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ウェリエの聖域:滅びゆく魔族たちの王  作者: 加賀良 景
第1章-人生の分岐点- I
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リアルタイムで一生懸命に書いております。


――俺はあのときからもっと前面に出していれば、きっとこういうことはなかったんだと思う。


――あの時にそうやっていれば、あの後のあれもなかったと思う。


――こんな想いをするならば、望まなければよかった。


――悔やんでも悔やみきれない。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 たすけて。




 古代の歌詞の碑文:炎熱焔の紅緋なる暴毒の魂-パイソ・フォルティーネ-




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 日々を一生懸命に過ごすと月日の流れは早いようで、俺は六歳になった。

 それまでに変わったことといえば、テトが姉さんに愛の告白をしたぐらいだった。


 病気レベルの弟スキーを(こじ)らせている姉さんに愛を囁くのは、無謀としか思えない所業だった。

 生前で読んだ漫画の台詞で「勇気と無謀は違う」と言っていたが、そのときは「ふーん」とまあ言っている意味は分かるよ、と関心した程度だったが、事実その通りだと思えるような展開であった。


 まあ、俺にべったりだからね。

 あわよくば気に入って貰えたら、頬ずりとあの舌でチロチロ舐められる相手は自分に!と思うかもしれない。


 だが、あれは駄目だ。

 俺のモノだ! とかそういうものではなくて、拗らせ過ぎてて逆に危ない。


 寝ているときに抱きついてくるのは一歳の頃からあった。

――姉さんってこういう生き物なんだ、可愛いなー。

 なんて思ってれば、いつのまにか弟を抱きながら『ひとりあそび』をしている。

 俺の耳を甘咬みしながら、姉さんが鼻息荒く艶やかな声と水音を出しており、特有の匂いがするのだ。


 これは危ない。

 五歳ごろの時に思った「血縁関係無ければ襲ってたわー勿体無いわー」なんて言ってたけど、「血縁関係なかったら危ないわ!寧ろあって助かったわ!」と思えるぐらいだった。

 回復魔法(ヒール)をして上げるときも、直接的にしなだれかかってきて理性がトびそうになる。


 俺が指とかを怪我すると無属性回復魔法を使う前に、傷口をチロチロ舐めてくる。

 ヤバい、こいつは危険だ。

 どこで俺は、間違えたのだ。

 エロゲのように選択枝が出てくる人生は素晴らしくイージーなんだなー、と遠い目をしたくなるぐらいに姉さんの弟スキーは、どこで(こじ)れたのか。



 出来れば俺は幼馴染のメティアみたいな子が嬉しい。



 ◇◆◇◆◇◆


 なお、テトは「ならば私の剣を受ければ是とみなす!」とかなんとかを姉さんが言って、俺とのチャンバラで鍛えた殺人木刀でテトの服の左脇のところを木刀で貫いた。

 彼女なりの手加減だろうが、あれは心臓に悪い。

十全(じゅうぜん)(ことわり)』で強化した視界能力で捉えられるレベルなんだ。

 普通の人間には無理だ。

 ましてや六歳程度じゃ特に無理だ。


 で、ここで姉さんが「ミルなら避けた上に、二刀流の剣術で私の首に木刀を当ててくるぞ」と自慢する。

 止めてくれ、姉さん。俺はそれが出来たのは、ほんのたまたまなんだ。

「そんなこといつもやってるよ」的な自慢の仕方はやめてくれ。

 ああん、クラス中の男女の期待に満ちた目が怖い。


 因みに姉さんは、なんとか一刀流という由緒正しい剣術を修めているようだが、俺の二刀流は全く違う。

 生前のネットゲームでアサシンという職に二刀流があった。

 二刀を正眼に構え、回避する壁として相手の(ふところ)に潜り込み、毒に侵しと高速の斬撃で狩る。

 という、スタイルを真似した感じである。


 当然、そんなネトゲなんてこの世界は知らないし、アサシンという単語も生前の世界の固有名詞であるため通じる訳がない。

 そんな二刀流を期待に満ち満ちた目で見られても教えられない。

 そもそも、この剣術は大型の魔物か対人専用で、この村に大型の魔物なんて出た試しがない。

 もちろん、対人に使うとしても二刀流ってだけで一刀流にはない、手首の酷使が予想される。

 普通は出来ない。

 俺は……、まぁうん。黒歴史(ちゅうにびょう)って怖いね。



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