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糜芳andあふた~  作者: いいいよかん
73/111

その10

読んでくださっている皆様方へ


ブックマークを登録してくださり、誠にありがとうございます!


おかげさまで登録数千件を越えました。


又、いいねと寛厳な感想と、ちょくちょくエスパーな感想も、誠にありがとうございます!


そして遅筆と、誤字脱字は申し訳ありません。


仕事が多忙で時間が取れず、執筆中に寝落ちしている事もしばしば・・・。


誤字脱字は、うっかりと語学力の乏しさで、しばしば・・・。


後、とある方から、方言についての感想を貰うたんですけんど・・・マジで正解ですわ、おうとりますけんね!


只、似て非なるなぁ、海向こうの本場の方言は、私全く解らんけん、こらえてくださいや。


知ったかで、安芸様の方言を使うたら、レッドヘル(赤い地獄の)軍団に、ブチ殺されるかもしれんけん・・・ブルブル。


まぁそれは置いといて、設定的に涼州と董卓は、仁義無き世界擬きを表現したかったので、ニュアンスだけでもと思い、敢えて方言を使いました。 


解り辛かったら、申し訳ありません。

        涼州漢陽郡隴県慰霊廟


「只今是より、涼州会議を始める。」

「「「「「ははぁ!」」」」」

糜芳の宣言を受けて一斉に拱手する、各郡・県と涼州軍閥の代表者・代理人達。


慰霊碑を背にした糜芳を最奥に、左右に成公英と龐徳を侍らせ、糜芳から見て左側に郡・県の代表者達が、郡から県の序列順に並んで座り、右側に涼州軍閥の代表者達が、(さかずき)の義理や勢力関係順に並んで座っている。


「先ずは此処にいらっしゃる、誇り高き英霊に拝礼の後、故郷・涼州の未来の発展と涼州民の為に、私利私欲を(むさぼ)らず、好悪(こうあく)の私心無く、公私混同せず、誠心を以てこの会議に臨む事を、貴君自身が霊前に誓うべし!」

そう言って真っ先に拝礼し、慰霊廟に宣言する。


「「「「「ははぁ!我々は・・・。」」」」」

糜芳に倣って出席者も慰霊碑に拝礼し、各々異口同音に宣言した。


(ひ~ん・・・何でこんな事にいぃ・・・)

外面はキリッとしながら、内心で泣く糜芳。


188年6月に州牧に任命された糜芳は、とりあえず涼州の現状把握の為、先ずは各郡・県の代表者・代理人を、7月に召集したのだが、何故か軍閥達までも集まって来たのだった。


(まぁ、それはそれで良いんだけど・・・。

涼州の政治体制、もう無政府状態じゃねーかコレ)

代表者達から、ろくでもない涼州の現状を聞き、人知れず溜め息を吐く。


雍州(ようしゅう)が新設されて分割される前の、現在の涼州には12の郡と、各郡内に合わせて約90の県が存在しているのだが、郡太守は自分以外の現任では、地元出身の敦煌(とんこう)郡太守だけが()()()()()()()、他の10郡の太守は、逃亡兼行方知れず(ほぼ死亡)or誅殺の2択で居らず、代わりに郡官吏が代行している有り様であった。


又、各県の県令も半分近くは、太守達と同じ末路を辿っており、実質殆どの郡県で責任者不在という、スカスカの虫食い状態であった。


(な~にが郡県の人事権を与えるだよ!?

実際はただ単に実態が把握出来てねぇから、俺に丸投げしてるだけじゃねーかボケェ!!)

頭を抱えて、罵詈雑言と呪詛を脳内で唱える。


(と、とりあえず確か後一年ぐらいしたら、白アン○ンマン(霊帝)がポックリ逝く筈だから、そん時までの辛抱じゃい。

なんとかそれまで、生き延びれる様にしないと・・・チクショーもうやだ!お(うち)に帰るぅ~)

リアル生存ゲームの鬼畜難易度に嫌気が差し、ブンブン頭を振って、脳内で幼児退行する糜芳。


糜芳の目論見として最善は、霊帝崩御時に喪に服すと称して退任、円満退職で徐州に帰還。


次善は最短で部下達の、不始末・不祥事の責任をひっ(かぶ)って辞任、実態を知る涼州民からは惜しまれて、知らない人達の心証は多少悪くなるが、結果良ければまあ良し。


三善は何進横死後に、政情確認の為洛陽に行くと見せ掛けて、ドサクサに紛れて逃亡、そのまま涼州帰還不能と適当に言い訳して、しれっと御役目返上して徐州に帰る。


最終手段は董卓暗殺後に、王允達の誅殺回避の為と銘打ちつつ、浮屠暗部の手引きに依って、密かに涼州脱出を実行→帰還の、4つのルートを考案し、(いず)れかで逃げれる様に、お金を払って暗部に下準備を依頼していた。


