登場人物紹介
◆これまでの「仙境(抄)」
書類の山に心をすり減らす、神織の宮の優秀な巫女・すずさ。彼女のささやかな癒やしは、門前町の甘味処「まるや」のお団子だけだった。そんな彼女の日常は、辺境で『不死の巫女』コトワが『竜のひげ』を砕いたという、お伽話のような報告書から、大きく揺らぎ始める。
神織最強の武官・すいを使者として送るも、コトワの規格外の力の前に完敗。しかし、その圧倒的な力を危険視しながらも、内に取り込むことを決めた宮は、彼女に「九宮」という特別な地位を与える。宮に招かれたコトワは、その超越的な知識と行動で、五家が保ってきた仙境のパワーバランスを、静かに、しかし確実に崩していくのだった。
そんな中、突如として現れた謎の存在「きい」。一宮・くれんの身体を乗っ取った「きい」は、彼女の神器の力を暴走させ、宮の奥山を一夜にして消滅させるという、未曾有の大災害を引き起こす。コトワですら敗北する絶望的な状況下、その脅威を封じたのは、すずさが持つ、誰もが地味だと信じていた神器『封神匣』の力だった。
だが、災厄は終わらない。「きい」が空けた穴から、今度は「神」を名乗る新たな脅威が出現し、天が裂けるという天変地異が仙境を襲う。辛くもこれを退けるが、事件は関わった全ての者たちの心に、深い傷跡を残した。
それでも人々は、それぞれの場所で、それぞれの想いを胸に、再び立ち上がろうとしていた。――しかし、彼らはまだ知らない。封印されたはずの「きい」が、昏睡していた人形師の肉体を得て、月夜の闇へと解き放たれてしまったことを。
仙境の「理」を巡る物語は、まだ始まったばかりである。




