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設定資料集⑩

《太古の魔族》


 魔族――人類が暮らす世界の裏側にある魔界より訪れし種族は、今でこそ一括りになって久しいものの、遥か数千年以上昔には肌の色によって各部族に分かれていたという。


 加えて部族によってそれぞれ文化や性質が異なり、三国志よろしく長い間部族間での戦乱に明け暮れていた歴史があるが、現在ではその名残は殆ど残っておらず、意外にも肌の色による差別というのはほぼ存在しない


 というのも、魔族にとってはあくまで個人での強さが絶対的なルールであり、弱い者や持たざる者は問答無用で虐げられて当然な価値観なので人間のようにわざわざ差別階級を設ける必要がないからである。


 部族間抗争は結果的に五つあった部族のうち一つが勝利した後、いわゆる天下統一が成された。しかし長期的に続いた大規模な戦争の影響で魔界そのものの環境が著しく悪化し種族自体が存亡の危機に陥った為、魔族らは負けた部族から搾取するどころではなく、団結して魔族全体が生き残るために協力し合わざるを得なくなってしまった。


 故に今の魔族は、肌の異なる種族が当たり前に混ざり合った“他民族国家サラダボウル”となっている。当然ながら混血も進み、過去には見受けられなかった見た目の魔族もいるとされるが、そもそも今の魔族にとって肌の色や角、翼、尻尾の有無などただの記号でしかない。


 下記からは、数千年前の大昔に肌の色によって部族が分かれていた時代の魔族について解説する。




【赤魔族】


 赤系統の肌の色をした種族。過去に存在した魔族のうち、全体の一割程度であったらしい。


 数こそ少ないものの、最も野蛮で好戦的な戦闘民族であったとされる。単一での戦闘能力に優れ、加えて坑道を彫るなどの単純な肉体労働にも秀でる。


 ただし生産能力は一番低く、文化レベルは混沌としていて原始的。自分たちが持たないものは弱い他者から奪って当たり前、というジャイアニズム的な価値観を持つ。


 非常に長く続いた部族間戦争も、結局きっかけを作ったのはこの種族だったのではと考えられている。常にトラブルの要因となりがちなので、最終的に他部族とよく纏まったのが不思議なくらいである。


 それだけ大戦後の魔族は極めて酷い状況に晒されたのだろう。現在では混血ばかりで、純正の肌の者は極めて希少。




【青魔族】


 青系統、または紫がかった肌の色をした種族。当時の人口のうち、全体の二割以上とされる。


 頭脳労働や計算能力に秀で、それを活かした高度な建築技術を有していた。


 種族全体の中では比較的知的で無駄な争いを回避したがる傾向にあり、生き延びるために他の部族に協力することで自分の立場を守っている者も少なくなかった。




【緑魔族】


 緑系統の肌の色をした種族。その数は魔族の人口全体で四割と最も多い。


 普段はそこまで攻撃的でないものの、ゴブリンやオークと同一視すると最大の侮辱として苛烈に憤る。


 生産能力に優れ、集団で一つの何かをする際に一番効率的で成果の大きな動きをすることが特徴。


 使い勝手の良い労働力や奴隷として他部族に攫われることがよくあり、戦時下では何かと見下される傾向にあった。




【黒魔族】


 黒系統、実際には灰色やダークグレーの肌の色をした種族。人口は全体の二割未満。


 山岳地帯の奥地などの辺境に隠れ住み、他部族との関りを極力持とうとしない排他的な価値観を持つ。


 逆に定住地を持たず、各地を旅して移り住む者も存在していた。種族的な悪魔とは交流が盛んで使役する術を確立していたりと、他種族とは技術や考え方に大きな隔たりが見受けられる。


 現在では純正の血筋を持つ者の数はかなり少なくなってしまっている。




【白魔族】


 人間に一番近い見た目をした種族。当時の人口は全体の一割程度で、しかも男性より女性の方が倍以上多かったとされる。ただしその希少性から男性の方が優遇され社会的地位は高かった。


 手先が器用で、最も優れたアイテムを作成するテクノロジーを所持していた。逆にそれが原因で他部族に拉致されることも多かった。


 性格的には赤魔族についで好戦的なところがあったが、無闇矢鱈に襲撃を掛ける事はなかったとされる。しかし敵対者に対して非常に残忍な気質を有する。


 また、魔物の育成や扱いの技術にも秀でている。結果的には部族間抗争の勝利者となったが、当時の支配者――つまり初代魔王は、魔族全体が今後も種として生き残る為に、あえて種族の垣根を取り払った政策を行った。(因みに初代魔王は実は女性)