(けどなぁ・・・最善は最も安パイだけども、何進に霊帝の遺勅(いちょく)とか言われて、慰留(いりゅう)されそうで、円満退職出来る成功率が、かなり低そうなんだよなぁ。

次善以降は、円満退職出来る確率は上がるけど、反面危険性も上がるリスクがあるしなぁ)

最善は無理そうだよなぁと、脳内思考する。


(どっちみち俺は曹操が徐州侵攻まで・・・いや、曹嵩の親父さんが殺される前に、帰らないと・・・)

恩義には恩義で返す主義なので、最終手段でもギリギリ帰還出来る様に、算段をつけていた。


それはさておき、


「・・・お~い?聞こえとんのか、お~い?」

「はっ!?」

脳内思考から気が付くと、強面(こわもて)のヤ~さん面が糜芳の顔の前で、手の平をブンブン左右に振っている。




「おい、どがいしたんや(どうしたんだ)州牧殿?

大丈夫か?しゃんしゃん(しっかり)せいよ。」

涼州軍閥と州内随一の顔役で、オブザーバー(相談役)として会議に出席して貰っている、ヤ~さん面こと董卓が、心配気に糜芳を見つめる。


「あ、いやこれは失礼。

涼州の余りの惨憺たる有り様に、つい茫然自失になってしまいました。」

ぺこりと謝罪した後、やおら憤怒の表情を浮かべ、


「おのれ~!此処まで痴政を敷いていたとは!

八徳(はっとく)(仁・義・礼・智・忠・信・孝・(てい))処か恥すら忘れた、人面獣心(じんめんじゅうしん)(人でなし)の輩共が!!」

ダァァン!と机を強く叩き、激しく罵る。


(そんな人でなしの、忘八者(ぼうはちもの)(江戸時代の遊廓で働いていた、男性従業員の通称。八徳の忠以外と、恥を忘れた職業と謂われた。つまりは忠を持っているだけマシ)にも劣るアホ(名家・宦官)共の尻拭いを、失敗(しくじった)ら誅殺されるリスク背負ってまで、なんで俺がしなきゃなんねーんだよ!?ざけんな!)

理不尽な状況に、溢れる涙が止まらない。


今現在なら間違いなく、後に中央で権力を握った董卓に依る、名家・宦官の両アホ共大量虐殺行為に、心底理解した上で率先して協力するのに、全く躊躇いを感じないのであった。


まぁ、糜芳の十倍以上に、アホ共を始末したいと思っているのは、間違いなく何進だろうが。


「・・・お前さんたまげるぐらい、ホンマにええやっちゃ(好人物)なぁ。

儂等涼州民の惨状を聞いて、泣いてくれるんか。」

糜芳の涙を勘違いした董卓が、「ありがたいこっちゃ」と、感心しきりに頷いている。


観れば董卓と同じように勘違いして、何人かの人が鼻を(すす)っていた。


「あ、度々済まない、話を進めて行こう。

先ずは敦煌郡太守・費戴(ひたい)。」

「はは!」

30~40代ぐらいの、官吏というより商会の会頭(ぜん)とした、武骨というか質素な(よそお)いの多い会議出席者の中で、派手な衣装を纏った男に声を掛ける。


「貴君をそのまま、敦煌郡太守に留任と致す。」

「はは!・・・しかし州牧様、私で宜しいので?」

拱手しつつ周りを見渡し、訝しげに糜芳に尋ねる。


実はこの費戴、結構奢侈(しゃし)な生活をしており、余所に根拠地に持つ軍閥や、他郡の官吏からの評判があまり良くなく、漢陽郡でも留任を忌避する意見もあった。しかし、


「貴君自身が進退を問うのは、自覚を持って敢えてしているのだろう?

襤褸(らんる)(ボロ)に身を(よそ)おえど、心は錦」の質実剛健も良かろうが、我らが漢帝国の国門(こくもん)(玄関口)である敦煌郡の太守が、襤褸を纏っていては、国家の恥を国外に晒す事になる。

国家の見栄や面子を保つ為には、貴君の行いは必要な仕儀と私は観ている。」

費戴の行いに理解を示した上で、


「それに貴君が治める敦煌郡は、涼州随一の財源地でありながら、税率は他郡とあまり変わらず、郡民に他郡以上の重税を課さずに、奢侈な生活を送っているのは、貴君自身が蓄財に走らず、収入の全てを国家と郡民の為に使っているからだろう?

