13 イシュマール号
N.S.F.兵士の保護のもと、彼らはヌールポートの指定ドックに無事に到着した。細い接続通路の窓から、白とベージュの洒落たラインが入った円盤型の宇宙船が見えた。
「ここで結構です。それと、ミランダー婦人にお礼をお伝えください」兵士たちは敬礼をして去っていった。
「すごい!この宇宙船、大きいね……」
窓に吸い付くようにして見ていたリゲルが感嘆の声を上げた。
4人は伸縮式の通路を抜け、エアロックから船内へと入った。気圧調整ダクトからひんやりとした風が吹き出す。奥に進むと、大きな丸い天窓がある円形のラウンジに出た。「ようこそ我がイシュマール号へ。乗船許可するぜ」ウェンがガハハハと笑いながら、海賊のように大げさに両手を広げてみせた。
「良い船ですね。少し古いですが、しっかり整備されています」ジスは壁のパネルから船内の情報を確認しながら言った。
「だろ? 誰がメンテしてたと思ってんの。まぁ、差し押さえられるまでだけどな……。さ、操舵室はこっちだぜ」ウェンがニヤニヤしながらさらに奥へと進む。
「この写真、まだ残してたのね」
エイカはキッチン近くの壁に貼られた古い写真を見つめて小さく呟いた。夕日の海岸をバックに、少し若い頃のエイカとウェンが微笑んでいる。「写真、綺麗だね」隣にいたリゲルが素直に言った。「……そうね。あの頃はね──」
エイカが何か言いかけたが、操舵室の方からジスとウェンの話し声が聞こえてきたので、二人は階段を上がってそちらへ向かった。
「先ほども言いましたが、船体自体はとても良い状態です。ただし、コンピューターのOSが古すぎますね。これはアップデートしないと──」「でも、ちゃんと動くから平気だろ」「いえ、そういう問題ではなくて……」
「ちょっと! そういうのは後にして。私たち尾行されてたの忘れたの? すぐにこのエリアから離れたほうがいいわ」エイカが急かした。
「確かに。OSの書き換えもまもなく完了です。出港許可も発行済みなので、発進準備を開始します」
ジスが操舵席に腰を下ろすと、固定用のアームが一つずつ離れ、ステーション側に折りたたまれていった。アームから解放されたイシュマール号が一瞬ふわりと浮かび、後部のスラスターが青白く輝いた。船はゆっくりと宇宙ステーションを離れ、遠くの星々が揺らめく宇宙の闇へと進んでいった。
第一章(了)




