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糜芳andあふた~  作者: いいいよかん
72/111

その9

呼んでくださっている皆様へ。


いいね及び感想及び誤字脱字報告、ありがとうございます!


色々とご協力ありがとうございます。


今回は、糜芳が太守から州牧就任になる迄の、あらましを書きました。


ちょっと時系列が、前回・前々回と前後を繰り返していますが、悪しからずご了承を。


次回から本格的な州経営に入り、韓遂達との関わりを書いていくつもりです(予定)。

          涼州漢陽郡


4月、3月には大将軍府から州牧創設に伴う、人事異動に託けて、許家からの危害を避けるべく、涼州漢陽郡への転任を内示された糜芳は、本来は浮屠の結界(防衛網)が有る為必要性がなかったのだが、不信に思われて荀攸に探られるのを避けるべく、転任を承諾。


後任には徐州に於ける、屯田制の民屯の発展と維持の為に、国淵を推挙して後事を委ねた。


又、帰郷する蔡琰が担当していた、就業訓練所の幼年部教育担当官に、一時的に交代で執事から外して笮融を抜擢し、未来の糜芳糜家に雇用する為の、有能な人材育成・選抜を委託する。


見目麗しい蔡琰から、凶悪面の笮融に替わって、幼年部の子供らはギャン泣きしていたが。


私的には徐州との救済計画関連の、連絡のやり取りの充実化を図り、浮屠暗部の人間を雇用したりして、暗部が元々持っていた連絡網の強化を行った。


そうして諸々の手配をした後、蔡琰・全明・大蝉・華陀と共に、軍部から兗州方面に派遣された、賊徒討伐軍に徐州からの、補給物資の引き渡しに便乗して、軍部の護衛付きで洛陽に到着。


そのまま蔡琰の実家・蔡家に宿泊し、蔡家で何進・荀攸達が訪れて、2日間に渡り歓待をうけた。


何故だかニヤニヤと笑う、ご機嫌な蔡邕と何進達に(ほの)かな疑念を抱きつつ、残るとゴネる華陀を暗部のイーが、秘孔(?)らしき技で一撃必殺に気絶させて、一緒に任地の漢陽郡に出立した。


因みに、蔡琰達はヒャッハーな世紀末的地域に連れて行くのは、伝説的な暗殺拳伝承者が居ない状態で、リ○さん達を連れ回すのと同義なので、バットな状況になるのを避けるべく、お留守番である。


ついでに華陀を連れて来たのは、涼州の医療技術の基礎作りという名目で医療提供し、人心を得ようと目論む、糜芳自身の涼州に於ける保身の為で、定住させるべく、ハニトラ()()()()()の独身の弟子を数人引き連れていた。


華陀にはコソッと、「美人現地妻・希少なブツ(薬種(やくしゅ))・権力者とコネ」の単語を呟くと、欲望に染まった目で、ホイホイついて来たのであった。


そうこうする内に、長安を抜けて漢陽郡との州境に近付くと、「董」の字が書かれた旗をはためかせ、数百程の騎兵を引き連れた、ヤーさんの親分こと董卓が、待ち構えていた。


「しゃっちに(わざわざ)よう来たにゃあ、糜芳殿。

何進大将軍の依頼で、郡治所の有る()県まで護衛しちゃるけん(してやるから)、どーんと安気(あんき)におりや(安心しろや)。」

方言丸出しのドスの利いた笑顔で、馬上で拱手して出迎えてくれる。


「あ、董卓将軍お久しぶりです。

わざわざの護衛、ありがとうございます。

将軍に護衛して貰えるなんて、百万力ですよ。」

「ほやろほやろ(そうだろそうだろ)?

ま、涼州で儂に喧嘩を売るような、野風憎(のふぞう)(やんちゃ)は()らんけんどがな。」

胸を張って、自慢げに言う董卓。


「ちょっと親ブゥゥぅ!?・・・失礼、殿!

糜芳殿は太守として、(おもむ)いて来られてるんですから、キチンとした言葉遣いを為されませ。」

董卓の裏拳を喰らい悶絶しながらも、言葉遣いに苦言を呈する副官兼娘婿(マス夫)牛輔(ぎゅうほ)


「ああん!?よもだ(ふざけた事)言いよると、シバくぞボケが!

郷に入れば郷に従えゆう(ことわざ)が有るようにのう、地元の言葉慣れすんのが礼儀ちゅうもんやろが?

儂の言いよる事は違うか、のう?」

「いえ、董卓将軍の言うとおりです。

んじゃ改めて、よろしゅう頼んます。」

「おう!任せとかんかいや!」

ガッハッハッハと豪快に笑う。


「とっくにシバいとりますやん・・・。

あで!?・・・何でもありません、黙っときます。」

シクシクと泣き寝入りする、娘婿さんだった。


馬でポックリポックリとゆっくり歩きながら、涼州の現況を確認すると、


「何進大将軍から、并州牧の内示があったんやが、このまま儂が居らんなると、韓遂と馬騰(ばとう)抗争(出入り)が待ったナシになるけん、行きとうても行けんのが、現状なんよコレが。」