誠に天晴れな心意気である。」

素晴らしいと褒め称えた。


「なぁ、糜芳殿。どういうこっちゃいな?」

「どういう事って董卓将軍、費戴の装いについては理解していますよね?」

一応の確認をとる。


「それついては理解した。

言われて観りゃあ、確かに敦煌郡ちゅうのは、交易と国交の玄関口(シルクロードの分岐点)、漢帝国最大の交易品の荷駄場(にだば)(集積地)と、最初の諸外国との外交窓口所や。

色んな国から交易商人が、がいいと(結構)来るし、外交使節も大概敦煌郡を経由して、洛陽に向かう。

そがいな(そんな)諸外国の耳目を真っ先に集める、漢の最初の顔役・敦煌郡の管理官が、びんだれな(だらしない・貧乏臭い)格好は出来せんわな。」

そりゃそうやと頷いて、納得顔の董卓。


「董卓将軍の(おっしゃ)る通り、敦煌郡の太守は政務官と共に、外交官としての側面を有している。

つまりは費戴の派手な服装は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()着ている訳である。」

あくまで、外交上の理由であると皆に説明する。


他の面々もなる程、それなら確かにと頷いている。


後漢時代の主な北方交易路、「陸のシルクロード」は大きく2つルートがあり、司隷・洛陽or長安から涼州・敦煌付近で分岐し、1つ目は砂漠を避けつつ北上して、モンゴル側からのステップ(大草原)を経由、中央アジア→ペルシャ方面に向かうステップルート。


2つ目はタクラマカン砂漠(死の砂漠)をなぞる様に南下して、かの有名なワンマンア一ミ一・乱暴参が活躍されたアフガンを経由して、インドやペルシャ方面に向かう砂漠ルートである。


その為涼州・敦煌郡は、2つのルートと国内の流通路が交わって、国内外の様々な物品・交易品が集中する、漢帝国でも有数の国際貿易都市となっており、色々な国々から人が集まっていた。


後一応、涼州からチベット地域を経由して、インド方面に直通するチベットルートもあったが、険しいエベレスト山系を縫うように移動する為、上記の2ルート程の需要はなかった模様。


(日本の江戸時代風に例えれば、北に北陸道、南に東海道が走り、自国に中山(なかせん)道が走っている、美濃(みの)の国(現・岐阜(ぎふ)県)に近いだろうか?)


因みにだが、涼州からの北方交易路と対照に、交州・交趾(こうし)郡からの南方交易路、「海のシルクロード」も存在し、交趾→ベトナム・トンカン湾を経由、カンボジア・タイからインド洋を経て、インド→ペルシャ湾・紅海のペルシャ・エジプト方面に出る、近洋航海(陸地に沿って船を運行する航海術)路ルートも存在しており、北方交易とは毛色の違う、海路ならではの交易品(珊瑚・真珠等)が特徴だった。


ただまぁ、航海・造船技術がこの時代は未発達(遠洋航海は困難だった)で、天候不順(台風・嵐等)に拠る難破率も高く、かなり不安定であり又、交州から司隷方面迄の移動も、ほぼ中国大陸縦断になる為遠く、後漢の首都圏(長安・洛陽)での流通量は、陸のシルクロードに比べると少なかった模様。


それはさておき、


「やけどが(だけど)、費戴太守が奢侈な生活をするのは、外交上の必要性とは別モンやろがい?

なんでお前さんが褒め称えたんかが、儂にはいよいよ(さっぱり)解らんのじゃ。」

首を傾げて尋ねる。


大半の出席者も、「そうやそうや、何でや」と董卓に同調している。


「え~とですね、彼が奢侈な生活を送る中で、何処ぞのアホ共と違って、重税を課して搾り取ったり、不当に略奪していないのは解りますよね?」

「ああ、糜芳殿の話を聴いた限りでは。」

「つまり、敦煌の郡民達は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「利益?どんな事をや?」

頭上に疑問符を浮かべて聞き返した。


「間違いなく1番は、「雇用の創出(そうしゅつ)」ですね。」

「雇用の創出?」

「ええ、費戴が奢侈=多額の金銭を消費する事で、色んな商売の売り上げに貢献しています。

それにより、商売繁盛→経済活動の活発化→利益を得てより増益を計画→各商品・商材の増産拡大=新規雇用の需要増大に繋がり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()になっているんです。」

董卓だけでなく、周囲にも分かり易く説明する。


「ふ~む、商人は儲かれば儲かった分、手ぇ広げようとするもんやけん、商人から発注を受けて飯喰っとる関連業者も、どんどん新規雇用する様になって、結果異民族に生活手段を奪われた者達の、救済になっとるっちゅう事か・・・。」

