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クラスごと異世界転移したモブの俺、ハズレスキル【無限収納】が覚醒したので異世界で無双します  作者: よるねこ
第一章

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第108話 普通の討伐依頼を受けたら素材の値段が妙に上がった件


 火曜の朝は、昨夜の酒場の気配をかすかに引きずっていた。


 借家の居間に差し込む朝の光はやわらかいのに、板張りの床には夜の冷えが残っていて、裸足で立つと足裏の奥までじんとした感触が伝わってくる。窓を少し開けると、外の空気はひんやりしていた。隣家の庭先からは水を打つ音が聞こえ、どこかの家で焼いているパンの匂いが、まだ片付け切っていない朝食の香りに薄く混じる。


 昨夜は酒場で遅くまで騒いだ。ユウト本人の記憶は案の定きれいに抜けていたが、それでも朝の身体には妙な重さがある。頭が痛いわけではない。ただ、眠りの底から引き上げられたばかりの身体が、まだ完全には昼の方へ向いていないだけだ。


 それでも、装備に手を伸ばす気分は悪くなかった。


 ユウトが卓の上の木椀を片付け終えた頃、隣の戸を叩く音がした。二度、間を置かずに鳴る。遠慮のない音だが、こちらの朝の流れを知っている相手の叩き方だった。


「ガルドさんですね」


 レイナがそう言って立ち上がる。戸を開けると、案の定、そこにはガルドが立っていた。もう自宅で朝食は済ませてきたらしく、身なりは整っている。弓は背負っていないが、動きやすい服に着替えていて、今日は最初から予定の話をしに来たのだとわかる顔だった。


「朝から悪いな」


「いえ、ちょうど片付いたところです」


 マリナがそう返すと、ガルドは軽く頷いて中へ入った。


 隣が自宅だから気安いものだ。しかもガルドには家族がいる。妻と娘と過ごす朝の時間を取った上で、こちらへ顔を出してくる流れももう自然になっていた。そういう生活の匂いを、ユウトは嫌いではない。


 ガルドが椅子へ腰を下ろすと、ダインも壁際からこちらへ寄ってくる。マリナとレイナも卓を囲み、朝の空気はそこでようやく火曜のものへ切り替わった。


「昨日の続きだ」


 ガルドが口を開く。


「今日と明日をどう使うか、ここで決めておいた方がいい」


 ユウトは頷いた。月曜の夜が終わって、今日は火曜の朝だ。金、土、日とケーキ屋の営業が続き、月曜が休みで、そこから火曜と水曜は冒険者として動ける。木曜はまた店の準備がある。だから、この二日間にどう動くかは冒険者を続ける上でかなり大事なのだ。


「普通の討伐がいいと思います」


 ユウトがそう言うと、ガルドはすぐに顔を向けた。


「理由は」


「今の動きを、依頼の中で試したいからです」


 ユウトはそこで一度息を吸い、頭の中で言葉をまとめた。


「師匠に教わったことも、副官さんとの訓練で掴んだ感覚もあります。でも、訓練で出来るのと、依頼でちゃんと使えるのは別です。普通の相手に、普通の依頼の条件で、どこまでやれるか確かめたいです」


 ガルドはその返事を聞いて、少しだけ目を細めた。軽く流すでもなく、逆に厳しく潰すでもなく、言葉の中身をそのまま量るような視線だった。


「いい考えだ」


 そこでダインが低く言った。


「倒すだけなら簡単だ」


 短い一言だったが、卓の上の空気がそこで変わる。


「だが、それでは金にならん。どれだけ値を落とさずに倒せるか、そこに腕が出る」


 ガルドも頷く。


「肉にしろ皮にしろ牙にしろ、傷の付け方ひとつで買い取りは変わる。この街で使われる肉は人が育てた肉だけじゃない。魔物の肉も当たり前に回る。だからこそ、雑な討伐と、売れる討伐じゃ意味が違う」


 レイナが真顔になる。


「つまり今日は、ちゃんと稼げる倒し方をする日ですね」


「そういうことだ」


 ガルドの声は落ち着いていた。


「ユウトは使い分けを見る。レイナは戦いへの入り方を見る。前より出来ることは増えてるんだ。なら、いつも通りで終わらせる意味はない」


 レイナはその言葉に、すぐ頷いた。


「わたしも、もっと戦闘の中に食い込みたいので」


 マリナが両手を膝の上で重ねたまま言う。


「方針は決まりね。普通の討伐依頼。素材が金になる相手を選ぶ。その上で、倒し方をきちんと見る。無理に大物を狙う必要はないわ」


 そしてユウトへ目を向ける。


「黒崎くん、今日は倒せるところを見たいんじゃないの。どう倒すかを見たいの」


「はい、先生」


 返事をしながら、ユウトは胸の奥が少し熱くなるのを感じた。期待されるのは嫌いではない。しかも、ただ強さを見せろではなく、使い方を見たいと言われると、なおさらだった。