溜め息を吐いて嘆く。


「韓遂と馬騰が抗争ですか?」

「ああ、2人共漢朝の為にちゅう正義感と、腐れ者誅殺には同じ考えなんやが、異民族対策では正反対の考えを持っとってな。

お互いに譲らんと揉めて、抗争寸前なんよ。」

「異民族対策で、ですか・・・。」

対外路線で紛糾真っ只中かい、面倒くさいな~という表情をする糜芳。


「ほうなんよ。

韓遂は異民族を潰せる所は潰し、利用できる所は利用して、漢朝の威厳を誇示すべきという強硬派。

馬騰は異民族とは友好関係を構築し、それでも敵対関係を選ぶ部族のみ討ち、漢朝の徳を示すべきという、融和派でなぁ。

まぁ、馬騰の場合は嫁さんが、異民族の(きょう)族出身ちゅうのも、有るんやろうけどがな。」

「へ~成る程。

因みに董卓将軍は、どっちに与しているんです?」

恐る恐る尋ねる。


(どっちに付いているかで、俺も支持する方を決めんといかんからな)

涼州のドン・董卓に、追従する気満々の糜芳。


「うん?儂は中立やぞ?

仮にも兄弟の盃(義兄弟)を酌み交わした、彼奴(あいつ)等の媒酌人(ばいしゃくにん)(後見人・見届け人)やけん、どっちかによっぽどの非がない限り、どっちに加担しても、仁義破りになるけんのう。」

「え?2人って兄弟分(きょうだいぶん)何ですか?」

「ああ、韓遂が兄貴分で、馬騰が弟分やぞ。」

「いやはや義兄弟で揉めるなんて・・・。」

ボ○ビーとスネ・ジャイや、孫策と周瑜と同じなのに、殺し合いをしようとしているのに驚く。


(いやホンマに修羅の国やなぁ涼州って。

つーかそれ以上に仁義だの(さかずき)だのって、完全無欠にヤ~さんの世界やんけ・・・帰りて~よぅ、一般ピープーが来る場所じゃねーぞマジで此処(ここ)は)

仁義無き世界に踏み込んだのに、内心涙する。


「そら若い()の時は()がらだけ(個人同士)の友情、損得抜きで付き合えても、一家(軍閥)を持ってもうて人の上に立ったら、そうもいかん。

色んな(しがらみ)が出来るし、個人ではなぁなぁに済ませれるのに、立場や見栄みえ)が邪魔して(しま)いには(こじ)れて、韓遂達みたいになってまうもんや。

それに(いにしえ)でも、「刎頚ふんけい)の交わり」を交わした、陳余(ちんよ)張耳(ちょうじ)の様に、殺し合いをした実例もあるんやけん、いなげな(おかしい)話じゃなかろうもん。」

「まぁ、確かに。」

頷く糜芳。


「ん?そう言えば、前の皇甫嵩将軍率いる官軍の時って、韓遂と董卓将軍は敵対していましたよね?

曲がりなりにも媒酌人と敵対って、仁義的にマズいんじゃないんですか?」

義兄弟の抗争以上に、悪いのではと首を傾げる。


「うん?ああ、あん時は官軍対反乱軍の、外部勢力との(おおやけ)の戦闘やろ?

一応涼州軍閥筆頭の立場上、儂は官軍に付いただけで、偶々韓遂とそういう立場になっただけやけん、別段仁義破りにはならせんよ。

あん時は馬騰も韓遂に同調しとるし。」

「はぁ、クッソややこしい土地柄ですね、此処は。」

涼州の面倒くさい慣習に呆れる。


日本風に例えると、涼州軍閥は外部勢力に対しては、日本の戦国時代の豪族の如く、自身と軍閥の生き残りを賭けた、「利害得失に依る離合集散」を重視して、生き残る為の生存戦略をする習性を、軍閥発足の歴史から自然と身に付けていた。


そして軍閥同士の内部勢力に対しては、日本のヤーさんの如く、自身の立場と周囲との、義理と上下・横の繋がりといった、盃事(さかずきごと)の関係(親子分や兄弟分)を重ねて、「義理と仁義に依る合力結束(ごうりきけっそく)」を重視し、擬似的な親族関係を築いて、内部結束を図るという、内外で別々の2面性を有していたのである。


(涼州軍閥って戦国時代の豪族と、ヤーさんの合いの子みたいな感じか・・・で、そん中の董卓に次ぐ勢力を持っている韓遂と馬騰が、意見の対立で睨み合いをしていると。

現状はどっちかが先に攻撃すれば、董卓の面子を潰す事になって、敵に回してしまうという抑止力が利いてるから、一触即発が回避されて、互いに牽制し合って冷戦状態か。

厄介だわマジで・・・ま、腰掛けだし、テキトーにやっていけば良いや)

難解さを理解した糜芳だが、許家の始末が着くまでの、腰掛けのつもりなので、気楽に構えていた。

この時までは・・・。


        涼州漢陽郡隴県城内


そのまま馬の歩く速度で歩き、州治所のある州都・隴県に辿り着くと、現在刺史が韓遂達に依って殺害され空位になっており、現状で最高位になった太守である糜芳を歓待しようと、大勢の州・県の役人達が門前で待ち構えていたが、