腕を組んで唸る。


「それに公的な雇用に加えて、私的にも雇用が拡大しますから、尚更良しですしね~。」

「私的な雇用?」

未だなんか有るんかいなと、首を傾げる。


「ええ、懐が潤えば大概の人は、色々と購入して消費したり、大きい家を買ったり建てたりして、自身の見栄えを良くしようとするものです。」

「ふむふむ。」

「そうなれば自然と、使用人等の必要性が増し、戦災で未亡人になった婦女や、母子にも生活手段獲得の機会が増えますので。」

私的な利益の実例を上げる。


「なる程のう・・・大人の男だけやのうて、女子供にも恩恵がちゃんと有るんかや。」

「そう言う事です董卓将軍。

その辺が奢侈な生活を送って観えつつ、民衆を豊かにしている費戴と、民衆を顧みずに搾取して苦しめつつ、奢侈な生活を送っているだけの、アホ共との大きな差です。

又、そんな人物だからこそ、地元出身の県令・郡太守でさえ誅殺される中で、郡民・地元軍閥・部下達に支持を受けて、当然の如く生き残った訳です。」

費戴とアホ共との、明確な差を示す糜芳。


糜芳の言を受けて、「正しく州牧様の仰る通り!」と軍閥席の後方から、敦煌郡の軍閥と思しき者達や、郡内の県代表者達等、複数の賛同の声が上がる。


(いや~ホンマに真っ当な且つ、優秀な人材が居て助かったわ~。

少なくとも敦煌郡は、費戴に丸投げ出来るし。

まぁ、一応は浮屠暗部の監視は付けるけど)

内心で思わぬ逸材に喜ぶ。


唯一残った太守だった為、暗部に調査を依頼した結果、残って当然の実績と人格者だったのであった。


(身内や親族に財産を分け与えて、余財無しってゆう()()()()()()()よりも、全財産を(はた)いて景気・経済を活発化させて、数多くの民衆の生活を豊かにする方が、よっぽど賢くて清廉だよな)

凡百の胡散臭い、清廉アピールしている人物よりも、数十倍は上手い費戴のやり方に感心する。


糜芳的には前世から、三国志の人物伝にちょいちょい書かれている、「財産を私せず、殆どを身内・親族等に分け与え、自家に余財無し」等と書かれた人物の、清廉アピールの記述に、非常に懐疑的な考えを持っていた。


(いやコレって現代で言えば、自分の財産の名義を、名義上は身内・親族に変更しただけで、一族単位で財産を保持・分散して、結局は裏でプールしているのと、同じなんじゃねーの?

大体本人が一族の当主だから、最悪幾らでも分け与えた財産を、当主権限で回収可能だろうし)

疑問に思いつつ、


(要するに自分は財無しの清廉です、けど親族周りは自分のあげた財産で皆お金持ち、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってこったろ?

・・・それで清廉って言われても、何処が?としか思えねーんだよなぁ)

寝言は寝て言えやと、言いたくなるのであった。


現代社会で例えれば、会社の経営者や資産家=金持ちが、自身の財産を嫁さんや子供の名義を使って分散して裏金としてプールし、非常時のリスク軽減・回避をして、実態は余裕綽々の癖に表面上、


「余裕なんて無い無い、食っていくので精一杯。」

如何にもそうでございと周囲に見せかけて、バレバレな戯言(たわごと)をほざいている、一般ピーポーが見聞きすれば、リアルライトニ○グボルトを放つのは必至な、あからさまなスカした輩共とどう違うのか、真剣に理解出来ない糜芳であった。


(まぁ、そんな清廉擬きと違って、私財を市場にばら撒いて、経済を活発化させて豊かにする事で、結果的に()()()()()()()()()()んだからなぁ。

「税を取る前に先ず与えよ」っつう管仲の経済理念を、地で実行している訳だ。

・・・よし、費戴のやり方をトレース(模倣)しよう。

ど~せ涼州から出る時は、ろくすっぽ財産なんぞ持ち出せねーんだから、パーッと使っちまおう)

費戴の管仲式経済理念を、ちゃっかり丸パクリする気満々であった。


立つ鳥跡を濁さずというより、身の安全の為に悪行をしたりして濁せないので、景気良く給料を使い込もうという保身的な考えを、清廉(裏は真っ黒)でコ一ティングする気な男・糜芳。


「ほうか(そうか)、ほうやったんかや・・・。

費戴太守、誠に申し訳ない。

儂は貴殿の事を、よー(本当)に誤解しとったわ。」

糜芳の話を聞いて、深刻な認識違いをしていたのを知った董卓は、費戴に向けて拱手しつつ謝罪する。


「いえいえとんでもない!お気になさらず!?