 借家を出ると、火曜の朝の街はもう動き始めていた。石畳の上には朝の光が白く落ち、荷車の軋む音が通りの奥へ伸びていく。店先の戸を開ける音、野菜を並べる音、遠くで誰かが呼ぶ声。そんな朝のざわめきの中を五人で歩くと、昨夜の酒場の熱は少しずつ身体から抜けていく。


 ギルドに入ると、革と鉄の匂いが鼻を打った。木の床には朝の湿り気がまだ少し残っていて、踏みしめる靴底がかすかに軋む。掲示板の前にはもう人が集まり始めていた。討伐、採取、護衛、調査。紙の並びを目で追いながら、ガルドが一枚を指で押さえる。


「これだな」


 覗き込むと、そこにあったのはグラスボア討伐の依頼だった。街の西、草地と森の境目で畑荒らしが増えている。牙と皮の買い取りあり。肉も売れる。ただし胴の傷が大きいと減額。


「わかりやすいですね」


 ユウトが言うと、ガルドは頷く。


「真正面から叩き潰せば終わる相手だ。だが、それをやると値が落ちる。今日にはちょうどいい」


「これにしましょう」


 マリナがそう決め、受付を済ませる。五人で街を出る頃には、陽も少し高くなっていた。畑の土は朝露をまだ少し抱えていて、踏みしめると柔らかい匂いが立つ。風が麦の穂を撫で、その向こうに広がる草地は、朝の光を受けて淡く揺れていた。


「黒崎くん」


 歩きながらマリナが言う。


「今日は手加減じゃないわよ。使い分けるの」


「わかってます」


「倒せるのに倒さない、じゃなくて、値を落とさずに必要なだけ落とす。そこを見たいの」


「はい」


 ガルドも横から口を開く。


「倒すだけなら簡単だ。雑に前脚を折って、首を落として終わりでも依頼票は達成になる。だが、それじゃ二流だ。肉も皮も牙も残して、持って帰った時に金になる形で終わらせる。そこまでやって一人前だ」


 その言葉に、ユウトは小さく息を吐いた。緊張ではない。意識が一点へ寄っていく時の呼吸だった。


 草地の奥、森の縁へ近づいたあたりでユウトは足を止める。意識を沈め、完全鑑定を通す。視界の向こう、草が揺れるその奥に、明らかに重いものがある。地面へかかる荷重の違いが、草の倒れ方ひとつにも出ていた。


「前に二頭。少し離れてもう一頭です」


「まず近い方からだな」


 ガルドが弓を持つ手を軽く開閉する。ダインは盾を構え、マリナは周囲の地形を一度見回した。レイナは杖を握る手の位置を直し、呼吸を整えている。


 草を分けて進むと、一頭目のグラスボアが姿を見せた。肩の高さは人の胸ほどもあり、短い脚は太く、前へ押し出す力がそのまま見えるようだった。首は分厚く、鼻先で土を掘るたびに湿った土が飛ぶ。湾曲した牙は黄ばんだ白で、そこだけが朝の光を鈍く返していた。


 こちらへ気づいた瞬間、グラスボアの前脚が止まる。次に全身が沈んだ。突進のために重心が前へ流れ、首と背の筋が一斉に張る。


「来ます」


 レイナの声とほぼ同時に、ダインが半歩前へ出た。半歩だが、それで十分だった。真正面から受け止めるのではなく、盾の面をわずかに傾ける。ぶつかってきた力を、腕で止めるのではなく、脚から腰、腰から肩へ逃がす角度だ。


 グラスボアが突っ込んできた瞬間、鈍い衝撃が盾越しに響いた。ダインの靴が土を削り、抉れた草が横へ散る。重い。だが、その重さを押し返そうとしないから崩れない。受け止めるのではなく、流している。


 そこへレイナの水が走った。


 一発目は正面からではない。グラスボアの顔の前へ横から薄い水膜を流し込み、目の前へ一瞬だけ揺らぐ壁を作る。鼻先へまとわりついた水に反応して、魔物の視線がわずかにぶれる。次の一発はその直後、頬へ叩きつけるように当てた。水の塊が打撃になって首を横へ押し、そのずれで前へ押し込む力の向きが狂う。


「今です」


 ユウトは左へ踏み込んだ。狙うのは首でも胴でもない。前脚の付け根、その内側だ。分厚い胴を支えるのは骨だけではない。前へ流れた重さを受ける繋がりがあり、そこだけを落とせば皮を裂かなくても沈む。触れた瞬間、無限収納を薄く、細く伸ばし、肉の中のその一点だけを抜く。