「わざわざのお出迎えと歓待、誠に恐れ入る。

しかし、先ず真っ先に訪ねるべき所があるので、後にしてほしい。」

軽くいなして通り過ぎ、董卓に案内を頼み騎乗のまま、異民族との戦いで戦死した兵士達の、()()ない慰霊碑に向かう。


そして慰霊碑に着くや否や下馬(げば)をして、慰霊碑の前で正座し、


「命を懸けて愛する故郷、愛する家族の為に、戦い抜いて国家に忠節を尽くした、不惜身命(ふしゃくしんみょう)義烈忠勇(ぎれつちゅうゆう)なる、数多(あまた)の英霊の方々。

私、この度朝廷より命を受け、此処漢陽郡の太守を拝命(つかまつ)り、徐州・東海郡から参りました糜芳と申します。見知りおきくだされ。

貴君等に遠く及ばない、微力な者にございますが、遺されたご家族の将来を助け、故郷の発展に力を尽くす所存にございます。

どうかご照覧(しょうらん)あれ。」

深々と拝礼する。


慰霊碑に拝礼した後に、糜芳の突然の行動にポカーンとしている董卓達に対して、


「董卓将軍!

貴殿と同郷の英霊の墓前にございますぞ!?

馬上のまま居られるのは、非礼に過ぎましょう。

下馬めされい!!」

一喝して叱りつけた。


「お、ああ、これは失礼仕った。

オラ!おどれらも下馬せんかい!!」

糜芳に叱られて我に帰った董卓は、慌てて下馬して部下達にも下馬させ、一斉に墓前に拱手する。


「ありがとうございます。

え~と・・・其処の武官殿。」

興味本位なのか歓待にいた文武官達が、ゾロゾロ糜芳達の後ろを随行しており、その中で先頭にいた厳つい武官を視線に捉える。


「は、某ですか?」

「うむ、貴君に問いたい。

余所者の私でさえ、此処(慰霊碑)(まつ)られている方々は、立派な英霊と思っているのだが、貴君等にとっては違うのか?」

「滅相もない!某どころか、漢陽郡いえ涼州の皆々にとっても、まごう事なき英霊にございます!」

拱手しながら、胸を張って答える武官。


「成る程左様か・・・では何故この様に、野晒(のざら)しの雨晒(あまざら)しで置いてあるのか?」

「は、いえ、その・・・恥ずかしながら何度も我々も、太守様や刺史様に掛け合ったのですが、取り合って貰えず・・・。」

口惜しげに俯き、握り拳を作って無念がる。


「なんともはや薄情な・・・貴君等の父祖の尊い忠武(ちゅうぶ)があればこそ、我等他州の者は異民族に怯えず生活出来ているのに、その恩義を忘れるとは。」

さも嘆かわしげに眉間に皺を寄せて、自前の護衛として連れて来ている佐郎達に、何進から貰った支度金(の一部)を持って来させ、武官の前に置き、


「その様な仕儀とは知らず、お許し願いたい。

どうかこの金で(びょう)を建てて、丁重に祀って貰いたいのだが、コレで足りるだろうか?」

「こんなに!?足りぬ処か有り余る程ですが!?」

大金を観て、大いに驚く。


「では其処の文官殿。」

「はい!?何でございましょうや?」

「廟を建てた後に余った金銭は、竣工(しゅんこう)祝いとして、城内の皆々に酒や料理を振る舞って貰いたい。

その方が英霊達も喜ばれよう。」

なんとなく1番偉そうな文官に、余った金の使い道を指示する。


「は・・・ははぁ!ご温情感謝します!

い、今まで中央から派遣されて、此処まで暖かい配慮をしてくださったのは、私の役人生活の中で貴方様が初めてでござりますぅ・・・ううぉぉぉん!」

「誠に・・・奪う・取る事しか頭になく、我等涼州民を見下す者ばかり・・・。

(ようや)く、漸くマトモな方が来て下さった。

父祖に代わり感謝します・・・うっうっう。」

文武官共に涙して頭を下げた。


(まさか、これぐらいで喜ばれるなんて・・・。

どんだけアホ共(名家・宦官)は、涼州で悪行の限りを尽くしたんだよ?・・・逆にすげーわ)

余りの感激振りと、これくらいで喜ばれる程に、略取や横暴を繰り返した、今までに赴任して来たアホ共に唖然とする。


実際にアホ共は、涼州(僻地)脱出の為に朝廷の名を(かた)り、勝手な名目で重税や増税を行い、涼州民から略取して暴政を敷き、搾り取った税金を賄賂として、自分達の派閥の上司に贈っていたのである。


そんな暴政を代々した結果、堪忍袋の緒が切れた涼州軍閥達に依る反乱も、代々発生するのは至極当然の事であった。


それはさておき、


(涼州民の心証を良くする為に、丁重に弔いをしたんだけど、なんかすんごい効いてんなこれ・・・。

8割方は本当に、感謝の念を持ってやってんだけど、とてつもなく凄い罪悪感が・・・うう、とりあえず腰掛けでも、出来る事は精一杯して帰ろう)

2割の打算で、言い知れぬ罪悪感を覚えた、因果応報な男・糜芳。


罪悪感に押された糜芳は、自分を歓待する為にスタンバイさせていた楽士から(この時代は貴人・賓客をおもてなしする際、楽士に音楽を演奏させるのが一般的だった)二胡を拝借、慰霊碑の前で自振りシリーズ等の、物悲しい曲をチョイスして演奏を(たてまつ)ると、董卓まで泣き始めた。


「・・・オイ、オヤジが泣いとるぞ?」

「明日は雨が降るんちゃうか?」

「あの~オヤッさん?目にゴミでもは痛ぁ!?」

董卓の振り返りざまの渾身の右ストレートが、牛輔の頬に突き刺さった。


「このボケ共がはっ倒すぞ!?

