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World Re:Maker  作者: 祓野 まひろ
3/3

第二話 放課後

「起立、礼」


「「「「ありがとうございましたー」」」」


帰りのHRが終わり、皆それぞれ荷物をまとめ帰路につく。


「ふいー、やっと終わったー」


伸びをする尚吾。


「もう入学して3ヶ月か。流石に慣れただろ?」


「慣れたけど、疲れるんだよなあ。特に開発プログラムって、一番疲れるのに大体最後の授業だろ?いくら演算補助機があるからって、やっぱ能力使うとだいぶ疲れるんだよ」


演算補助機とは、脳の情報処理能力を補助し、活性化する機械だ。

世界の情報を改変する能力を手に入れても、世界の膨大な量の情報、またそれを改変する緻密で複雑な情報で構成されている改変式を処理する能力を人の脳は持ち合わせていない。

なので、超能力者は能力を使用する際に演算補助機で脳のキャパシティを増幅させるという訳だ。

演算補助機の形は様々だが、一番ポピュラーなのは腕輪型だろう。

この学校で支給されるのも腕輪型の演算補助機だ。

中には自前の高性能なものを使うやつも居るみたいだが…

というかコイツ俺が能力使えないの知ってて嫌味言ってんのか?


「お前それ嫌味か?」


「違う違う、そんなつもりで言ったんじゃねーって」


「まったく、こっちだって結構気にしてるんだぜ?」


「わ、悪かったって。あ、そうだ!気晴らしにゲーセン行こうぜ!メダル代とか俺が出すからさ」


コイツご機嫌取りに走りやがった。軽い冗談なんだが。


「別にそこまでしなくていいっつの。冗談だから。つーかあんなんで一々心折ってたら、キリがねーよ」


4年間も劣等感と闘ってきた俺の精神はダテじゃない。


「まぁ空気読まなかった俺が悪いから。ここは甘えとけって」


「じゃあお言葉に甘えて、ストレス発散に行くかな」


「どーする?S-gameでいいか?」


「んー、あっこ台の反応悪いんだよねー」


科学の都市の癖に反応悪いってどういうことだよ。


「じゃあプレイランドに行くか」


「OK、百円玉搾取してやんよ」


「か、考えて使えよ?」


俺達は鞄を手に教室を後にした。





ネクストは大きく七つの区域に分けられていて、


第一区

駅などの交通機関、巨大ショッピングモール

第二区

学校区

第三区

娯楽施設

第四区

居住区

第五区

研究、実験棟区

第六区

オフィス街

第七区

工場地帯


というふうになっている。


俺達が今から行くのは第三区で、ゲーセン、カラオケ、テーマパークなど、娯楽施設が集まる非常に学生達に人気な区域だ。


ネクストでは学生の数が多い。

超能力者養成学校だけでなく、名門進学校や難関大学などもあり、大小全ての学校あわせ90校もの学校が存在する。

なので学生の数は約50万人と、ぶっ飛んだ数になっている。


放課後の第三区は大勢の学生で賑わう。

恐らく学生でない者など殆どいないだろう。

ゲーセン内も見渡す限り多種多様な制服に身を包んだ学生達がゲームをプレイしていた。


科学技術が進歩した今でも、ゲームセンターのスタイルは昔とほとんど変わらないらしい。

変わったことといえば、ゲームが高画質になったことか。


「よっしゃ、まずは格ゲーからいくか!」


尚吾が格闘ゲームのブースに腰をおろす。


やはりゲーセンといったらこれだろう。

俺はシューティングのほうが得意だが。


「じゃあ5ラウンドで負けた方がジュースな」


「まだ俺から搾り取るつもり!?」


「俺が格ゲー苦手なの知ってんだろ。奢ってやるっていってんだよ」


「しかし万が一という言葉があってだな、」


「つべこべうるせーな、さっさとキャラ選べ」


「てめぇ、もう怒った。ストレート勝ちしてやる」


尚吾はバリバリのパワーファイター型


俺は使いやすいバランス型のキャラを選んだ。


『Ready…fight!!』


開始と同時に尚吾のキャラが突っ込んでくる。


俺はすかさずガードのコマンドを入力するが、