私が勝手にやっているだけの事ですから!」

手を左右にブンブン振って、アタフタする費戴。


「董卓将軍、どうかその辺で・・・。

費戴の立場が、悪く成りかねませんので。」

「ほういやほうやな(そう言われればそうだな)。」

やんわりと董卓に、「下手に頭を下げ過ぎると、貴方の子分・兄弟分が、親分・兄弟分の面子を潰して辱めたと、費戴に敵意を持ちかねない」から、止めるよう諭す。


「さて、改めて諸君等に問うが、費戴の太守留任に異論を唱える者は居るか?」

「「「「「いえ、ありませぬ。」」」」」

「宜しい・・・と言う訳で費戴、涼州の為に敦煌郡の事を宜しく頼んだぞ。」

「はは!州牧様のご期待に添える様、粉骨砕身務める所存にございまする。」

笑顔で拱手して了承する。


「次に敦煌郡内の県代表者達に告ぐ。」

「「「「「はは!」」」」」

「敦煌郡は費戴に一任するので、県令が居ない県は、費戴に選任して貰う様に。

そして県令が居る所は、費戴と同じく留任とする。」

「「「「「はは!承知しました!」」」」」

一斉に頷く。


「次に郡太守と県令が居ない、県代表者達に告ぐ。」

「「「「「はは!」」」」」

「貴君達は一刻も早く自身達の代表者を、自身達で選んで決める様に。」

「え?私達で決めるのですか!?」

代表者の1人が、素っ頓狂な声を上げた。


「ああ、そうだ。

漢陽郡は私が兼任しているから、私の方でどうにか選任するが、余所の郡に関しては現状手が回らんし、ハッキリ言って私自身が余所者であるので、誰彼(だれかれ)の良し悪しの判断が付かない。

故に県になれば尚の事である。

依って実情を知る県役場全員で、自分達の代表者を決めて欲しいのだ。」

「はぁ、仰る事は解りますが・・・。

具体的にどのように決めれば良いのでしょうか?」

一定の理解を示しつつも、困惑気味に問い掛ける。


「基本的には話し合いで決定、候補者が多数居る場合は、入れ札(投票)で決定するべし。」

「入れ札ですか?」

「ああ、1番支持数が多い者を県令とせよ。

最も支持数が多い事は即ち、その者が1番人望と能力が有る証左であろう?」

「確かに左様ですね、承知しました。

話し合いで決まらない場合は、入れ札を行います。」

「「「「承知しました!」」」」

県令の居ない、県の代表者達が頷く。


「宜しく頼む・・・では次!

漢陽郡・敦煌郡以外の、現任の県令は留任とする。」

「「「「はは!承知しました!」」」」

「漢陽郡は例外でございますか?」

「いや、例外云々の問題ではなく、そもそも()()()()()()()()()()()()んだよ・・・はぁ。」

溜め息を吐いて、ガックリとうなだれる。


元々漢陽郡自体が、涼州の行政府の中心であり又、首都圏の司隷(洛陽)に近い為に、刺史・太守・県令全員漏れなく、悉くアホ共が着任しており、当然の如く韓遂達反乱軍に粛清されていた。


「費戴に郡内の県令を選任させるのに、言い出しっぺの私がしない訳にはいくまい。」

「はぁ、まぁ確かに・・・。」

「ああ、それとそれぞれの郡内で、各自県令が決まり次第、今度は県令達同士で話し合い、協力して郡太守を選出する様にな。」

県令選出と同じく、地元民に丸投げをする。


「理由は県令選出と同じだな。」

「はぁ、解りました。

もし話し合いで郡太守が決まらない場合は、県令選出と同じく、入れ札で決定で宜しいので?」

「いや、それだと太守選出の場合は、どうしても大きい県の県令が、絶対に選ばれる仕組みになるから、不平等過ぎる事になってしまうので駄目だ。」

首を左右に振って否定する。


「確かに・・・では如何様にしましょうや?」

「太守選出が決まらない場合は、地元軍閥の推薦で決める事とする。」

「「「「「へ?俺らが決めんのかいな?」」」」」

突然話を振られた軍閥達が、自分達を指差して、何でやと首を傾げる。


「あの~俺らは(まつりごと)なんぞ、いよいよ(からっきし)解らんのですけんど?」

「だからこそだ。

貴君達軍閥、言わば軍部視点から観て、誰が郡太守になった方が、自分達軍部にとって良いかで、判断をして欲しいのだ。」

首を傾げている軍閥達に、理由を説明をする。


「はぁ、俺ら軍閥視点でですかいな・・・?」

「ああ、民部の方は、県役人や県民から支持を受けて、県令に選出されたり、現任でやっている訳だ。

つまりは()()()沿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それに加えて、軍部の支持も受けれれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()が、貴君達の地元の郡に擁立される訳だ。」