糜芳殿のなぁ礼を尽くした行いに、感動しとるんじゃがアホ共が!!」

「とっくにはっ倒してますやんけ!?

やってから言うの、止めてくださいや!?追加攻撃されるんかと思ってまいますけん!

そんで礼を尽くした行いって、なんですのや?」

殴られた頬をさすりながら、牛輔が董卓に尋ねる。


「あん?おどれらも賓客や貴人を、接待する時に音楽付きで接待するんは、知っとるやろ?」

「ええまぁ、仰々しいこっちゃなぁとは、思とりますけんどが。」

コクリと頷く。


「それをな、クソ刺史がぶっ殺された今、涼州で最高位の太守様=貴人がや、慰霊碑に祀られているつっても庶民に過ぎん霊前で、貴人・賓客と同じ扱いをしとるんじゃが。」

「???・・・え~と、よおわかりません?」

「やけんな(だからな)!最高位の貴人の糜芳殿が、庶民を貴人・賓客として、丁重に扱っとるちゅう事じゃいボケ!」

牛輔達に怒鳴りながら説明する董卓。


「こがいに(こんなに)儂等涼州民いや父祖達(犠牲者達)に、礼を尽くしてくれた奴居ったか?

儂等の犠牲は当たり前・当然とばかりに、人を塵芥(ちりあくた)の如く扱う、ゴミ屑(名家・宦官)共ばっかやった・・・。

そん中で糜芳殿だけが、儂等涼州民の父祖達を、貴人として丁重に弔ってくれとるんや。

ありがたいこっちゃでなぁ。」

再び涙を浮かべる。


「そういう事やったんですか・・・。

ホンマにありがたいですねぇ。」

牛輔も釣られて涙する。


(いやあのさ、董卓と愉快な仲間達さん?さっきからドタバタ五月蝿(うるさ)いんだけど・・・。

めっちゃ周りが観てるみたいだし、ついでに威厳とか置き去りになってるよ?)

演奏しつつ周囲の者達の視線が、董卓達の()()()()()()()()()()()()()()()()、非難めいたモノを感じる糜芳。


こうして糜芳は現代のRPG風に言うと、チャララ~♪「糜芳は涼州のラスボス=後漢の魔王・董卓を、仲間にした!」のであった。


        涼州漢陽郡冀県郡治所


隴県で慰霊碑に拝礼を済ました糜芳は、改めて歓待しようとする役人達に、


「済まないが、私は朝廷から賜った役目を、一刻も早く果たさねばならない。

私の歓待用に準備した料理の類は、英霊達に奉った後、人々に下げ渡して欲しい。」

そう言って、隴県をそのまま通過したのであった。


そうして隴県を出て郡治所のある、冀県に向かう途中で董卓に、董卓が可愛がっている孫娘へのお土産、「ヒヨコスーツ」と「兎スーツ(バニーに非ず)」を渡すと、ヤーさん面をデレデレに崩したので、おべっかで追従しようとすると、


「「「「「あ!アカンて糜芳殿!?それを言ったらオヤッさんがバカになるけん!!止めて~!?」」」」」

慌てて牛輔以下部下達が、ムンクの叫びの如くな表情を浮かべ、咄嗟に糜芳の口を塞いで、必死に止めようとするも時すでに遅し。


延々、永遠とも言える孫娘話を聞かされ、部外者では間違いなく、1番の董卓の孫娘=董白(とうはく)フリーク(オタク)になった自覚を持った頃に、漸くノイローゼの危険から脱出出来る、冀県に辿り着いたのであった。


冀県城外で出迎えを受け、そのまま郡治所で歓迎の宴が開かれ、護衛のお礼を兼ねて董卓も同席して貰い、綺麗に着飾った美女2人にお酌(中身・水)されて、両手に華状態なのだが、


「・・・ど、どうぞ太守様・・・。」

「え~と・・・ありがとう?」

「・・・・・・。」

その華さん2人が、初々(ういうい)しいとかではなく、明らかに陰鬱(いんうつ)と言うか、沈痛と言うかといった面持ちで、ビクビク震えながら糜芳を接待していた。


因みにだが、美女達を観た世紀末エロ爺こと華陀が、「うほほ、※関東(かんとう)とは又、(おもむき)の違った美人じゃあ」と、欲情にまみれた目で凝視していたが、音もなく近付いた、老僕の肩書きで同行していた暗部のイーに、首筋を人差し指と中指の第一関節ぐらいまで、ズブリと差し込まれて昏倒。

