天国と地獄
柊さんと付き合い始めて俺の中で大きく変わった。
マドンナと言われる女性と付き合えるなんて思ってもなかった俺は自分に自信が持てるようになった。
他にも人生が楽しくて仕方がない。
朝起きてメッセージを送ると返ってくる。それだけで嬉しくて仕方がなかった。
少しそっけないけれどそう言うところも愛おしい。
本当に俺のものになったんだ。
そう思と顔がにやけてしまう。
柊さんも俺のことを考えてくれているだろうか。
「そうだ。デートに誘ってみよう。」
思い立ったが吉日、俺は急いでメッセージを送った。
柊さんはいつも返事が返ってくるまでに時間がかかるけど、俺は寛大だから焦らずに待っていた。
他の用事を済ませていたら返信がきた。
週末ならと、一言だけ。
その一言だけでもうれしくて俺は舞い上がった。
集合場所と時間、それから何がしたいか。なにか欲しいもの、行きたいところはあるかを聞いた。
それからまた忘れた頃に返信が届くまで、俺はずっとデートプランを考えていた。
ため息が止まらない。
どうして。どうして私がこんな奴の相手をしなければいけないの?
携帯が鳴る度に頭が痛くなる。
返信を返さなければ鳴り止まないくらいの量のメッセージが送られてくる。
そっちの方がもっと面倒くさい。
ピコンッ
嫌な音が耳に入った。
またか。そう思いながら携帯を見ると「デートに行こう」と来ていた。
「いやだ行きたくない…」
そう思いながら「週末なら」とだけ送った。
すると秒で「いつどこで何時に待ち合わせする?行きたい場所ある?食べたいものある??ほしいものある?」ときた。
めんどくさい。その一言に尽きる。
一気に聞いてきすぎでしょ。そう思いながらどうしようか考えていた。
その間にも「????」と大量に送られ続けていた。
この人は暇人なのか?
高校卒業して私は大学に進学した。桜木君の進路は確か就職だったような気がしたけれど、こんな毎日毎日四六時中連絡が来る人が働いているとは考えずらい。
「こっちの都合も考えられないの…」
不本意にもいいと言ってしまったからにはなんだか別れずらい。
頑張って嫌われるしかないか。
そう思いながら大学へ行く準備をした。
どうにかなるかわからないけれどためさなければ、この日々が続くのはごめんだ。
この1か月、一度も桜木君に会ってはいない。なんだかんだうまくスルーし続けていた。
けれど着信音だけで私は限界だった。
はやく、この日々から抜け出す。