「「「「「あ!なる程確かに!?」」」」」

糜芳の話に、拳を手の平でポンッと叩いて、理解する軍民部の代表者達。


「貴君達、現状中央からのアホ共や、地元出身の悪吏・汚吏達は()()()()()()()()()()()()()、今が涼州復興と発展を行い又、自分達の民意に沿った郡県の代表者を選べる、最大の好機でもある。

世に言う「窮地(ピンチ)好機(チャンス)」と捉えて、奮起してくれる事を願う。」

「「「「「ははあ!承知しました!お任せを!」」」」」

糜芳の演説を受けて、軍民一斉に拱手する。


こうして郡・県の新しい代表者を、自分達で決める様指示を出し、大まかな目処を立てた糜芳は、次にアホ共が遺した負の遺産である、不当な税制を州一帯で即時廃止を決定。


そして税制の一部を改正し、間もなく開設する施療院の維持費と、民部・軍閥達本人及び直系家族が、ほぼ無償で診察・治療を受けれる様、医療保険費に充てる事を提案、コレも即時了承された。


両方に利益のある提案を掲げ、害になる事=アホ共と敵対関係に成る事に、躊躇せず取り除いた糜芳に、軍閥・民部両方から賞賛の声が上がったのであった。


「さて、民事の方は粗方(あらかた)終わったかな?

では次に軍事的な話に移ろうと思う。」

「「「「「はは!」」」」」

今度は軍閥連中が、拱手して声を上げる。


「まぁと言っても貴君達は、今まで通り異民族対策に、精を出してくれれば良いのだがな。

一応浮いた税収で、貴君達に渡す必要物資の補給量を、少しは増やす事は出来ると思うが、あまり期待しないでいて欲しい。

浮いた税収の殆どは、アホ共の搾取で疲弊し尽くした、涼州民の手当てに当てる積もりだ。

苦しい台所事情だとは思うが、どうか民衆の為に協力をお願いしたい。」

ペコリと深々と頭を下げる。


「ああ、気にせんでええ、気にせんでええよ。

儂等軍閥ちゅうんもんはな、民衆の生活が有ってこそのもんやけん。

民衆の生活が成り立たんなったら、儂等も(しま)いや。

今までやんちゃい(ろくでもない)アホ共に、散々っぱら難儀(迷惑)掛けられても、どうにかこうにか遣り繰りして来てるんやけん、どうって事ないわい。」

手を左右に振りながら、董卓が真っ先に返事して、


「それに民衆の懐が豊かになりゃあ、儂等の懐も豊かに成るんやけん、後先考えりゃあ儂等にも利益になる話やけんなぁ、おどれらもそう思うやろ?」

笑顔で同意を求めるゴッドファーザー・董卓。


「「「「「ヘイ!その通りですわオヤッさん(オジキ・アニキ)!」」」」」

若干引きつった笑みで、総同意する軍閥連中。


(・・・うん、凄く良いこと言っている筈なのに、董卓が軍閥関連の話をすると、不思議と只のヤーさんのシノギ(資金調達)の話にしか聞こえないのは、何でなんだろうか?・・・解らん)

董卓のセリフが、どうしてもノ一仁義ワールド用語に、自動変換されてしまう糜芳であった。


「貴君達の賛同、非常にありがたく。

まぁ董卓将軍の言う通り、民衆が疲弊から回復して豊かになれば、貴君達にもちゃんと恩恵があるので、それまでは辛抱して欲しい。」

「「「「「はは!承知しました!」」」」」

董卓の時みたく仁義な返事ではなく、普通に返す。


「あ、そうだ、それと貴君達軍閥はそのままだが、州軍は軍の運用方法に、大きな変更点が有るので、この場で周知しておきたい。」

「州軍の運用?どがいしたんや?」

董卓が首を傾げる。


「はい、今まで各郡にそれぞれ分散させて、配置していた騎兵隊約3千を一括統合し、州牧直轄の治安維持部隊として再編成し、運用する事にしまして。」

「・・・ほう、治安維持部隊・・・のう。」

顎に手を添えて、測る様に糜芳を見つめる。


「その治安維持部隊とやらの指揮官は誰や?

そして儂等軍閥との(上下)関係は、どがいになるんじゃ(どうなるんだ)?」


「正式名称は「飛連隊」と名付け、指揮官は飛連校尉として、此処にいる龐徳が務めます。

軍閥との関係性は、基本的には軍閥が上位です。

又、飛連隊は州内に蔓延る流賊(るぞく)(異民族出身で部族から離れた、はぐれ者の盗賊集団)討伐が主任務になるので、軍閥が主任務としている異民族討伐・撃退には、軍監(ぐんかん)(戦場に於ける監視兼功罪の記録係)や、増援として参加するぐらいですね。」