宴開始直後に即退場させられている。


(※当時の中国では、洛陽と長安の間にあった、首都防衛拠点の関所・函谷関(かんこくかん)を境目に、函谷関以東を関東(中原)、以西を関西及び関中と呼んでいた)


(う~ん・・・初対面だから嫌われる理由がないし、太守という権力者を恐れている、って訳でもなさそうだし・・・解らん)

思い当たる節が見当たらず、首を傾げる。


「あ~嬢ちゃん達、ちぃと(ちょっと)糜芳殿と内密な話をするけん、席外してくれるか?」

「「は・・・ハ、ハイ・・・失礼します。」」

董卓が酌女(しゃくめ)役の2人を、宴席から遠ざけた。


「おい、糜芳殿。」

「はい、内密の話って何ですか?」

「さっきの酌女役の女達、ありゃあ遊廓(ゆうかく)の遊女じゃなくて、生娘(きむすめ)(処女)やぞ間違い無く。」

「・・・何言ってんのアンタ?」

とんでもない下世話な内密話に、ドン引きしてチベスナ顔になり、素で聞き返す。


「ちゃうちゃう、そんなやらしい話やのうて。

あの2人、郡か県役人の娘か、親類の娘やって事を言うとんのやげ(言っているんだよ)。

しかも大概婚約者付きやな、あの態度は。」

手を左右に振って、したり顔で述べる。


「はい?婚約者居るのに、私の酌女なんかさせたら駄目でしょう!?

下手すると、あの2人の将来が滅茶苦茶になるのに、何考えているんだ此処の役人共は!」

主賓席から、自分を歓待している役人達を睨む。


「お前さん、ホントにマトモな男やなぁ。

言うとくが怒ったらアカンぞな。

今まで中央からきたボケ共は、「遊女じゃなくて、生娘が良い」と言うて、夜伽(よとぎ)を強要する輩がいよいよ(とても)多かったけん、自然と此処の役人達も、惰性いうか慣習でそうしとるだけやけんな。

しかも遊ぶだけ遊んで、後は置き捨てが殆どやし。」

地元役人の裏側を知る董卓は、哀しげに溜め息を吐いて、役人達を擁護した。


(おいおいおい・・・道理で2人共、揃って陰鬱な表情する筈だわ。

そら~見知らぬ野郎に、リアルNTRされた挙げ句に、無責任な扱いされる訳だから、たまったもんじゃねーわいな・・・)

漸く2人の反応に合点がいった糜芳。


前世みたいに、R指定のうっすい本等で見るのなら、客観的にあくまでもフィクションとして、観るのはやぶさかではないが、流石にリアルに体験したいと思う程、上級者では無い為、屑共の「下には下」のゲスッぷりには呆れ果てる。


「はぁ・・・解りました。

とりあえず何とか丸く納めましょう。

董卓将軍、ちょっとご協力をお願いします。」

「ああ、ええよ。

あの嬢ちゃん達が泣かんで済むように、仕舞いするんやったら、なんぼでも。」

二つ返事で糜芳の頼みを快諾する。


「けどが(だけど)お前さん、地元でも太守しよったんやけん(してたのだから)、向こうでも似たような事なかったんか?」

「いえ、それが全く・・・。

正直涼州に限った事象だと思ってるんですが?」

違うの?と首を傾げる。


「んな訳無かろーもん(ねーだろ)。

儂は并州刺史ん時も、普通に勧められとるし、司隷の河東郡太守ん時も同じやけん。

そんだけ余所で事例が有って、逆に徐州だけ有らへんいう事は、いなげな(へんてこ)事やぞな。」

董卓も首を傾げて糜芳を見る。


「はぁ、そう言われても・・・就任時は12歳ぐらいでしたし、私の場合は庶民階級出身ですから、自分の娘を差し出す程、旨味がなかったのでは?」

「そがいなアホな事有るかいや。

太守つう1郡の統轄者の権力に、近付いて旨味が無い筈がないやろが。

県令にでさえ、その手の事は当たり前やのに。」

手を左右に振って、ないないと言い切る。


(んな事言っても、ねーもんはねーんだよ)

俺って魅力がねーのかと、内心肩を落とす。


実際は、蔡琰・全明・大蝉の「(じょう)ズ」達が、公私に渡ってガッチリと、所謂(いわゆる)玉の輿狙いやハニトラ系を排除していた。


公的には蔡琰が鳴り物入りで、()()()()()()()()()()とされていた。


それ故に中央でも屈指の名士の娘に、対抗出来る名士・名家の娘など徐州には居らず、至極当然に誰しもが正室狙いを諦めた。


次に側室の面でも、全明が()()()()()()()と公表されていた為、自然と蔡琰が認めないと駄目、みたいな風潮が形成され、蔡琰との面識がほぼ得られないので、まず不可能だった。


そして使用人として雇用され、糜芳糜家の使用人から、玉の輿狙いを目論んでいた女性も、妹の小銭経由(現在、虎子商会商会員(社員)で、遊侠の徒(ヤ~さん)担当の営業。その繋がりで裏情報に精通)で、事前に情報が入る大蝉に依って、キッチリ弾かれるといった、鉄壁の防衛網が敷かれている。


知らぬのは当人(糜芳)ばかりであった。


それはさておき、


「ま、その辺はどうでもええわい。

ほいじゃ嬢ちゃん達を、そろそろ呼ぼう思うとるが、心構えはええんか?」

「あ、ええ、それはいつでも・・・。」

コクリと頷く。


そうして再び呼ばれた美女2人が、益々陰鬱そうにして酌(無論・水)をし始めて、少し経過した後、


(もうボチボチ始めっか・・・)

腹を(くく)って、行動開始する。


ガッチャャアアン!・・・・・・


「ええい、貴様らぁ!!散々陰気臭い態度をとりおってからに、旨い飯も不味くなる!興醒めだわ!!