 外からはほとんど傷が見えないまま、踏ん張るはずの前脚が支えを失う。巨体の前半分が沈み、首が低く落ちた。そこへガルドの矢が飛ぶ。狙いは急所そのものではなく、首の下、踏み直す時に力が通る位置だった。浅く刺さるだけで十分に邪魔になる。


 ダインは盾を押し込まず、崩れた向きへ体ごと添える。逆らわず、そのまま流す。前へ逃げた重さは戻れず、グラスボアの体勢はさらに低く崩れた。


「黒崎くん、耳の後ろ」


 マリナの声が飛ぶ。


 ユウトはさらに一歩詰める。首を持ち上げる力がまだ残っている。その流れだけを止めればいい。耳の後ろから首の内側へ、ごく短く、深く。必要な部分だけを通した瞬間、巨体は踏み直す暇もなく横へ倒れ込んだ。地面が低く震え、湿った草の匂いが濃く立つ。


 呼吸を整える間もなく、二頭目が横手から回り込んできた。一頭目よりやや小さいが、警戒心があるぶん動きがいやらしい。正面を避け、角度を作って入ろうとしている。


「右へ向かせて」


 マリナが言う。


「レイナ、顔を切って。ダインさん、進路を塞いで。ガルドさんは首の戻りを止めて」


「はい」


 レイナの返事と同時に、水弾が斜め前の草へ打ち込まれた。湿った破裂音が続き、草が弾ける。その音と水しぶきへグラスボアの視線が向いた瞬間、次の水が鼻先の前を横切る。目の前を流れた水に反応して、首がさらにそちらへ引かれた。


 その進路の正面へダインが入る。盾を置くように立つだけで、進みたい方向が潰れる。グラスボアは別の向きへ体を切るしかない。その逃げ道に、ユウトがいた。


 踏み込んだ後脚が地面を押す。押した分だけ胴が伸び、腹の下に一瞬だけ余白が出来る。ユウトはその瞬間へ触れ、胴を支える繋がりの一部だけを抜いた。外から大きく裂けることはない。だが、呼吸と踏ん張りが噛み合わなくなった巨体は、一度むせるように揺れた。


 そこへガルドの矢が鼻先の上を掠める。傷を付けるためではない。目の前を抜ける気配で首を振らせるためだ。戻ろうとした顔へレイナの水撃が当たり、向きがさらにぶれる。


「今、首の下」


 マリナの指示に、ユウトは崩れた肩の横へ滑り込む。立ち上がるには首と肩の連動が必要だ。そこだけを短く落とされれば、自分の重さに耐えられなくなる。触れたまま線を通すと、二頭目も膝を折るように沈み、そのまま草の上へ倒れた。


 レイナが息を吐き、目を輝かせる。


「今の、ちゃんと向きが変わりました」


「よく見えていたな」


 ガルドが言う。


「最初の一発で注意を引いて、次で首を押した。あれならただ足を止めるよりずっといい」


 褒められたレイナは嬉しそうだったが、そこで浮かれず、すぐ三頭目の方角へ目を向けた。


 最後の一頭は森の縁にいた。木陰を半分背負ったその体は、さっきの二頭より明らかに一回り大きい。首の厚みも、前脚の付け根の盛り上がりも違う。落ち葉を踏むたびに土が深く沈み、その重さが遠目にもわかった。


「一番重いですね」


 レイナが小さく言う。


「正面から止め切る気は持つな」


 ガルドが答えた。


「受け流しから崩す」


 ダインが短く頷く。盾を握る腕の筋が浮き、呼吸がわずかに深くなる。


 グラスボアは待たなかった。こちらが構え切る前に、前脚で地面を掻き、突進の軸を作る。森際の土は柔らかく、最初の踏み込みで深く沈んだ分だけ、次の一歩に重さが乗った。


 ダインが真正面へ出る。だが、今度は止めにいかない。盾を半ば滑らせるように当て、衝撃を真正面から食わない角度を作る。ぶつかった瞬間、盾と体を通して重さが響いた。肩が沈み、足元の土が抉れる。けれど、その沈みへ逆らわず横へ流したことで、グラスボアの前へ出る力も真っ直ぐには伸びない。


 そこへレイナの水が叩きつけられた。


 一発目は頬へ。打撃として首を横へぶらす。二発目は目の前を斜めに切る薄い帯。視界を裂かれたグラスボアは首を戻そうとするが、その根元へガルドの矢が入る。深くはない。それでも、戻る時に力が通る位置だから、首の動きが鈍る。


「黒崎くん」


 マリナの声は短い。だが十分だった。


 ユウトは低く踏み込み、支えようとしている側の前脚へ回る。重い相手ほど、崩れた瞬間に立て直すための力が大きい。その力が集まるところだけを落とせば、全部を壊す必要はない。触れた手の先で、前脚と肩を繋ぐ内側の線を抜く。支えを失った前脚が沈み、巨体が片側へ傾いた。


