夜の光と大国の自立兵。
あの101号室から出て少し。
あれからほかの部屋を探索してみようかとも考えたが、おそらく何もないだろうと思い、やめた。
だが、俺はあそこで一晩過ごした。
久しぶりにベットで寝た。
背中が痛くなかったし、暖かった。
ベットで寝たのは老技師以来だ。
あの老技師は元気にしているだろうか。
まぁ。あまり俺には関係ない。
きっと元気にやっていることだろう。
あれから大国に向かって歩いた。
何日たったかはもうとっくに忘れた。
だが。
「ついた。」
目的地。
過去の大国。
ラフェル。
もう戦争で終わったはずの場所だ。
だが、前の自立型の集結を見ていると少し疑問に思える。
まぁ。きっと終わっているはずだ。
というか、ついたといっても領土内に入っただけだ。
あるのはアパートとビル。
首都や都市に比べれば規模がかなり小さい。
俺はそんな人気のない場所をずっと歩いた。
この国は前から言っている通り大国。
領土は世界一だ。
もし何かあるとすれば首都に近づかなければならない。
ここからが本番といっても過言ではないだろう。
何日かかろうとも、時間だけならある。
何とかなるだろう。
そんなことを考えながら歩いた。
空は少しずつ暗くなり、闇に包まれようとしていた。
そろそろ今日はもう休もうか。
そう思った瞬間。
周りがパッと明るくなった。
ビルの看板は光り輝き、きらびやかに夜の闇を照らしていた。
ここまで電気が残っていたとは。
予備電源が相当あるんだろうか?
……いや違う。
太陽光発電があった。
もちろんいままでの道の都市にもあった。
だが、おそらく領土の広さを生かし、太陽光発電の効率を最大化しているのかもしれない。
まず、領土が多ければその量だけ太陽光発電を設置できる。
おそらくその量がいままでの都市と比較にならないだけあるんだろう。
俺は久しぶりの明るい夜に興奮を覚えた。
せっかくだし、どこかの店に入ってみようか。
俺は近くの飲食店に入った。
ドアを開けると、カランという鈴の音がなった。
室内はかなり古い見た目だった。なんというか、昭和の店みたいだった。
……昭和ってなんだっけ。
まぁそんなことはどうでもいい。
中にはもちろんお客はいなかった。
バーだったらしく、酒があった。
ワインやウォッカ。
多種多様な酒だ。
俺はその中からワインを一本取った。
俺はよくわからないが、とりあえず高そうなやつを取った。
……おそらく未開封。
放射線を浴びているとは思うが、多分大丈夫。
蓋をポンッと景気良く音を鳴らし、中を飲む。
「プハァ。」
うまい。
酒はあまり飲まない人間だがうまい。
体中にアルコールが回る気がする。
俺はもう一杯飲んだ。
「プハァ。うまい。」
ワインなんて初めて飲むが、すべてこのぐらいうまいのだろうか。
俺はもう一杯煽った。
それからまた一杯。またまた一杯。
またまたまた一杯。またまたまたまた一杯。
「う~~」
まだまだ~まだ一杯~~。
そこで意識は途切れた。
「んはっ。」
俺は目を覚ました。
ここはどこだ?