私を接待するのは、そんなに嫌なのか!?」

内心で、料理人さんゴメンナサイ!と謝りつつ、盛大に食膳を蹴り飛ばし、出席者の耳目を集めて、酌女役の2人を詰問する。


「「ヒイイィィ!?滅相もありません!どうかお許しを!お許しくださいませ!!」」

糜芳の突然の暴挙に、出席者全員の時間が止まり、シーンと静まり返った中、酌女役2人の甲高い悲鳴と、許しを乞う悲痛な叫びが、宴会場に木霊(こだま)する。


タダダ・・・


「も、申し訳ありません!ご無礼の段、ご容赦を!

この者達は、身内の者以外はマトモに男と接した事の無い、(うぶ)な者達でして・・・慣れない事をしているので、戸惑っておるのです!」

「さ、左様にございます!

か、か、か彼女達は、突然太守様の接待役を仰せつかり、緊張と焦りの余りに、その様な誤解を招く仕草をしただけなのです!

どうかお許し頂けませんでしょうか!?」

宴の進行役と思しき中年の文官と、宴席の後部に控えていた若い文官が、糜芳の眼前まで走って来て、平伏をしながら許しを乞う。


「ふむ・・・おい、女よ。」

「は、はは、はい。」

「この者達が申しておることは、誠か?

正直に洗いざらい申せよ?嘘偽りを申せば、無礼を働いたとして・・・斬る。」

剣立てに立てかけてある、剣を指差して威嚇する。


宴会出席者達のみでなく、音楽を奏でる楽士達、音楽に合わせて踊る、踊り子達といった人達も手を止め、糜芳の一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)の動きに、固唾を飲んで注目している。


董卓1人だけ、厳めしいヤ~さん面で、糜芳主催の即興ストーリーに、「お、コレからどうなるんじゃ?」と、内心密かに楽しんでいたが。


「は、はい、お父様の申される通りです。」

「それだけか?言った筈だぞ?洗いざらい言えと。」

「はいぃ、私には将来を誓い合った、夫となる方が居るのにグス・・・それなのに突然、ヒグッいきなりぃぃいワァァぁぁ!!」

感情が抑えきれなくなったのか、泣き始めた。


「おい泣くな、それで夫になる者は何処にいる?」

「グスッ・・・は、はい、直ぐ其処に・・・。」

平伏している若い文官を指差す。


(マジっすか!?婚約者の目の前で、婚約相手を(はべ)らすなんて・・・胸糞わりいなぁ。

それも実父がやらせるなんて、益々・・・ああ、自己犠牲つうか、自家犠牲で余所に少しでも被害が及ばないようにって訳か)

とんでもない話にドン引きな糜芳。


「はぁ、ではもう1人の女よ。」

「は、はいィィ。」

「お前もこっちの女と同じなのか?」

余りに非道い話に、お腹一杯の糜芳は溜め息混じりで、もう1人の酌女役に問い(ただ)した。


「ハイ・・・そそ、其方(そちら)に・・・。」

自分に背を向けている、(いか)つい護衛武官を指差す。


(コッチもかい!つうかコレそのままNTRしてたら、護衛武官にブッスリ・・・し、洒落にならん)

密かにゴクリと喉をならす。


二人してさめざめと泣き出したのを尻目に、酌女役の実父兼進行役の、中年文官に視線を戻し、


「貴君よ、嫁入り前の、あ~嫁入り後もだが、婚約者・配偶者のいる女性に酌女をさせるなど、何を考えているのだ!?言語道断である!」

大声で叱りつけた。


「は、はは!申し訳ありません!

今までの中央の方々は、悉く・・・。」

「ええい、その様な腐れ者と同一視されるなぞ、不愉快極まりないわ!!」

「も、申し訳ありません!」

「いいや、許さん!

太守として最初の命を、貴君に命ずる!」

厳しい口調で、中年文官に命を下す。


「は、ははぁ・・・。」

「只今是より、この者達の婚礼の儀を、貴君の責任を以て執り行うように命ず!」

泣いている女性達と、若い文官及び護衛武官を、それぞれ指差して、最後に中年文官を指差した。


「「「「「へ・・・・・・?」」」」」

「聞こえなかったか?

