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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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pv250000記念 特別編 フィアンセ ― エンデからの特別救援依頼

皆様、いつも本当にありがとうございます。


おかげさまで 25万PV を迎えることができました。

こうして物語を読み続けてくださる読者の皆様がいてくださるからこそ、ここまで歩んでくることができました。心より感謝申し上げます。


ちょうど本編では、ゆきなに大きな危機 が訪れております。

その節目として、今回は特別編をお届けしたいと思います。


内容は―― ミルちゃんが来る前の出来事。

今へとつながる過去の一幕を、少しだけ描かせていただきます。


本編とあわせて、楽しんでいただけましたら嬉しいです。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

特別編 フィアンセ ― エンデからの特別救援依頼


エルダンカ魔法学院での生活は、ミルにとって思っていた以上に――いや、想像以上に心地よいものだった。


朝の鐘とともに始まる授業。

昼まで続く魔法理論。

午後には実技、研究、自由課題。


毎日が魔法で満ちている。


それは、幼い頃から魔法に憧れてきたミルにとって、夢そのものだった。


そして何より。


大好きなフィアンセ、エンデがいる。


忙しい合間を縫って昼休みに顔を出してくれる時など、胸が跳ねて仕方がない。


少し乱暴で、少し強引で、でも誰より優しい。


ミルの小さな変化にも気づいてくれる人だった。


校長先生もまた最高の師だった。


厳しい時は厳しい。

けれど、誰より生徒の才能を見抜き、誰より未来を信じてくれる。


そして同級生のまりあ。


王女でありながら、まるでそんな肩書きを感じさせない自然体の少女だった。


以前、二か月近く行方不明になった時は、どれほど泣いたかわからない。


けれど今はまた隣で笑い、同じ机で学び、一緒に課題をこなしている。


この前の魔法融合講座も、本当に楽しかった。


――ただ。


今、そのまりあも、エンデも、ゆきなやえれなと共に銀河連邦の代表会議へ出席している。


ミルは窓辺で頬杖をつき、小さくため息をこぼした。


「……あーあ」


「私も、頼めばよかったなあ」


そう言えない自分が、少しだけ嫌になる。


行きたい。

一緒にいたい。

見てみたい世界がある。


でも口に出せない。


自分さえ我慢すればいい。

迷惑をかけなければいい。


そんなふうに、いつも引っ込めてしまう性格だった。


けれど、エンデだけは違う。


ミルが何も言わなくても気づく。

言葉にならない想いまで拾い上げてくれる。


時には強引に手を引いて、世界へ連れ出してくれる。


「エンデ……なんで今回、一緒に連れて行かないのよ」


頬を膨らませて呟く。


だがその後、ふっと笑った。


「……まあ、あの二人も忙しかったんだろうな」



午後は自由研究の時間だった。


魔法の勉強であれば、何をしてもよい学院でも人気の時間帯。


ミルは迷わず“時読みの塔”へ向かう。


高くそびえる古塔の最上階。

そこは校長先生の研究室であり、希少な魔導書の保管庫でもあった。


ミルはここで校長先生の研究を手伝いながら、自分の一族――ケットーシー族に伝わる秘伝書を解読する時間が大好きだった。


古い文字。

複雑な術式。

何重にも仕掛けられた封印。


一つずつ解けていくたび、胸が高鳴る。


「……ここ、どうしたらいいのかしら」


難しいページを前に、ミルは胸元のペンダントを握った。


返事はない。


けれど、不思議と心に声が浮かぶ。


――こうすればいいんだよ。


エンデの声のように思えて、思わず笑ってしまう。


その時だった。


「なんだい、ミル」


校長先生が眼鏡越しにこちらを見た。


挿絵(By みてみん)