周りを見渡したらバーだった。
古めかしい内装だ。
手元にはワインがあった。
あぁそうだった。ワインを一気飲みしたんだ。
うまかった。
だが、そのワインは空だった。
というかこれ以上飲んだらだめだな。
俺はそこでいったん区切りをつけ、バーを出た。
外は昨日の夜の明かりに慣れてしまったせいで随分と静かに感じた。
俺はその中を歩く。
随分と寂しく感じるが、また夜になれば同じ感じになるんだろう。
ここは夜だけ動き出す街だ。
そんなことを考え、俺はまた歩き出した。
あのバーのある町から数日。
徐々に自立兵の姿が見え始めた。
一生見たくなかった。
俺はできる限りそいつらと接触を避け、歩いた。
さすがはラフェル。
一つの自立兵の部隊に四脚汎用兵器を一台配備していた。
さらには自立兵は必ず一人にならず最低四人構成。
多いときは十人。
さすがに戦闘になれば負ける。
だから避けているわけだが。
たまに避けれなくなる。
それが現在だ。
運がいいのか悪いのか四人構成。
見つかってしまった瞬間に二人排除。
あと二人と四脚だ。
俺は追っ手を振り切ろうとできる限り狭い、入り組んだ場所を選んで走った。
俺は一気にビルとビルの間に逃げ込む。
相手の目線から外れた瞬間に止まり、銃を構える。
さっきまではビルとビルの間に行ってもこんなことはしなかった。
最初は警戒されて挟み撃ちされたりしたが、何とか強行突破した。
何度か繰り返せばAIは学習する。
こいつは待ち伏せをしないと。
銃は持っているが基本的に戦闘はしないと。
あるゲームには敵がAIを搭載していて、プレイヤーの行動を学習することができた。
それは真面目にプレイすると、敵が強くなった。
だが、わざとバカなプレイをし続けることでAIをバカにするというやり方が編み出された。
それと同じことを今やっている。
さぁ。早く来い。
俺はその場で待ち伏せした。
そいつらは予想通り二人で一気にこちらを見た。
俺はその瞬間に至近距離でそいつの頭に弾丸を打ち込む。
銃声が鳴り響き、自立兵は倒れた。
よしあとは四脚だけ。
だが、おそらくこいつが一番強い。
前の二脚式に使った電磁弾はもうない。
どうすればいい。
俺の銃では装甲は貫けない。
拳で殴り掛かるか。
力なら軍のおかげである。だが、近づけばハチの巣だろう。
だが、入り組んだ場所を選んだおかげで四脚はこちらに来るのに時間がかかる。
考えることはできる。
どこかに行けば運よく落ちてないか?
そんな都合の良いことがあるはずがないか。
俺は頭を抱え、先ほど倒した自立兵を見た。
……あったぞ。打開策が。
おそらくこの角にいることはこいつを倒したことで位置情報が送信され、知られているだろう。
俺はその自立兵の腰についているある武器を取った。
それは何か。
小型の砲弾発射機だ。
もうすでに砲弾は装填されている。
これは爆発で装甲を爆破する奴だ。
もちろん、小型だから射程はかなり短い。
おそらく特攻兵器だ。
それでも最低限の射程はある。
これであいつを殺してやるよ。
俺はそう、覚悟を決めた。
角でいまだに待つ。あれから少し経つ。
あいつはでかいから動きにくい。
それくらい理解している。
俺は作戦に穴がないかどうか、いまだに考え続ける。
まず最初に出てきた瞬間に砲弾発射機を打ち込む。
これで壊れればハッピー。
壊れなければ爆発で少しひるんだ瞬間に装填用の砲弾を爆発後に入れ、銃で起爆させる。
ほんの少しの衝撃で起爆するものではないが、何発か当てればいい。
それで壊れなければ、その時に考える。
……やっぱり最後のところが心配だ。
だが、砲弾を二発も食らって壊れないはずがないと考える。
とりあえずこれでいい。
と、考えを完結させると、図ったかのように足音が聞こえてきた。
四脚の音だ。
さぁ。来てみろ。
砲弾発射機を構え、引き金に指をかける。
角から四脚が出てくる。
その瞬間に引き金を引く。
出てきた瞬間に砲弾が放たれ、四脚は少しひるむ。
俺はその瞬間に近づき、爆破跡に砲弾をねじ込む。
離れ、撃破確認もせずに銃の引き金を引いた。
砲弾が爆発し、一気に狭い路地裏に爆破音がまた響いた。
はぁ。はぁ。はぁ。
一瞬んでかなりの重さの砲弾を扱い、疲れた。
だが、これだけやればさすがに四脚は……。
そう思い、正面を見た。
そこには爆発によって装甲がはがれ、内部まで見えている四脚がいた。
そんな姿であるのに。
四脚の砲塔が動き出した。
「は⁈」
化け物か!
中の機械見えてるぞ!
どうするここからは何も考えてない。
俺はとにかく混乱した。
だからあそこまで力を出せたのかもしれない。
俺は走り、砲塔がこちらに向くまでに近づいた。
そして思いきり、足で露出した機械部分を蹴った。
軍に改造された足は機械をへこませた。
すぐに、銃を持ち、ろくに照準もつけずに発砲した。
狭い路地に銃声が連続して響き渡る。
一つのマガジンを撃ち終わったころ。
そいつは沈黙していた。
はぁ。はぁ。はぁ。
疲れた。
やっぱこういう力が出せるから人の兵士はなくならなかったんだろう。
現在死にかけだが。
ふぅ。
今日はもう移動するのは諦めよう。
そう思い、俺はさっき撃破した四脚にもたれかかった。
機械の熱で背中が暖かかった。
「ふぅ。」
俺はそのまま目をつぶり、寝た。
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