリガーにかけた指を、その銃ごと奪われて、そして今奪った本人の口で完全に回復されている。
矛盾だ。
そう。
C、「人間は矛盾する生き物だから。ガルデニアのような生体兵器を作ってもなお、殺し合いをしている。」
C、─「ならどうして!ほっといてくれたらいいじゃないか!大事な人が殺された分、相手の大事な人を殺させて、くれよぉ!」
「わたし達も、相手のひとたちを一瞬で皆殺しにするため、ここまで技術のれべるを上げたのですなー。」
んべぇ。
ぼとっ。
ガルデニアが何らかの赤いボタンと、誰かの手首を吐く。皺だらけの、傷だらけの手首。
預かったままのマチコのスマートフォンへ、「先程の会話の通り、ガルデニアは惑星大気内の敵対行動を感知、無力化が可能だ。この手首の持ち主、某県某市某町xx-yのnnアパートメント106号室へ来れば、現状回復を行う。」そう「あなた」は言い放った。
「まさか、アタイ達ごと…。」
驚愕するマチコへ、「妥当な判断だ。ぼく/私たちを尖兵と判断し、この地球に来た事実ごと消し飛ばそうとした。恐らくは熱量産出兵器、地球人類の言葉なら核兵器だろう。」「あなた」は、もう一度マチコのスマートフォンへ。
A、「女神直属騎士隊フラマ セラタの隊長、次元騎士ナイン・エルナ。外交特使として、AADA方面司令官との非公式会談を望む。」
少しの、沈黙の中。
かぷっ、んべー。
ガルデニアが淡々とAADA隊員の人差し指を咥えて、接合してゆく。
ザザ。
スマートフォンに艤装したであろうマチコの銃器、または通信機が音を立てる。
「お受けしよう。」




