第四話
私たちは、また、いつものように逢瀬を重ねて、日々の事を語り合った。
たまに、前世の頃を思い出して、笑ったりもした。
「本当に……夢みたい」
彼の腕の中で呟く。
「見つけてもらえないと思っていたわ」
「どうして?」
「だって、私、おばあちゃんになっちゃったんだもの」
言うと、彼は笑った。
「見つけるよ。姿が変わっても。君はいつでもきれいなんだから」
私も、おかしくて笑った。
「あら、そんなこと、昔は一言も言ってくれなかったのに」
「言ってなかった?」
「聞いたことないわ」
「なら、今世は何度も伝えるよ。マリーはきれいだよ」
私の髪先に唇を寄せて、彼は素直に私を口説く。
「やめて……なんだかむず痒いわ」
「嫌?」
「悪い気はしないけれど……あなたに言われなれていないから、恥ずかしいの」
苦笑すると、彼はバツが悪そうに視線をそらした。
「……僕は、口下手だったから……君はつまらなかっただろう?」
私は首を横に振る。
会話のない、静かな空気も、私は好きだったから。
「今度こそ、幸せにするよ」
「あら。以前の私も幸せでしたよ……?」
そう答えると、今度は彼が首を横に振った。
「以前の僕は、君に負担をかけてばかりだっただろう」
「そんなこと……」
否定を返そうとした私の唇が、ゆるく塞がれる。
「これでも反省しているんだ。今度こそ、君に寂しい思いはさせない。今の私の方が、君を幸せに出来ると思う」
そう伝えてくれる彼の瞳は、前世のそれとは比べ物にならないくらい、強気にあふれていて……。
「……いや、負けないくらい、幸せにするよ」
紡がれる誓いの言葉は、まるで前世の彼自身に、嫉妬しているようにも聞こえた。
「分かりました。なら、私も。前世よりも幸せになります。あなたと一緒に」
そう返して、約束、と私たちはキスをした。
――End




