ついに到着 異文化交流 80
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
「皆さんお揃いですね。前回の予備試験を通過していますので、こちらが入館証です。裏はタブレットになっており、買い物や身分証として使用してください。ここは平和な星ですが、身分証を失くすと疑われることになりますので、必ず大切に。
星は中央都市、空中都市、海中都市、山岳地方の四つに分かれています。今日はテニス部も来ていると聞きました。どの都市にもコートは確保済みです」
「わー!」
と部員たちが声を上げる。タブレットには都市の情報が映し出され、移動中も楽しめる仕組み。学生はなるべく同じ場所で行動し、最後には簡単なテストがあるという。
「やばっ、このコート綺麗!」
部長二人が顔を見合わせ、「海 → 空 → 中央都市」の順で行くと決定。
「ついていきまーす!」
と笑う後輩たち。
そこへ副大臣が現れる。
「私もテニスをしているんです。一緒に回っても?」
「どうぞどうぞ」
「まあ年齢的に学生には敵いませんが…」
「またまた、プロランキング入っていたじゃないですか!」
副大臣は笑い、その笑顔を見て、ゆきなは心の中で「この人が将来、日本を背負ってくれたら」と願わずにはいられなかった。
無事、全員が合格ラインをクリア。中央から許可が下り、地球上空を抜けていく
アナウンスが響く。
『宿泊は、皆さまを良い客室にご案内できるよう手配済みです。
長距離移動は高速エアクラフター、都市内は空中タクシーをご利用ください。行き先はタブレットで設定できます』
今回は入れませんが、工場棟の上空を案内し、みることは確認できるとのこと。
「では、地球を出発します。途中までは周囲の景色を映像でお楽しみください。ワープ突入後は機密のため映像を停止し、地球画面に切り替えます。ゲート通過中は都市惑星の映像をフルスクリーンでご覧ください」
土産物は衣類や雑貨系は持ち帰り自由。微妙なものは中央コンピューターで確認可能だという。
⸻
出発後、窓の外には地球の外周が広がる。
「やっぱり、自分の目で見る感動は格別ね…」
そのまま月の近くまで進むと、ISSの乗組員がこの船の速度を計りかねている様子が映る。
『では皆様、ワープに入ります。1分後に映像を停止します』
ワープ突入——周囲の景色が鮮やかに流れ去り、やがて映像は艦長のタブレットだけに切り替わる。音の変化で、ワープを抜けたのが分かる。
火星ではゲートが起動中。
『これよりワープと別の高速システムに移行します』
外見の変化はほとんどないが、再び映像が戻り、光の輪を高速で抜けていく中、銀河が流れるように過ぎていく。科学者たちは頭を抱えて理論を考え込むが——
「まあ、分からないよね」
「今度、エレナ理論を教えて」
「分かりました。私も完全には理解していませんが、可能な限りご説明します」
⸻
『到着いたしました。惑星ノアリエルです』
映し出されたのは、自然と都市が調和した美しい世界。ここは個別に感情を持ったAIロボットたちの星だ。
『皆さまの滞在は、心からのおもてなしでお迎えします。ですが、それに甘えず、敬意ある態度で異文化交流を楽しんでください』
1番ゲートへの誘導が始まり、船は停泊。
「下船希望の方はご自由に。他都市への移動も可能です」
「では最後にご質問等あればどうぞ!」
「はいっ!」
とジャックが手を挙げる。
「このタブレット、移動手段を押せば来てくれるんですか?」
「はい、その通りです」
「もうひとつ。おすすめの宿などもいろんな人に聞けますか?」
エレナが少し笑みを浮かべる。
「可能ですよ。誰でもぜひお話しして、地元の良い場所を聞いてください」
「分かりました。楽しんできます」
ジャックと諸星さんは、まるで親友のように肩を並べて下船。手を振れば、大きく振り返してくれる。そのまま2人は喫茶店へ入っていった。
あの2人なら楽しくおすすめ教えてよと気軽に聞いていそうと答えながらえれなは思った。
次は空中都市へ。
降りたい人が少しずつ下りていき、先生2人もペアで下船。
(いい感じになるといいな…がんばれ)と心の中で応援。
生徒チームは、海底都市へ向けて出発して残った生徒チームは、いよいよ海底都市に到着したのだった。
透き通る海を抜け、程なくして都市に到着すると、みんな一斉に「わー、素敵!」と歓声を上げる。
前回利用したホテルには、すでに全員分の部屋が予約済み。港まで荷物を取りに来てくれたのは、8名ほどのアンドロイドたちだった。水中ゲートで整列し、全員に向かって丁寧な挨拶をしてくれる。
「ほら、みんなもお辞儀しますよ」
ゆきなの声に合わせて、一同も深く頭を下げる。
荷物を預けると、テニス部の道具はホテルのテニスコートへ直送、それ以外はホテルラウンジで保管されることに。
「ありがたいですね、よろしくお願いします」
そう告げると、アンドロイドたちは人間のように嬉しそうな笑顔を見せ、「喜んで」と軽く振り返った。
その様子に場がふんわりと和み、副大臣がぽつりとつぶやく。
「…なんか心が休まりますね。こんな状況が地球でも当たり前になってほしいです」
「まだ日本なら、きっと戻せますよ」
ゆきなの言葉に、副大臣は穏やかに「そうね」と返した。
「ではまずはお昼ご飯を食べるミッションです!自由にタブレット、人に聞いて1時間半後にテニス部はテニスコート集合、理科部のは発電施設の見学ですからね!」
「はーーい」
みんなの元気な声が聞こえ走っていくみんな
横を見ると、副大臣が静かに歩いていた。
「副大臣、ご一緒しますか?」
声をかけると、「ええ、お願いするわ」とにこやかに答え、一緒に歩き出す。
「何を食べましょうか」
タブレットを開くと、料理の系統やカフェなど、色とりどりの選択肢が並ぶ。
画面を見つめながら、ふと副大臣を横目に思う。この距離感だと、下手をするとお母さんと呼べる年齢かもしれない——そんな親しみやすさがあった。
「ゆきなさんは、お母さんともよくお出かけするの?」
「しますよ。お父さんとも。先日は、曾祖母まで一緒に行きました」
笑って答えると、副大臣も少し目を丸くし、そして柔らかい表情を見せた。
地球の方々の評価が始まります! 評価どんな結果になるでしょうか!
素晴らしい評価になると信じてはいますが・・・
皆様★評価★ブックマーク★アクションをお願いします。 増えると嬉しいです♪