この者達の、婚礼の儀を、此処で行え、と言っているんだよ、解ったか?」

ポカーンと呆けている中年文官に、細かく言葉を区切って、命令を下した。


「な、何故?」

「何故もクソもない。

私は主上より涼州・漢陽郡民の、安寧・安泰を託されて赴任して来たのだ。

直属の部下となる者達の、幸福を奪う事など以ての外であり、寧ろ心から祝福して喜び、当然祝わねばならぬ立場である。」

厳しい表情から一転、笑顔を浮かべ、


「そう言う訳で諸君。

私の歓迎の宴をしてくれて、ありがたいと思うのだが、喜ばしい慶事を聞いた以上、此処にいる2組の婚礼の儀をしてやりたいのだ。

どうか協力をお願いしたい、頼む。」

ぺこりと頭を下げる。


「「「「「ははぁ!!喜んでご協力致します!!」」」」」

会場に居る全員が、一斉に拝礼して快諾する。


「宜しく頼む。

ほれ、何を呆けているのだ?

早く親族を呼んで来ぬか、時間は有限で有るぞ。」

「は!え?は?えとあと・・・あ、仲人役・・・。」

「仲人役なら、丁度(ちょうど)うってつけの方が居られよう。

ねぇ、董卓将軍?」

振り向いて董卓に話を振る。


「ワッハッハッハ!!

ああ、儂で良ければ喜んで。ハッハッハ!」

呵々大笑して快諾する董卓。


「と言うわけで問題あるまい?」

「は、は!・・・ありがたく、ありがたくぅぅ!

うわぁぁぁおおおお!!・・・。」

突っ伏して男泣きする中年文官。


「いやお~い、泣くのはコレからだろうに。

・・・駄目だこりゃ、誰ぞある!この者を家まで連れて行って、家の者に事情を説明して此処に、親族を連れて来る様にな。

もう1人の酌女役の方もな。」

「「「「はは、お任せを!!」」」」

同年代の文武官達が、泣き崩れている文官と、少し離れた所に座っていた、コレ又泣き崩れている武官を、それぞれ罪人の如く引きずっていく。


「其処な文官と護衛武官よ。

お主達もぼけーっとしてないで、サッサと晴れ着に着替えに戻って、親族を連れて参れ。」

「「はぁ・・・・・・。」」

「お前達もかい。

お~い、誰ぞ此奴らも連れて行ってやってくれ。

親族に事情説明込みでな。

後、花嫁を連れて帰るのだから、ピカピカの馬車も用意するように。郡の1番良い奴でだぞ。」

「「「「はは!承知しました!!」」」」

茫然自失している両者を、同僚が引きずっていく。


花嫁の親と花婿当人達が、引きずられていくのを見送った糜芳は振り返って、慰み者になる悪夢から、愛する人と添い遂げられるという、夢のような現実に、滂沱の涙を流し続ける酌女役2人を観て、


「・・・誰ぞある。

折角の美人が、涙で台無しになっておる。

生涯随一の晴れの日に相応しい、最高のお色直し(化粧直し)をしてやってくれ。」

近くにいた、遊廓から派遣されたであろう、役人に酌をしていた遊女達に、2人の身形(みなり)を整える様に指示を出した。


「「「「はい、お任せください!」」」」

満面の笑みで請け負い、「良かったわね」・「おめでとうさん」と2人に声を掛けつつ、優しく介護するかの如く、ゆっくりと連れていく。


「踊り子及び楽士達よ。」

「「はは!」」

「今回の婚礼の儀の費用は、私が持つので、盛大に華やかにやってくれ。」

「「はい、お任せください!

2組には、生涯の思い出となるよう、精一杯やらさして頂きます!!」」

拱手して答える。


急な事にドタバタとしたものの、婚礼の儀を無事整えて、盛大な式を執り行い、漸く結婚を実感したのか、幸せ一杯で笑顔の新婚2組を、糜芳も何となく子梟っぽい、「夫婦で共に色々頑張りましょうね」的な歌を、演奏付きで贈って喜ばれた後、


「お主達は誠に果報モンやのう。

都の皇帝陛下が、2度に渡りお召しに為って絶讃しとる、「楽聖」殿に歌曲を贈られるなんぞ、漢帝国広し言うても、いよいよおらんぞな(殆ど居ないぞ)。」

仲人役を急遽(きゅうきょ)務める、董卓の祝辞の内容に、「え”」と楽士達と共に凍り付いたが。


こうして糜芳が行った善行は、(またた)く間に漢陽郡全体に広がり、近隣郡にも伝わって、糜芳はあっという間に時の人となった。


そして、徐州東海郡太守時代と同じく、前漢時代の悪吏・王温舒(おうおんじょ)の如く、郡官吏の横領等の悪事を握り郡を掌握しようとするも、先代以前からの不当な搾取に次ぐ搾取で全く出ず、寧ろアホ共が勝手に作った税制を幾つも撤廃して、人気取りにシフトチェンジする程であった。


撤廃して浮いた税金を一部は、郡官吏達の給料に上乗せし、一部は名称を変え華陀にイーを付けて(逃亡不可・サボれば秘孔突き(付き))、ビシバシ酷使して開設させた、施療院の維持費に充てた。


そうして普通に、マイナスをゼロに戻すという、マトモな事をした()()()()()糜芳は、「希代の名太守」と周囲から敬意を持たれるのであった。


(まぁ、唯一アホ共に感謝する所だなあ。

マトモにしとけば、東海郡時代みたく、改革的な事せんでも良いわけだし。

腰掛けで下手にいじり倒すと、後々無用なトラブルの置き土産をしかねんし)

下手な字の報告書を解読しながら、脳内思考する。


東海郡時代に比べて、官吏(文官)の質の低下は否めないが、それはやむなしと見切りをつける糜芳。


(しっかしあの新婚の新郎2人が、成公英と龐徳だったとは・・・事実は小説よりも奇なりってか。

まぁ、有能な従事(副官)を2人も得られて、ラッキーだけどな)

それぞれ民事従事と軍事従事に任命して、大体任せているので前よりも、遥かに楽な糜芳だった。


そんな左団扇(ひだりうちわ)な状態で過ごして6月。


「漢陽郡太守・糜芳よ!」

「はは!」

「只今を以て貴公を涼州牧に任ずる!!

