素晴らしい演奏とおもてなしの心 81
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
「家族で食事、曾祖母まで一緒なんていいわね」
副大臣が微笑む。ふと目を留め、
「あ、あのお店…何の店か分からないけれど、なんかいいわね」
視線の先には、ピアノのような楽器が置かれた小さな店があった。
「いいですね」
タブレットでメニューを開くと、お昼のランチコースが表示される。今まで客が来なくても、きっと誰かの笑顔を想像して日々メニューを考えているのだろう。そう思うと、少し胸が切なくなった。
店に入ると、「いらっしゃいませ」と女性店員。
「お二人は音楽、お好きですか?」
「私は大好きよ」
「大臣も大好き」
そう答えると、店員は笑顔で「ではこちらへ」と案内してくれた。ピアノ風の楽器と、外の水中が見える席だ。
「では、このおすすめの日替わりコースを。それと最後にシェフおすすめデザートとコーヒーを」
「承知いたしました」
副大臣も「二つで」と告げ、にこっと笑う。
「あと無料ですが、演奏もお付けしてよろしいですか?」
「もちろん、よろしくお願いします」
奥から「店長、料理入りまーす」「はーい」と嬉しそうな声が響く。
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席に着くと、店員が説明する。
「こちらは水流オルガンです」
「おおー」
やがて、柔らかく澄んだ音色が流れ出す。水の動きが音を紡ぎ、ゆったりとした旋律が空間を包む。
その間に店長が前菜、スープ、メインと料理を運んでくる。メインとパンを食べていると、店長が今度はバイオリンのような弦楽器を手にし、音楽に合わせて演奏を始めた。二つの音色が絡み合い、素晴らしいハーモニーが生まれる。
演奏が終わると、二人で大きな拍手。外で聞いていた後輩たちも加わり、店内は拍手に包まれた。
「いつも練習で2万年ほどやっていました。本当に嬉しいです」
そう言って深くお辞儀をする店員。その女性がデザートを運び、
「素晴らしい演奏でした。またお願いしますね」
と告げると、とても嬉しそうに頷いた。
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「大臣、いいですね。この星と地球、仲良くなれたら最高です」
「本当に。…ただ、人が良すぎるからこそ、連れてくる人は厳選が必要ね」
互いに見つめ合い、穏やかな空気が流れる。
1時間半後、満足した二人は集合場所に到着。ロッカー室で着替え、他の生徒たちも準備中。理科部員たちは海流科学発電施設を見学しており、後で発表する予定だ。
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テニスコートに入ると、外から魚たちが覗く幻想的な光景に「うわああ!」と歓声が上がる。
「今日はスペシャルゲスト、文部科学副大臣・佐々○さんです!」
「わーーーー!」
元プロで、ダブルス世界TOP10入りの経験を持つ副大臣に、みんな整列してお辞儀。
ウォーミングアップ後、副大臣はえれなと打ち合う。
「すごいスピン…これがプロなんですね」
えれなが正確なコントロールで応戦し、副大臣も思わず「すごいわね」と声を漏らす。汗をかき、お互い笑顔でコートを後にした。
次はシャッフルダブルスで全員が入り混じり、和やかな雰囲気に。試合後は自由行動となり、部屋割りは各自の希望で決定。えれなは同級生たちとベッド5つのスイートルームに。
「朝練は6時からよ!」
と部長の声が響く。
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理科部の見学報告によると、海流を外側の筒に導き、100基以上の羽根で高速発電しているとのこと。
「副大臣、一緒に見に行きますか? 今なら水が抜かれているそうです」
「行くわ」
ホテルが用意したワンピースドレスで現地へ。理科部員はノートにスケッチやメモを残しており、その熱心さに感心。
「大臣も素敵ですね」
「はは、メモは癖なのよ。最近は写真が多いから、あまり人前では書くなって言われるけど…内緒ね」
「日本にも設置できるか検討してみるわ。各省への調整は大変だけど」
そこへえれなから連絡が来る
「歴史の舞台を見ながら食事ができるホールを予約しました」
「おっ、いいわね」
「副大臣、この星の舞台と食事のホール、行かれますか?」
「いいわね、よくそんなの見つけたわね」
「今、妹が誘ってきました」
「じゃあお邪魔するわ。…えれな、二人追加で」
「了解です」
返事が届き、二人は笑顔で向かっていった。
「では向かいましょうか」
と副大臣と並んでホールへ向かう。
扉をくぐると、舞台では人魚の物語が始まっていた。透明な水槽の中を泳ぐ人魚役のパフォーマー、その背後にはこの星の歴史が映像として重なる。
物語は、海から始まる星の繁栄へと移り変わっていく。しかし繁栄と反比例するように出生率は著しく低下し、やがてあらゆる分野がアンドロイドによって賄われるようになった。
人口減少は止まらず、資源調達から政治中枢に至るまでアンドロイドが担うようになる。病理研究やナノテク医療は進歩していくが、使われることなく時が過ぎる——。
やがて人口最後の一人が亡くなり、長い停滞期が始まる。
アンドロイドたちは毎日同じ日常を繰り返し、お客様を迎えるためのプログラムだけが残る。その中で道徳的な判断は人間時代のプログラムのまま、数学や計算処理は彼ら自身が日々更新していることが語られる。
「なるほど…こんな経緯で今の姿になったんですね」
副大臣は静かに息をつき、
「悲しいですが、とても考えさせられますね」とつぶやく。
「本当ですね。私たちはその時代に生きていなくても、子孫のために未来を守らなければ」
舞台の照明が落ち、次の演目への幕間に二人は小さく頷き合った。
夕食を終え、みんなで大浴場へ。湯気の中、笑い声が響く。
「若いっていいわねー」
副大臣が湯に浸かりながら微笑む。
部屋に戻ると、大きな窓から見える海底の夜景に感嘆の声。
「本当に素敵ね…まるで違う世界」
副大臣はフロントに内線を入れる。
「すみません、少し大きめの画用紙と鉛筆、消しゴム絵の具類はありますか?」
『はい、ございます。すぐお持ちします』
数分後、「こんこん」とノックの音。画材に加えて、書き込み用の画家机まで運び込まれる。
「さて…やるか」
夜の景色を前に、「人それぞれの幸せの形」をテーマにスケッチを始める副大臣だった。
次回緊急事態が起きます。
どのようなことが起きるかは不明ですが
恐ろしいことです。
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