ミルは少し迷ってから、ぽつりと本音をこぼした。


「エンデも……ゆきなさんも、まりあちゃんも……みんなすごい魔法使いですよね」


「そうね」


校長先生は即答した。


「想像を超えるくらいにね」


ミルは視線を落とす。


「私なんて平凡な学生です」


「エンデの婚約者にはなっているけど……私なんて……」


その瞬間、校長先生が机を軽く叩いた。


「何言ってるのよ」


優しいが、芯のある声だった。


「エンデちゃんも、まりあも、努力の塊よ」


「天才って呼ばれる子ほど、人知れず積み重ねてるものなの」


椅子から立ち上がり、ミルの持つ秘伝書を指さす。


「エンデもね、“先生教えてくれよ”って、昔は毎日のようにここへ来てたわ」


「いつの間にか化け物みたいに強くなったけど」


「それでも今も、王宮の何百万年前の魔法書を読み漁ってる」


ミルは驚いて目を丸くした。


校長先生はさらに続ける。


「そして、あなたも同じよ」


「確かに理解力では、今の時点ではエンデに及ばないかもしれない」


「でもね――」


校長先生の目が真っ直ぐミルを見る。


「あなたの緻密な魔法式」


「正確な実効性」


「美しく展開する制御能力」


「そこは、現在の魔法界で一番かもしれないわ」


「……私が?」


思わず聞き返すミル。


校長先生はにやりと笑った。


「まあ、唯一似たような子が近くにいるけどね」


「闇の精霊女王の加護、闇属性、正確無比な術式――」


「いるわっ」


二人同時に名前が出る。


「まりあちゃん」


顔を見合わせ、思わず笑ってしまう。


「ふふ……ちゃん付けするの、私とあなたくらいかしら」


校長先生は窓の外を見る。


「王女も、努力の塊よ」


「叔父上との対立もなくなって、本当に良かった」


「今のあの子、すごくいい笑顔だもの」


ミルは胸の奥が少し温かくなるのを感じた。


自分だけが足りないわけじゃない。


みんな、見えない場所で頑張っている。


そして、自分にもちゃんと強みがある。


そのことを、初めて素直に受け止められた気がした。


胸元で揺れるペンダントを見つめ、校長先生がふっと微笑んだ。


「そのペンダント……エンデとの絆でしょう?」


ミルはびくっと肩を震わせる。


「えっ……」


「そんな高度な共鳴術式、かなり強い制限がかけられているはずよ」


校長先生はわざとらしく指を折って数え始める。


「たとえば――他の女の子に手を出さない、とか」


「浮気禁止、とか」


「ミルを泣かせない、とか」


そう言って、ぱちりとウインクした。


「こ、校長先生っ!」


真っ赤になるミル。

耳まで染まり、しっぽまでばたばた揺れていた。


その時だった。


胸元のペンダントが、急に熱を帯びる。


「……っ!」


淡い金色の光が、鼓動に合わせるように脈打ち始めた。


ミルは息を呑む。


「校長先生……」


「繋がりが……私を呼んでいます」


校長先生の表情が変わる。


「応答してあげなさい」


「あなたの魔力を込めれば、その呼びかけに応えられるわ」


ミルは両手でペンダントを包み込み、そっと魔力を流し込んだ。


次の瞬間――


塔の大窓の外、空一面に巨大な魔法陣が展開された。


一重。

二重。

三重。

四重。


幾何学模様が幾層にも重なり、天空そのものが術式へと変わっていく。


校長先生が思わず立ち上がる。


挿絵(By みてみん)


「まさかっ……!」


「ここから移動魔法で瞬間転移!?」


「銀河連邦までミルを呼ぶつもりなの!?」


あり得ない。

学院から銀河連邦本星までなど、通常の転移術では理論外の距離だった。


「そんな魔力……実在しないはず……」


だが、校長先生はすぐに首を振った。


「……いえ」


「いるかもしれないわね」


震える声で空を見上げる。


「全属性を束ねる存在――光の頂点たる伝説の妖精王」


「そして暗黒すべての加護を与える闇の精霊女王」


「そのどちらか……あるいは両方の後ろ盾があれば……!」


術式はさらに輝きを増した。


そこに描かれていたのは、ケットーシー族の秘宝級魔法式。

王族級の継承者ですら一生に一度見られるかどうかの神代術式だった。


校長先生は感嘆の息を漏らす。


「まさか、こんな場所で拝めるなんて……」


そして、にやりと笑う。


「ミル、あなたの王子様……」


「あなたを想う心は本物ね」


「それに――」


「ケットーシー族歴代最高って評判、やっぱり伊達じゃないわ」


ミルの目に涙が浮かぶ。


嬉しくて。

恥ずかしくて。

愛おしくて。


「ミル!」


校長先生がびしっと指を差す。


「信じて飛びなさい!」


「未来の旦那のところへ!」


「だ、旦那ってぇぇ!?」


顔を真っ赤にしながら、それでもミルは胸を張った。


「はい!」


「私は、いつでも信じています!」


「エンデのことを!」


そう叫ぶと、光の回廊へ向かって駆け出した。


元気いっぱいに。

迷いなく。


その背中を見送りながら、校長先生は優しく微笑む。


「ミル……あなたは幸せ者よ」


「こんな愛、そうそう見られるものじゃないわ」


ふと術式全体を見上げ、頬を引きつらせる。


「……それにしても」


挿絵(By みてみん)


「この魔法陣、見る人が見れば一発でわかるわね」


「術式構成の八割が“純愛”で出来てるじゃないの……」


「恥ずかしすぎるわよ、エンデ……」


天空に咲く巨大な愛の魔法陣。


その先で何が起きたのか――


きっと皆さま、もう想像できていると思います♡

かわいいミルちゃん。


一人の乙女であり、

やさしく、ひたむきで、

ときに不器用で、でもまっすぐ。


そんな彼女は――


とても愛されています。


周囲の人たちに。

仲間たちに。

そして、きっと読んでくださっている皆さまにも。


本編の流れの中では、

どうしても描ききれない想いや、

立ち止まって見つめたい時間があります。


今回はちょうど良いタイミングでもあり、


書きたいけれど書けなかった部分。


そこを特別編として、

描かせていただきました。


ミルちゃんの気持ち。

周囲との関係。

本編では見えにくかった小さな日常。


少しでも楽しんでいただけましたら、

とても嬉しく思います。


物語の裏側には、

まだまだ語られていない想いがあります。


これからも本編とあわせて、

そうした特別編も大切にしていけたらと思っております。


もし気に入っていただけましたら、


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皆さま、いつも本当にありがとうございます。

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