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世界最強の『武術の神』と呼ばれたじいさん若返る。~の感想

【タイトル】

世界最強の『武術の神』と呼ばれたじいさん若返る。10歳の美少年になって無双&ハーレムの二周目人生を堪能します。一方じいさんを追放したギルドは没落し、やっぱり追放しなければよかったと後悔しても、もう遅い


【あらすじ】

ギルドを追放された99歳の武闘家ガーラ。追っ手とのいざこざで殺されてしまった彼だが、なぜか十歳の美少年に転生していた。

武術の神と呼ばれた最強の力はそのままに、十歳の少年としての二周目の人生が始まる。

最強を超えた、さらなる最強へとガーラはどこまでも高みに上っていく。


99歳の武神は10歳に若返り、最強を超えて、さらなる最強へ――。


【感想】

主人公は99歳でギルドから追放を宣告されます。

理由ですが、年老いたため活躍することが出来ないからだそうです。

本当の理由はともかく、年齢を理由にするなら追放などせずとも円満退社的な風に装って追い出せばいいと思うのですが……。

深読みすると主人公の老害ムーブに嫌気がさしたために追い出したとしか考えられないのですが、追放した側は悪というなろう小説の伝統に従い、展開に矛盾が生じようともギルドマスターは凋落します。

追放宣告に気落ちした主人公ですが、帰り道にギルドメンバーに襲撃され命を落とします。

その際の独白でも「全盛期ならたやすく避けられたのに」と言い訳をしています。やっぱり活躍できないじゃん。

追放側の言い分は一理どころか正論そのものだったと証明されたわけですが、作者自らがその証明をひっくり返して質の悪いざまぁを押し付けてきます。


目を覚ました老害ナローシュは、何故か10代の美少年に転生したことに気づきます。

何故かというか、作者が理屈をかなぐり捨てて転生させたといった方が正しいのですが。

熟練の技も若輩の体に耐えきれない……なんてことはなく、全力を出さなければ巨岩を粉砕したり空間を裂いたりできるそうです。転生する必要ある?


転生したナローシュは、もう一度武の道で最強を目指すことを決めます。

普通なら「俺より強い奴に会いに行く」展開なのですが、なろう小説なので「俺より弱い奴しかいないけど、仕方ないからいたぶる。ついでに学園行ったりハーレム作る。」展開になることが十分考えられます。