主上陛下の御期待に沿うよう勤めるべし!」

「はは!・・・は?」

都から訪れた勅使による、突然の州牧就任(出張延期)宣言に、耳を疑う糜芳。


話を漏れ聞いた、周囲の郡官吏達は万歳三唱を、糜芳に向けて挙げている。


「ち、ちょっとお待ちを!?蔡邕爺の所の、覗き魔な婿養子さん!どういう事!?」

「ちょっと何を人聞きの悪いこと言ってんの!?

僕は今回勅使で来てるのだから、公私を(わきま)えてくれるかな!?義弟殿!?」

外聞の悪い事を言いつつ、詰問をしてくる糜芳にアタフタして、思いっきり公私を混同する、お人好しで気の弱そうなマス男さん。


「義弟ではありません!

それよりも、どういう事か説明を早よ!?」

「いや、諦めなよ糜芳君。

嫁さん姉妹から目を付けられたら、お終いだから。」

「んな事はどうでもええから、説明を説明!」

血走った目でグイグイ迫る。


「下手に先延ばしすると、しっぺ返し喰らうよ?

ええと、実は着任予定だった人が、いきなりポックリ逝っちゃってね。

後任選定中に、主上陛下から糜芳君を後任にって、直々のお達しがあって、鶴の一声で決定したらしいんだけど・・・。」

迫られてもマイペースに語るマス夫さん。


「そ、そんな・・・腰掛けですぐに解任or転任、マイホームにゴーな目論見が・・・。」

拒否・逃亡不可と知り、ガックリとうなだれる。


「え~とよく解らないけど、何進大将軍閣下から、書簡を預かっているけども。」

「え、ちょい拝見。」

パッと復活して、遠慮なく竹簡を奪う。


連々(つらつら)と書かれた、言い訳の内容を要約すると、「ゴメン主上に掛け合ったけど無理だった。とりあえず詫び金を月1で上げるから、許してね♡」

であり、添え書きされている荀攸のは一言、「以下同文です」のみであった。


「詫び金寄越すなら、平穏を寄越せよ畜生!」

竹簡を地面に叩きつける。


「あ、後は涼州刺史位は空位、漢陽郡太守は兼任でって事だから。

一応他郡太守と各県令の人事権も、付与するとの事なので、現任から別の人物に変える時は、必ず洛陽に報告する事を忘れずに。」

要するに自力でどうにかしろ、そう言ってサッサと帰るマス夫さん。


188年6月、部下の郡官吏達の歓喜の声をBGMに、糜芳は問答無用で州牧に就任。


東海郡太守→漢陽郡太守という、チュートリアルを終えての難易度鬼クラス、世紀末的仁義無き地域の、統轄責任者になった糜芳であった。


「・・・・・・もうやだ・・・。」

当の本人は、あまりの大役に歓喜して、うずくまったと後に伝わったとか。


                   続く

え~と、史実では勅命で董卓は并州牧に任じられますが、涼州内の不安定を理由にそれを拒否。

そのまま涼州に留まっています。


まぁ、并州に行くのに、兵権を返上しろ(軍閥解散)という、無茶苦茶な要求をされたので、当然の反応だと思いますが。


しかも勅命を拒否したにも関わらず、朝敵や討伐対象にもならず、お咎め無しだった事から、兵権返上に関しては、ほぼ偽勅だった模様。


(後に何進の上洛要請には従っている事から、名家閥か宦官閥の陰謀?)

※個人的な見解です。


作中で韓遂と馬騰が対外路線の対立で、抗争寸前なので董卓が并州に行けないと言うのは、あくまでも個人的な見解ですので、悪しからずご了承お願いします。


長々とすみません。


楽しんで読んで頂けたら嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 伊予弁の董卓とかレア度SSRだなあ…… [気になる点] 涼州のヤの字らしさと言う意味では、むしろ瀬戸内海の向こう側の方g……ゲフンゲフン。 [一言] しちゃるけんで、あれ?伊予弁?と思い、…
[気になる点] 龐徳がどこまで付いてくるか [一言] 正直過去最高の太守な評価だから勅命抜きに州牧回避不可と言う、演義の陶謙臨終の劉備が如く人の壁に帰宅を阻まれるからなぁ
[一言] 今の状況でも涼州牧は難易度鬼クラスだけどこのままだと後漢帝国の崩壊で加速度的に難易度が上がっていくんだ。大恩人の霊帝が崩御した時に喪に服すとか言って官職を辞めない限り安全に徐州に帰れそうなの…
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