自立型兵器と住宅街と本。
あの農業工場から出て早数日。
「なんでこんなに…」
ここは激戦地でもないはずだが、自立兵が集結していた。
数は100ほどはいるだろう。
まぁ少なくともバレれば死ぬ。
それだけが分かった。
とりあえずほかの道を探そう。
俺はそいつらを避け、目的地の方角に歩いた。
歩く。
隠れながら見る。
迂回する。
それをずっと続けた。
……いくらなんでも多すぎる。
普通、特別警戒状態でもここまでの量はいない。
さっきの集結といい、何かがおかしい。
さらには激戦地以外ではまず見ない、自立型二足戦車までいた。
俺はもうあいつには追われたくない。
まぁ、そんなことはどうでもよくて。
俺はこの大量集結の理由が知りたいと思った。
といっても何かの命令が下されたわけじゃないだろう。
もう軍なんて滅んだ。
なら何が起きた。
AIによる自動作戦立案・実行プログラムが作動したか?
いや、あれは最後にどうあがいても人間の手による承認が必要だ。
そんなことをする奴は誰だ?
いや、ただのシステムの誤作動か?
だが、最後の承認なんて一番誤作動が出ないようにしているはずだ。
いや、まず作戦じゃなくてただ集まっているだけか?
集まっていた方が最前線の後方支援が楽だからか?
それとも最前線だった場所に増援を送るためか?
「なんかむずむずするな。」
気になる。
というわけであいつらがどこに行くのか見届けようと思った。
ここで阻止しなくても別に誰かが死ぬわけじゃない。
とりあえず俺は安全そうな場所に隠れることにした。
集結しているのをただ見ているだけだが、かなりの数が来た。
路地裏にいるのはさすがに危ないと思ったので今はビルの屋上に隠れながらいる。
どんどん規模が大きくなる。
自立型二足戦車が出てきて、ガトリング戦車が出てきて。
自立兵は装甲車に乗り始めた。
装甲車はおそらく35台あった。
1台につき5人が乗る。
つまり175もの兵がどこかへ移動するということだ。
何の大作戦だ?
さらに自立型二足戦車は15機。ガトリング戦車も23機だ。
ガトリング戦車だけ区切りが悪い。
一体この圧倒的な戦力でどこへ行くのだろうか。
今のご時世、電気だって燃料だって貴重だろうに。
数少ないものを消費してまでもうずっと戦闘していない場所に攻め込んでどうするのだろう。
AIはそんなに頭が悪かったはずはないが。
とりあえずこのまま俺は見ていようと思った。
だが、ドローンが飛んできそうで怖かったのでこのビルの一番上の階に逃げた。
「は?」
この集結の流れが変わった。
有人機体が来たのだ。
RD-2 エオツリ
自立型二足戦車に似た見た目だが、武装が根本的に違う。
自立型二足戦車は腕にライフル一丁と右肩に榴弾砲。
砲撃支援なんかを主とするのが自立型二足戦車だが、エオツリは違う。
腕に対歩兵用機銃と対戦車用機関砲を使い分けるライフルに右肩に小型ミサイル。左肩に小型三連迫撃砲。
オルは最前線で人が乗り、歩兵と一緒に戦い、支援し、迎撃する。
つまり最強の汎用型だ。
その強すぎる武装のせいでAIを乗せればもしもが起これば破壊は難しい。だから有人機体なのだ。
だが、なんでこんな終末世界に有人機体が?
なんで人が当たり前のようにいる?
まず人がいるのがおかしい。
さらには人が従軍しているのもおかしい。
まだ大国の連中は戦争しているのか?
核兵器で滅んだはずじゃないのか?
本当にどういうことだ。
「は?」
エオツリが3機になった。
エオツリは本当に危険な時にだけ出る。
どういうことだ。
何をしようとしている。
だが、俺はエオツリに違和感を覚えた。
エオツリは機体に名前を刻んであるのだが、RD-2の名前がない。
RD-2 AI
そう刻まれていた。
AI?あのエオツリにAIを搭載したのか?
大国は何を考えてる?
裏でAI搭載機体を開発していたということか。
本当に今更だが、逃げたい。
なんでここにいるんだ?
俺はバカなのか?何考えてんだ?