 今では混血も進んで、人間に近い姿をした魔族の数はだいぶ多くなっている。劇中に登場している魔王や娘のロズェリエもこの系統である。





《魔界の環境》


 魔界には過去の大戦が原因とされる世界的な環境変化で有毒な魔素を多く含んだマナが溢れており、それが年々悪化の一途を辿って人間より遥かに強靭な肉体を持つ魔族でももはや耐えられない域にまで崩壊が進んでしまっている。


 故に魔族たちは人類の済む世界へ移り住もうと侵攻に及んでいる訳だが、下記からは汚染されたマナによって著しく変異してしまった魔界の劣悪な環境や地域について解説する。




【砂漠地帯】


 地表面温度が平均80度を超える極限の砂漠が広がる地域。紛れもなく死に満ちた砂の世界。


 当然ながら魔界の生物といえど通常の種が長らく生存できるような環境ではなく、魔族の生活圏はほぼ皆無と言っていいに等しい。オアシスなんかない。


 せいぜい見受けられるのは高温で乾燥しきった環境に適応した特殊な魔界植物か、突然変異によって強靭な生命力を得た大怪獣レベルの巨大怪物ギガントモンスターくらいである。




【氷原地帯】


 平均気温がマイナス110度を下回る、これまた無慈悲な死に満ちた白銀の凍土。


 植物は一切存在せず、たまに魔力のみで活動できる特殊な魔獣が目撃される程度。そんな環境で生きていけるだけあって戦闘能力は極めて高いとされる。


 砂漠以上の過酷な地域で、とてもじゃないが魔族でも無策での生存は非常に厳しい。魔族は種として強靭な肉体を持つので通常なら単純な寒さのみでは簡単に死なないものの、それを叶えるためのカロリーが摂取出来ないのである。




【密林地帯】


 魔素の影響で変異した魔界植物が生い茂る熱帯の地域。


 同じく魔素によって変質を遂げた上に凶暴化した魔物が激しい生存競争に明け暮れている危険地帯。全ての生物が攻撃的かつ食欲旺盛で安全地帯グリーンゾーンなど存在しない。


 水ですら毒性のある魔素や菌、多種多様な寄生中だらけのおぞましい場所である。




【山岳地帯】


 殺風景な岩山ばかりが広がっており、まともな動植物は殆ど見かけられない。


 その代わり、地底には岩盤を掘り進んで洞窟のように広大な巣を作っている巨大かつ狂暴な蟲型の魔物が大量に跋扈している。


 極めて危険ではあるものの、その魔物からは栄養価の高いローヤルゼリーのようなものが採取できるのだとか。




【腐蝕地帯】


 瘴気と猛毒の胞子を撒き散らす巨大な菌類が蔓延る汚染区域。某ジ〇リ作品の腐海のような場所。


 強い身体機能を有する魔族であっても立ちどころに肺が腐って死に至るので、特殊な専用装備無しでは絶対に近づけない超危険地域。


 しかしここでしか手に入れられないような貴重で特殊な素材なども存在するので、全く誰も立ち入らないという訳ではない。


 自ら動く茸のような魔物が生息している。




【歴青地帯】


 底無しのタールピット(天然アスファルトの池)が広がる地域。乾燥してはいるが、植物は豊富に存在する。


 黒く泡立つ底無しの沼に入り込んでしまえば、まず助からない。また獰猛で巨大な社会性昆虫型の魔物が全域を飛び回っている。




【粘液地帯】


 魔素で変異したスライムが大量に繁殖しまくっている湿地帯のような環境。スライムにとってだけの天国。


 スライム以外の生物は強酸の霧や溶解液の沼によってあっという間に餌食となってしまう。




【火山地帯】


 活火山が日常的に噴火しては、各所から溶岩が垂れ流され続けている灼熱の地獄。


 こんな環境で生活できるのは最強の幻想生物である竜種くらいのものである。




【怪魔地帯】


 極めて変異性が強く特殊な魔素を含んだ赤い霧に覆われ、魔界でもかなり異質な変化を来した動植物が存在する森林地帯。


 木々や生物だけでなく、大地や鉱石すらもその全てが魔素による浸食を受け、血のように赤黒く内臓のようにグロテスクな見た目の奇怪な形状へと変質していく。


 魔族でもその毒素を一切分解できない為、汚染はかなり深刻な問題と化している。魔界の中の魔界といったところ。




【黒雲地帯】


 あらゆる光を吸収して遮断する黒い濃霧によって常に覆われた山岳地域。故に植物は育たない。


 光源がないだけで他は比較的安全のように思えるが、長い間居続けると生物の体組織を別のものに変化させ、他の環境では生命活動が送れないようになってしまう。


 また突然変異した獰猛な巨大昆虫型の魔物が各所に巣を作っては獲物を求めて徘徊している。




【毒灰地帯】


 放射能じみた毒性の強い魔素で汚染された灰が舞い続ける地域。視界がとにかく黄色い。


 魔族や魔物であろうと、全ての生物が病気に冒されて衰弱死を遂げる。


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