 それでも、まだ首の力で起きようとする。ユウトはその気配を逃さず肩口へさらに踏み込み、耳の後ろから内側へ短く、深く通した。首を持ち上げ、体を戻す最後の流れを断たれた巨体は、自分の重さを支え切れない。落ち葉と土を巻き上げながら横倒しになり、その震えが足裏から脛へ、脛から胸へ上がってきた。


 戦いが終わると、森際には急に静けさが戻った。風が草を撫でる音と、自分たちの呼吸だけがはっきり聞こえる。


 ダインが盾を下ろす。


「重かった」


「でも、流れましたね」


 レイナが言うと、ダインは頷いた。


「正面の軸が狂ったからだ。顔がずれ、首の戻りが止まった。あれで十分だった」


 マリナがレイナを見る。


「今の二発、よかったわ。最初の打撃で首をずらして、その次で視線を切ったでしょう。あれで戻りが遅れた」


「やっぱりですか」


 レイナは素直に笑った。


 その横でガルドが三頭目のそばへしゃがみ込み、皮と牙、首回りを確認している。指先で表面を撫で、傷の入り方を見てから、立ち上がってユウトへ向き直った。


「よく考えて使ったな」


「はい」


「倒すだけなら、もっと雑に終わらせられたはずだ」


 ガルドの声は静かだった。


「だが、胴を裂いていない。牙も欠けていない。皮も大きく傷めていない。こういう倒し方が出来るなら、それはもうただの力任せじゃない」


 そこで少しだけ口元を緩める。


「腕だ」


 その一言が、今日の戦い全部の手応えをひとつにまとめた。


 三頭を収納して街へ戻る道は、行きより風がぬるくなっていた。陽が上がり、草の匂いも少し甘くなる。レイナは上機嫌だったが、はしゃぎすぎることはなく、何度か自分の杖を見ては小さく笑っていた。うまくいった感触がまだ手の中に残っているのだろう。


 ギルドへ戻り、受付で三頭を取り出す。床へ並んだグラスボアを見て、受付嬢はまず数を確認し、それから皮へ目を落とした。次に牙、その次に首回りへ視線が移る。


「えっ」


 思わず漏れた声だった。


「状態、かなりいいですね」


 ガルドが淡々と返す。


「そうか」


「そうか、じゃないですよ」


 受付嬢は困ったように笑いながら、改めて死体を見る。


「これ、皮もきれいですし、牙もほとんどそのままです。胴の傷も少ないですし、買い取りかなり上がりますよ」


 レイナが横で肩を震わせる。ユウトは少しだけ視線を逸らしたが、そこで逸らしても意味はなかった。


 受付嬢は札を計算しながら、なおも首を傾げている。


「……どうやって倒したんですか?」


 その問いに、マリナが口元へ手を当てて少し笑った。


「普通に、ですよ」


「普通の幅が広すぎませんか?」


 もっともな返しだった。


 結局、買い取りは予想よりかなり高くなった。報酬袋の重みは、手の中でずしりと心地よい。ギルドを出たところで、ガルドがその袋を見ながら言う。


「明日も同じようにやれれば上出来だな」


 ユウトは頷いた。戦って勝った実感より、依頼に応えた実感の方が大きかった。土の匂いも、足に残る衝撃も、まだ身体に残っている。それが嫌ではない。


「先生」


 レイナがにやりと笑う。


「さっきの受付の人、絶対おかしいと思ってましたよね」


「思っていたでしょうね」


 マリナも苦笑する。


「でも、いいことよ。値段が上がるなら」


 それからユウトへ目を向けた。


「黒崎くんも、今日はちゃんと見せられたわね」


「はい、先生」


 短く答えると、胸の奥がまた熱を持つ。普通の討伐依頼だった。特別な相手でも、特別な舞台でもない。だからこそ、どう倒したかがそのまま結果になった。


 隣にはガルドの家がある。戻れば向こうではもう昼の支度が始まっている頃だろう。こちらも借家へ帰って一息つけば、すぐ明日の話になる。火曜がこれなら、水曜はもっとよく出来るかもしれない。そう思うと、足取りは自然と軽くなった。


 その横でレイナが笑う。


「ユウトくん、今ちょっと嬉しそうでした」


「そうか?」


「そうです」


 言い切られて、ユウトは少しだけ笑った。否定する気にはなれなかった。普通に依頼をこなしただけなのに、素材の値段は妙に上がって、レイナは新しい手応えを掴んで、ガルドさんには腕だと言われたのだ。嬉しくないはずがない。


 火曜の陽はもう高く、石畳に落ちる影は朝より短くなっていた。五人はその光の中を並んで歩く。昨日の夜が終わり、今日の仕事が終わり、明日がもうその先に見えている。そんな確かな流れの中で、ユウトは手の中の重みをもう一度確かめながら、借家への道を歩いていった。

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