転生して最初に訪れたのはソルレーザ王国。別名、竜王国と呼ばれる国です。

が、主人公が訪れた時には竜牙兵に襲われている最中でした。

竜牙兵というのは竜の牙から生み出されるモンスターらしいのですが、竜王国が竜に襲われているという意味不明な状況です。

というか、竜王国という割に住民は人間っぽいです。住民の特徴が全く描写されないのでそう思うほかありません。

多くの兵士が逃げ出す中、女騎士一人だけが立ち向かうも多勢に無勢であり、今まさに殺されそうになっていました。

主人公は超高速で助けに入りますが、読者からしたら殺される寸前までその光景を眺めてんじゃねーよとしか思えません。


割って入ったことで一人で敵集団を撃退したナローシュですが、それらは炎竜王の手下であり、この国は炎竜王に脅かされていることを知ります。

つまり、竜王国と呼ばれるのは炎竜王の被害に遭うからってことでいいんですかね?というか、戦力差が圧倒的過ぎて人間側は生活維持できる環境なのでしょうか、これは。

人生の目標が出来たと喜ぶナローシュは、当然竜王を倒しに行きます。弱い者いじめ開幕。

道中で四天王的な雑魚を瞬殺する字数稼ぎを挟み、一瞬で竜王のもとにたどり着くナローシュ。

戦いの最中スタミナ切れするというピンチを演出しますが、数行経てば回復するのか手刀で空間を裂きます。ピンチ演出もただの字数稼ぎでした。

そのまま圧倒するナローシュ。しかしとどめを刺しませんでした。

理由?知らない。はっきり言えるのは、時間がたてばまたあの国は竜王の危機にさらされるということだけです。

「王国と不可侵条約を結んだし、自分がにらみを利かせているから問題ない」とかほざきますが、次の話で「一か所に留まるつもりはない」と国から出ていくつもりのようです。

力はあっても責任感はない。そんなんだから追放されるのではないでしょうか。


そんなことを否定するかのように追放サイドが描かれます。

ナローシュを追放したギルマスですが、若手冒険者たちから抗議されます。

何でも皆ナローシュの世話になったおかげで出世したとのこと。

まあ、ナローシュを暗殺したのは若い少女、つまり若手冒険者なんですけどね。

凋落パートで太鼓持ちを大量導入するも、転生後のナローシュの老害ムーブのせいで説得力が微塵もありません。


新天地にたどり着いたナローシュ。そこでは武術大会が開かれていました。

昔は大会に参加しては優勝し、大会荒らしと呼称されていたらしいですが、転生して若年に戻ったのを契機に参加するそうです。

99年間も無駄に年齢を重ねたせいか、後進に道を譲るという考えは端から念頭にないようです。

若年者の努力の結晶を、チートを振り回すナローシュが横から搔っ攫っていくという見事なまでの老害ムーブです。それでいて追放側を悪に描けると思っているのだからすごい。

どんな神作家でもどっちもどっちに持ち込むのが精いっぱいなんじゃないかな。

大会は年齢制限がありましたが、出場者の一人を軽くひねったために特例で出場できました。は?


大会前に町をぶらついていたナローシュですが、そこで魔族を発見します。

魔族と人類は数十年前に激闘を繰り広げた、天敵と言って良い間柄です。

大戦から50年ほど経って再び現れた魔族が何か企んでいるであろうことは想像に難くありませんが、ナローシュは魔族が去るのをみすみす見過ごします。

一応気配だけで姿は見えていなかったという言い訳はありますが、不意打ちされてたらそこで終わってました。終わってほしかった。


順当に勝ち進みやがったナローシュ。しかし、決勝戦の相手に違和感を覚えました。

覚えたのですが……どこに違和感を覚えたのか描かれません。

私が読む限り、ナローシュに唯一背後を取ったからとしか思えません。

そうすると「チートを持った俺より強い奴がいるわけない!お前は魔族だ!殺されなければいけない敵だ!」みたいに判断したんですかね?

なろう小説においてナローシュより強いキャラは作者があらかじめ消しておくのが定石なのですが、作者の怠慢のせいか何故か登場してしまいます。

相手も相手で、正体を見破られたわけでもないのに自分から正体を明かします。

しかも自己紹介の後に魔族の姦計をべらべらとしゃべってくれます。

なるほど、ナローシュの機知を描けないから間抜けな敵として配置したんですね。間抜けなのは敵だけではないようですが。

戦いの結果?当然ナローシュが圧勝したよ。


間抜けな魔族から宣戦布告をされた人類ですが、対抗するため仲間集めを始めました。

ナローシュが若いころは色々英雄がいたようですが、それらは寄る年波に勝てず既に居ないそうです。(なんでその人たちは転生しなかったんですかね)

普通なら転生前にギルドで面倒を見ていた者たちに助力を求めに行くと思うのですが、最初に見つけたのは弟子ではなく、他国へ移動する途中にいた見知らぬ男でした。

ギルドにいた若手冒険者たちはナローシュの狂信者の如く振舞っていましたが、ナローシュ的には歯牙にもかけない雑魚だったようですね。


魔族が攻めてくるということで、人間側も同盟国と連携し事に当たることを決めました。

が、その使者には外交官ではなく、大会の出場者が各国に伝えに行くというバカみたいな展開になりました。

見た目10歳のナローシュにもその役が与えられている始末。

ちなみに、この時点でナローシュ自身は転生していることを明かしていません。

政治的なことは国に任せてかつての弟子に会いに行けば面白い展開になりそうなのですが、作者的には雑魚弟子より国のお偉いさんに尊敬される方がいいということでしょう。


この後間もなく魔族の強襲が始まるのですが、やたらしょぼい効果音が目を引きます。

例えば炎をまとった隕石が地上に衝突したときの音が

>ど―……んっ!

ですからね。綿よりも密度スカスカな隕石なんですかね。

ちなみに魔族の尖兵と、とある国の魔法戦団が戦端を開きましたが、主人公を活躍させるために魔法戦団はボコボコにされます。もうちょっと戦力バランス考えろ。もう終わりだよ人類。


今後も弱すぎる人類と凋落するギルマスを交互に描かれ続けるので、ここで終わりにしたいと思います。

最後に一つ。

全体をざっと読んだのですが、プロローグで主人公を殺害したギルドの少女は全く出てきません。

名前があったものだから今後も登場すると思われたのですが、主人公を転生させるための舞台装置以上の意味はやはりなかったようです。感想欄でもそう突っ込まれていました。

クー……ソッ!

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