「へっ、馬鹿め!」


ガード壊しの攻撃で吹っ飛ばされる。


「うおっ!」


その後も畳み掛けられ、尚吾のゲージに傷ひとつ付けることなく負けた。


『you lose』


「お前ホント弱いな」


「うるせえ、まだ後4ラウンドある」


「まぁ精々頑張ってくれ」


2ラウンド目の準備が整う。


『Ready…fight!!』


「せいっ!」


今度も開始直後に突っ込んでくるが、


「バカの一つ覚えが!」


ガードのコマンドを入力。


そしてインパクトの瞬間、カウンターのコマンドを入力する。

すると尚吾のゲージが半分も減った。


「あぎゃっ!?」


奇声を発するが無視。そのまま畳み掛ける。


『you Win』


先程とは打って変わって黄金色に輝く文字が表示される。

少しダメージをくらったが、圧勝と言っていい結果だ。


「ちくしょう、偶然だ偶然!!次は勝つ!!」


「よっしゃ、こい!!返り討ちだ!!」


そしてゲームは続き、最終ラウンド。

戦績は両方勝2敗。


「今日は何だか調子がいいな」


格ゲーは苦手な筈なんだけどな。賞品がかかると覚醒するのか?


「くっそ、やりおるな。だが次でシメ-だ!」


おい友人、この場面でそれはフラグだ。


『last round…Ready…fight!!』


最終ラウンドが始まった。


今回尚吾は突っ込んで来なかった。

代わりに俺が先攻を取りに行く。


「?…随分と消極的だな」


先程から尚吾はガードに専念している。


「なにを企んでやがる…」


「へっ、それはお楽しみよ」


などと言っているがコイツの狙いはわかっている。


ダメージチャージ制の必殺技だろう。


ちょこちょことダメージを調節しながらゲージを貯めていってる。


俺がガード壊しの攻撃を放つと、


「よっし、キターーー!!」


尚吾の逆転必殺技のゲージが貯まった。


「くらえ!!おらああああああ!!」


「なんだとおおおおお!!??」


俺は必殺技をモロでくらった。

いや、自分からくらいに行った(´´´´´´´)


「よし、ざまあみろ!!俺ジュースはコーラな!!」


「ちくしょおおおお!……なんていうと思ったか」


俺はニヤリと笑って尚吾に言い放つ。


「は?何言って……」


尚吾は画面に顔を向けると、目を見張った。


「まだ死んでないだと!?」


俺の体力ゲージは僅かながら残っていた。


「そんなバカな、必殺技をくらった筈………っ!!!そうか!!」


「そのとおり。隠しコマンド『九死に一生』!!」


このコマンドを攻撃をくらう前に入力すれば、

どんな大ダメージでも体力が1残るというものだ。


「最初っから必殺技狙いってのはわかってたんだよ!!!」


「なんだと!!?」


なんだと、じゃねぇよ。バレないとでも思ってたのか?


「ふっ、次は俺の番だ。今の攻撃で俺の必殺技ゲージは満タンになっている!!」


「くっ、しまったあああ!!」


なんだこの茶番。


「くらえええええ!!」


「ぐああああああ!!」


半分くらいしか残ってない尚吾の体力が必殺技に耐えられる筈もなく、(九死に一生コマンドはゲームを総じて一回しか使えない)俺の画面には、『you Win』の文字が表示される。


「いやー、思いの外調子良かったなー」


人生で一番調子が良かったかもしれない。


「くっそー、勝ったと思ったのに……」


「あ、俺ジュースはサイダーな。」


「へいへい、買ってきますよ。」


格闘ゲームのブースを出て、

尚吾がジュースを買いに行こうとしたその時―



ドオオオン!!!と激しい衝撃がゲームセンターを揺らす。


「キャアアアアアアア!!!」


「うおおっ!!!」


悲鳴と叫び声が聞こえる。


「なんだ!?」


「外で爆発だ!」


どうやらゲームセンターの外で爆発があったらしい。


俺は尚吾の方をチラリと見る。


「行ってみるか」


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