大まかな運用説明をする。


「州牧様より、飛連隊の指揮官を拝命しました龐徳と申します。

若輩者の身ではありますが、どうかお見知りおきくださいます様・・・。」

糜芳の説明の中で紹介され、バシッと拱手しつつ出席者達に一礼する。


「ほう、中々の偉丈夫やが随分若いのう。

よう他のモンが納得したもんやな。」

「まぁ、()()()()()()()()()()()()()()()。」

物理的に纏め上げたと話す糜芳。


此処涼州は、実力(物理)さえあれば「力こそ正義」という、あ~たたたな何処ぞの殉星を持つ男と同じ思想というか、思考がスタンダード(標準的)な世紀末社会なので、年功序列関係なく上に立てれるといった、非常~に数少ない利点があった。


「ほうほう、見た目にそぐわずやるもんやのう。

ほいでまぁ軍監は軍閥同士が、異民族討伐の功で揉めた時にゃあ、居った方がええ時もあるけん、悪くはないわな。

そいで増援に関しては素直に助かるわ。

ほやけんどがなぁ(だからと言ってな)・・・。」

言葉を切って糜芳に目線を向け、


「流賊討伐は儂等軍閥もやっとるけん、要らん事いろわんで(触らないで)くれるか?

どうしても言うんやったら、儂も考えにゃあならん成るんじゃが?」

厳しい視線を送る。


軍閥連中も董卓と同じく、厳しい視線を糜芳に向け、仄かに殺意が見え隠れしていた。


「あの~飛連隊の治安維持と言うのは、涼州内の県市町村に略奪や襲撃をする、流賊を討伐して涼州民の安全と、生活の安定化を図るモノですので、董卓将軍が懸念している、交易商隊(キャラバン)とかに関しては、そもそも任務外なんですけども・・・。」

勘違いしてない?と、ポリポリ頬を掻く糜芳。


実は涼州軍閥連中にとって、流賊の絶滅は死活問題になる、()()()()()()であった。


コレは涼州に限った事では無いが、なにせ朝廷から送られる物資は、アホ共が物資輸送の過程で、片っ端から中抜きや横領をしまくって、軍閥連中に渡る頃には、微々たる物であった。


何進の登場でかなり改善されたが、それでもあの手この手で中抜きや横領をする、悪知恵と悪行だけは超一流のアホ共が絶えず、必要物資が十全に行き渡る事は無かった。


かと言ってもう1つの収入源である、地元からの支援も、これ又アホ共が搾取の限りを尽くした為、マトモに貰えず、充てにならない状態だった。


其処で物資不足(運営資金)を補う為、自分達の縄張りを通過する、国内外の交易商隊から流賊護衛の名目で、みかじめ料(通行料)を徴収しており、自らが稼いでいる貴重な収入源であり、生命線でもあったのである。


みかじめ料と言っても、暴利を貪っている訳でもなく、たった一往復(約1年)の交易で、莫大な富を築いたと言われる交易商隊相手に、郡毎(ぐんごと)に存在する軍閥(1~3軍ぐらい)がそれぞれ、往復で1人頭(ひとりあたま)一律50銭(約5千円)を徴収するといった具合で、かなりリーズナブルであり、良心的値段設定であった。


現代風に例えれば、料金をちょこっと払えばほぼ安全が約束される、掛け捨て型の安い簡易保険に加入する様なモノである。


まぁ、とは言え交易商隊の人数は、平均数十から数百人と言われ、塵も積もればの言葉通り、かなり多額の稼ぎな模様であるが。


コレは個人的な予測ではあるが、董卓横死後から無政府状態になり、曹操が官渡戦役以降に、涼州経営を本格化させるまでの約10年間、ほぼ無支援でも涼州軍閥が崩壊せず、独立採算・独立独歩で生き残ったのは、この通行料の収入源があったからだと思われる。


(時代も国も規模も違うので、あくまで参考程度だが、日本の「海賊大名」と言われ、瀬戸内海で活動していた村上水軍の村上家は、当時最大の商業都市・堺を往来する、国内外の商人から通行料を徴収し、徴収料を合わせて、約10万石(1石=約30万円、10万石=約300億円)の収入を得ていたと言われているので、これ以上の収入が涼州軍閥に、(もたら)されていると思われる)


それはさておき、


「へ?そうなんか?

儂はてっきり儂等の収入源を、ジワジワ奪って儂等軍閥を、州軍に取り込む算段かと思たんじゃが?」

「全然違います。

そもそもそんな事をして、軍閥を弱体化させても、異民族が活発化するだけで、州にとって何の利益にも成りませんよ。」

無い無いと手を振って否定する。


(大体んな事したら、最悪俺が司令官になって異民族共と、戦闘しなきゃなんなくなるだろうが!?

冗談じゃねーよ、ぜってーイヤじゃい!)

