終わりの為に始まる異変
『異変?』
『ええ、そうよ。ここ最近異変が異常に多いわ』
『それは確かに私も思うが……』
『「異変が連続で起きる」これ自体が異変だって言ってるのよ』
紫がいつにもなく真剣な目で私に語りかけてくる。
どうやらかなり深刻な問題らしい。
『……そこまでなのか?』
『何か問題が起きた場合、小さい事であれば"事件"や"問題"で処理されるの。反対に物事が深刻な場合、幻想郷に危険が及んだ場合を"異変"として処理されるの』
つまり今の状況は幻想郷に何度も危機が迫っているという事だ。
その事を考え確かにおかしい状況だと考えを改める。
『ただの異変が続けば別々に処理されるはずが紫は1つに繋げて"異変"と称する……。ということは今までの異変は一本の線で繋がってるのか?』
『私はそう考えているわ。あまりにも都合が良すぎる。これじゃあ疑いようが逆にないわ』
紫は地図を広げると様々な所に丸をつける。
今まで異変が起きた場所を示しているのだ。
『改めて見ると多いな……』
『これを見て何を思うかしら?』
(……よく見ると丸が里の周辺ばかりだな。里にも丸はついているが……)
『私の考えじゃ恐らく紫が考えている答えには辿り着けないよ』
『この丸を一筆書きで結んでいくのよ。すると……』
『……これは』
『どう?これを見たらどう考えても人為的としか考えられないのだけれど』
地図には円の中に星が描かれた陣が書かれていた。
そう、今まで異変が起きた場所には意味があったのだ。
『……術師が使う陣の1つだな』
『そう、巫女の貴女でも出来る基本中の基本の陣よ』
『……と、なると』
『ええ、これはまだ完成ではないわ。後もう一点場所が足りてない』
『里から少し離れた所か……。ここには小さい祠があったと思う』
道祖神を祀る小さい祠があるのを私は覚えていた。
普段里を避けて帰ってるためにたまたま見つけた小さい祠だ。
まったく、人生何が役立つかなんて分かったもんじゃない。
『ならこの陣を見ても分かるけどその祠が終着点ね』
『……紫。呑気に話をしてる場合じゃなくなったぞ』
この肌がひりつく感じ、空気が震えるような感覚。
恐ろしい妖気の塊が近づいてきてるのが私には分かる。
『さっそく動き始めてる。急いで行かないと間に合わなくなる』
『まだ朝なのにもう動き始めてるの……?何を考えてるのかまったく読めないわ……』
『私は先に行ってるが紫はどうする?』
『……私は少し遅れていくわ。準備する事があるの』
『了解だ』
私は草履を履くと脚力だけで空を駆ける。
空気を踏みつけて空中を走る、私が対空用に考えて編み出した技術だ。
……ここからだ。
もう終わりは近い。
ここからが私にとっての忘れられない悪夢だ。
ああ、今でも脳裏に焼き付いて離れない光景がもう少しで辿り着いてしまう。
最悪の結末が。




