龍砕軒不便斉(りゅうさいけんふべんさい)の死
龍砕軒不便斉とは誰でしょうか?
(校正済み)
『意外と悩むものだな、辞世の句って。
未来の奴等に笑われるのもなんだか嫌だしな』
病床で自らの余命を悟った龍砕軒不便斉は心底悩んでいた。
枕元に控えている者は苦笑いしている。
『よいか、聞き漏らさず書いてくれ』
『仰せのままに』
龍砕軒不便斉は(りゅうさいけんふべんさい)、晴れたような表情で辞世の句を読み上げる。
『七年の病なければ 三年の蓬も用いず
雲無心にして岫をいずるもまたをかし
詩歌に心なければ月花もくにならず
寝たき時は昼も寝 起きたき時は夜も起きる
九品蓮台に至らんと思ふ欲心なければ
八萬地獄に落つべき罪もなし
生きるまでいきたらば
死ぬるでもあらうかとおもふ』
『しっかりと書き留めましたよ』
龍砕軒不便斉はにっこりと微笑んで、その波乱に満ちた生涯を終えた。
武に秀で風雅を愛した漢であり。
一時代に足跡をその生涯を通して刻み込んだ天晴な生き様であった。
正しく大往生である。
真っ白な世界、光に包まれたかのようなあたたかい空間。龍砕軒不便斉は『ほう』と周りを見回して眺めている。
光に包まれているのに、より明るい光の玉が二つ龍砕軒不便斉に近づいてくる。
一つの光の玉が。
『前田慶次郎さま、お願いがあってまいりました。私は天照大神と申します』
もう一つの玉が。
『前田慶次郎さま、私はゴーダマ・シッタルーダ。皆様には仏陀と言うほうが馴染み深いですね』
龍砕軒不便斉こと前田慶次郎は『へぇー』と呟く。そして。
『ご尊顔に拝しまして恐悦至極に存じます。天照大神さま仏陀さま。しかし、お願いとは申しましてもですね、私はたった今、良いですか?たった今死んだばかりなのです。ちと遅かったですね』
天照大神は言う。
『大変失礼な言い方かもしれませんが、この時を待っていたのです』
仏陀は言う。
『あなたの信心は私に届いていました。どうか、私たちの話だけでも聞いて頂けませんか?』
慶次郎はニヤリと笑う。
『生きてる時も飽きることはなかったが、死んで神様たちに会えて、お話まできけるなんてこんな嬉しいことはない!お願い事も出来ることならやらせてもらいますよ。なにせ!死んで暇だしね!』
それから、慶次郎は天照大神と仏陀から未来の地球のいく末について。そのターニングポイントがどこであり、神々の話し合いで未来の青年を人格交換転移させて、はるか未来の人類含めた全ての破滅の回避をはかる謀を聞いた。
『ちょっと壮大な話しですね、私に出来ることとはなんでしょうか?』
天照大神は言う。
『前田利家さまと入れ替わった前川右左を支えてあげてくださいませんか?慶次郎さましかいないのです』
仏陀はしずかに慶次郎の決断を待っている。
5秒もたたずに慶次郎は。
『面白いじゃないか!私にとっても全ての人生の事柄の分かれ道が散りばめられてた時代だ。いいぜ!行こうじゃないか!要するに右左、いや利家の叔父きと決して離れず側で支えれば良いんだろ?』
仏陀は微笑んでいる。
天照大神は慶次郎に言う。
『それでは、送りますよ。ちょっと最初は違和感あると思いますが、すぐに慣れると思います。健闘を祈りますね』
俺は何とも言えなずウキウキしていた!また存分に暴れられる!かぶき御免は持ってないであろう時代だけどそんな事かまうものか!
真っ白な世界が真っ黒な世界に変わる!草むらの蒸せた匂いが鼻をついてくる。
なんだよ!真っ黒じゃないか…。
すると大きな声が聞こえる!
『昼寝の時間は終わりだ!慶次郎起きろ!』
なんだ目をつぶってたのか?
『ふああああ』
俺は再びあの熱き時代に再び舞い戻って来たのであった!
果てしなく若返ったこの身の血潮が熱く沸き立って来るのを感じる!
戦だ!
喧嘩だ!
いい女!また今世もあの女子達と再会しようぞ!
俺はやったら軽くなったこの若い体で『もう一丁やってやるか!』と心に誓うのであった。
先ずは右左とやら、叔父きを探さないといかんな。
そう思いながら立ち上がり第二の人生の第一歩を草むらに刻むのであった。
慶次郎ってカッコいいですよね!美学がしっかりしている気がします。
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よし!ちょっとづつでも校正作業を頑張って行きます!