だが、今更逃げようとすれば速攻で殺されるだろうからさっさとどっか行くのを待つ。
はやくどっか行け。
ようやくあいつらがどっか行った。
どこに行ったかなんて知らないが、
まぁいい。
さっさと目的地に向かって歩き出した。
さっきの危機的状況はどこへ行ったのか。
今は平穏そのものだ。
だが、ここまで差が激しいのも不思議だ。
だが、それも当たり前なのかもしれない。
俺が今いるこの場所は核爆弾の爆心地だ。
今まで歩いてきた場所は小型核爆弾が落とされた。
だがここ違う。
大国の一番大きな補給路だ。
それを破壊するために大型の核弾頭が落とされた。
おかげでここの放射線濃度が尋常じゃない。
おそらく長くはいられない。
運のいいことに自立兵は放射線で近づくだけで動きが鈍る。
おそらく大きな補給路ということで輸送路にもなっていたのだろう。
それなりに栄えていたんだろうが、核爆弾のせいで更地になっている。
徐々に爆心地に近づいているが、どんどんクレーターが深くなる。
クレーターの底には水が溜まっていた。
雨で溜まったのだろう。
……放射線濃度ってどうなってるんだろう。
そんな疑問が出た。
いや、やめよう。
下手すれば死ぬ。
いくら対放射線手術を受けたとはいえ危険だ。
それに時間もない。
俺は気になる思いを殺し、スルーして先へ歩いた。
あの爆心地を抜けてすぐ。
放射線濃度がみるみる減っているようだった。
さらに離れることで少しずつ生き残った建物が見えてきた。
といっても一番下の部分だけだが。
そんな中、ここには似つかわしくないものがあった。
植物だ。
「気色わるい。」
見た目は緑色ではなく、青色で、ぶよぶよとした下のような形をしていた。
放射線による突然変異だろうか。
俺たち人間のせいで姿を変えられているが、すさまじく気持ち悪い。
本当に申し訳ないが気持ち悪い。
俺はすぐさまその場を走り抜けた。
建物が徐々に見えてきた。
ここは住宅街らしく、マンションが大量に並んでいた。
そういえば今までマンションを見なかったな。
せっかくなので中を見てみる。
住居侵入罪を堂々と犯しましょう。
いや、違う罪になるのか?
まぁ法なんてとっくに意味をなさない。
今更だ。
とりあえず101号室に入る。
まずは一番近いところからだよね。
中は3LDKだ。
まず玄関とキッチンが同じ部屋にあり、次に居間。隣に寝室と思われる部屋があった。
最初にキッチンの冷蔵庫を開ける。
中には合成肉と合成野菜。
「おっ牛乳。」
珍しい。
少し開けてみる。
「くっさ!」
においからして腐ってやがる。
さすがに飲めない。
俺はその牛乳を元に戻し、居間に入った。
そこにはパソコンデスクと小さなテーブル。それと本棚があった。
寝室はベットしかなかった。
パソコンは中が見える形のものだったので見てみる。
……グラボ搭載。ゲーミングだ。
せっかくだし電源ボタンを押してみるが。冷蔵庫が作動していなかった時点でお察しだ。
本棚を見てみるが、生粋のオタクだったのかもしれない。
薄い本がたくさんあった。
わからないならわからなくていいぞ!
それと文庫本。
小説に漫画。多種多様だ。
ところどころ俺が読んだことがある本があった。
俺は適当に本を取る。
題名は「最後の桜に」
俺はページをめくり、読み始めた。
静かな部屋に紙をめくる音だけが小さくなった。
「ふぅ。」
本を読み終わった。
久しぶりの娯楽だった気がする。
内容は恋愛ものだった。
幼いころに桜の下で幼馴染の男子に好きだといい、男子から、二十歳になった時、返事をこの場所で言うといわれた。
何ともロマンチックな話だ。
二十歳になった時、二人は別々だった。
そんな二人が偶然会い、少しずつ近づいていく。
最後には男子の方から「返事遅くなったけど…」
と切り出し、結果、付き合いましたと。
ハッピーエンドだった。
戦争が始まる前はこんな個人間の物語もあったのだろうか。
経験したことはないが、心の底から。
愛おしく、きれいだと思った。
読んでくださりありがとうございます。最近、前みたいな書き方の物語じゃない気がしてきました。読んでくださっている方々はどう思いますでしょうか。前と違う書き方なので面白く感じないのではと思っています。よければ、違う。などの一言でいいので、感想を教えてもらえると今後の話展開などもさらに考えます。よろしければお願いします。