脳内で、面倒くさいのは御免じゃあ!と吠える。


「まぁ、ほらほうじゃが・・・。」

「大体州軍と言うのは、州内の治安維持即ち、州民の生活の安全を(つかさど)る、()()()()()であり、外交使節なら公務上護るのはまだしも、交易商隊といった()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

はっきりと言い切る。


糜芳の設立した飛連隊は、現代風に言えば警察の広域機動隊であり、時代劇で言えば火盗改めであり、そして糜芳の言っている事は、民事不介入の原則を端的に表していた。


公的警察機関として、盗賊討伐(犯罪摘発)は義務として当然するけど、「襲われる()()()()()()()()()()()()」という、未犯(みはん)罪に対する思い込み状態までは、面倒をみきれないし、普通に「自分の身は自分で守れ」が、後漢末だろうと現代だろうと、時代をとわず世界万国共通で、当たり前の大原則である。


(そもそもが、そんなもん職務化なんぞしたら、担当官の首が幾つ有っても足んねーわい)

無茶苦茶だろと脳内でボヤく。


義務化・職務化すれば言わば、不特定多数往来する商人の、未遂を含めた襲撃事件を責任を持って全て処理する羽目になり、最悪の場合は(あずか)り知らず、関わってすらいないのに、事件の責任を負わされ、


「州軍の職務怠慢で襲撃を受け、被害を被った!

義務をキチンと果たせよ!税金ドロボーが!!」

商人の防犯対策・意識に問題があるのに、謂われのない苦情が数え切れないぐらい出た挙げ句、クビになるという荒唐無稽な話になってしまい、人手が幾ら処か人っ子1人寄り付かない、超絶ブラックな職種になってしまうのである。


(不可能を可能にしろ、って言うレベルの無茶振りだよな、どう考えても。

伝説の狸風猫型ロボでも居ないと無理だろうなぁ)

狸風猫型ロボを思い浮かべ、喉から手が出る程欲しいと止まない、ブル一な気分な今この頃の糜芳。


それはさておき、


「今この場で断言しますが、公的組織の州軍が、交易商隊関連といった私的な事由には、事件性でもない限り関与しません。

但し、流賊討伐は州軍の義務であり、州民の安全を高める職務遂行の為、軍閥には縄張り内の通行の許可、状況に依っては物資補給の要請、場合に依っては救援要請をする可能性があり、その場合はどうかご協力頂きたく。」

ぺこりと軍閥のドン・董卓に頭を下げる。


「そういう事やったら、喜んで協力するぞな。

すまんすまん、儂のがいな(変な)勘違いで、要らん事になってしもたの。

皆の衆もなんちゃ(何にも)異存は無かろうがい?」

「「「「「ヘイ!異存ありやせん!!」」」」」

厳しい視線と表情から一転、にこやかな笑顔になると、軍閥連中に「可、問題ない」の視線と、問い掛けを行い、それを見聞きした軍閥連中も、ホッと胸をなで下ろし、笑顔で答えた。


こうして第1回目の涼州会議は、民部からは大量粛清に依る、人材というより人手不足が課題に挙げられ、軍閥からは新規運用組織、「飛連隊」の持つ権限の明確な範囲と、軍閥との力関係の調整が、今後の課題に挙げられた。


次の会議の議題として各自持ち帰り、次回に改めて議論する事に決定し、ハイ終了としたかったが、


(コレだけは、一刻も早く始末しとかねーと、何時爆発するかわかんねーからなぁ。

・・・まぁ、我が身の安泰を考えたら、放っておけないし・・・ハァ、頑張ろう)

人知れず溜め息を吐く。


糜芳の直ぐ横、軍閥連中の上位席に座る、隣同士で全く顔を合わせようともしない、今や涼州の爆弾と化した、韓遂と馬騰の義兄弟を()()()()()()()、策謀を巡らす糜芳であった。


                    続く

え~と、後1話を書いて閑話を書いたら、この章は終わりになります。


ゆっくりと進行していきますので、生暖かい目と菩薩の如しな、寛容なお心でお願いします。


あ、後、涼州軍閥の運用資金源としている、みかじめ料に関しては、私個人の予想ですので、悪しからずご了承ください。


長々とスミマセン。


楽しんで読んで頂ければ嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] そーいや李儒と賈詡っているのかな?あと龐徳が動いてるから超兄貴(馬超)も
[一言] 異世界ものなろう小説だと付きものの交易商人の護衛任務。現実世界でも昔から今に至るまで傭兵の仕事の一つだったらしいですから、三国志の時代の中国にもなかった訳がないですね。 とはいえ、中国のこの…
[一言] 毎回メッチャ楽しみにしています。 いったい、どう嵌めにかかるのか、次話が待ち遠しいです!
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