刻下の古代魔法師 ~『魔法の才能がない』と言われて公爵家から追放された俺は、~の感想 後編
【前編のまとめ】
魔法の才能がないとして追放された主人公は、実は領民から好かれていたという設定があったにもかかわらず領民から見捨てられ、街を放浪する羽目になりました。
空腹を紛らわすために寝ていたところ、主人公が魔法を使うに値するか否か、賢者が試練を与えてきました。
結果は最悪一歩手前の反応をしたとのことで、見事合格となりました。
5年間の修行により、現代の魔法の完全上位互換である古代魔法の技術を独占して習得。
そして自分を追放した家族および作者が用意したサンドバッグを粉微塵にする旅が始まりました。
【感想】
コロシアムにて、ルール無用の決闘をすることになった主人公とその兄。
観客として兄が呼んだ1000人ほどの知人が見守る中で殺し合いが始まりました。
兄は先祖より賜った宝剣で戦うのに対し、主人公はフランスパンで応戦しました。
主人公はフランスパンで宝剣と打ち合いますが、何故打ち合えたのか全く説明されません。
恐らく、敵をパン如きに敗れた哀れな道化と描写したかったのでしょう。なろう作家に理屈は通用しません。
剣の打ち合いでは埒が明かないと判断した兄は、魔法勝負に持ち込みました。
一般人が1~2属性しか使えないところ、兄は5属性使用し、さらに人類初の無詠唱で放ちました。
しかし前編で説明した通り、どんなにあがいても主人公以外のキャラは主人公の完全下位互換でしかないため、終始兄を圧倒します。
主人公の魔法で全身を炎に包まれ、もがき苦しむ兄。
その様子を主人公は『あまりにも見苦しく、そして情けない。』と評しています。
全身を焼かれて大火傷を負っても、貴族ならば毅然とした態度でいるべきだと思っているのでしょうか。
もはやこの主人公の感性に同調し、楽しみながら読み進められる読者は存在するのか疑わしいレベルです。
兄は全身大火傷を負い、皮膚はケロイド状に爛れ、髪の毛はすべて燃え、一部は皮下組織が露出している状態でした。
普通そんな光景を目にしたら恐怖するほかないと思うのですが、観客の反応は「醜いな」「バケモノみたいで気色悪い」「ちんこちっちゃい」など、見知った人間が想像を絶するほど酷い目にあっているのを本当に見ているのかと思うようなことを口走ります。
作者は兄の様子をやたら『全裸である』ことを強調しているのですが、髪も服も燃え尽きた人間を見て全裸だと笑い飛ばせるというのでしょうか。
チンパンジーが適当にキーボードを叩いて奇跡的にできた駄文と言われた方が納得できます。
兄にとどめを刺し、勝利を宣言する主人公。
それに対し、最初は兄を応援していた観客は、皆一斉に主人公を称え始めます。
まあ、そりゃそうだ。ここで下手に主人公を非難するような言動をしたその瞬間、作者によって兄のような惨殺される役割を与えられて地獄に落とされるんですから。
舞台がファンタジーから北朝鮮に移った瞬間です。
兄に続き、元婚約者と父に過剰な報復をしに行った主人公。
しかし二人には直接手を下さず、暴動を起こした領民に殺させるそうです。
死んだと知らされていた主人公が実は生きていたのをきっかけに暴動を起こしたらしいですが、理屈が滅茶苦茶で理解できません。
主人公は領民から好かれていたのだから、実は生きていたと知ったなら怒りより安堵すると思うのですが、作者の感性が人間のそれとはかけ離れたものであるのは前述したエピソードから明らかなので、とやかく言っても仕方ないでしょう。
ちなみに領民の数はなんと100万人。日本では仙台市、広島市に匹敵する数です。
10歳の時点でそれほどの大人数から好かれていたくせに、誰一人として主人公が1か月間放浪していたことを知らないんですね。(笑)
復讐を終え、賢者から今後の身の振り方を問われる主人公。
「朝食の後はうんこします」という、つまらない所か不快の極みのギャグを放ちます。そんなに読者をドロップアウトさせたいのかこいつは。
話を戻すと、王立魔法学院とやらに入学して青春を送りたいそうです。
無理でしょ、無理だよ、絶対無理。王立学院という名の精神異常者の隔離施設でもない限りやっていけねえだろとしか思えません。
しかし、実はこれが絶対無敵の主人公を倒す唯一の方法であることは、この時点で私はわかっていませんでした。
ちなみに暴動が起きて領主がいなくなった領地ですが、主人公が実家の財産を持ち出したので、財産を巡った争いは未然に防がれたそうです。
今度は民主カンプチアにあこがれたんですかね。本当にこの錯者は独裁者が好きだな。
試験日を迎えた主人公たちですが、会場で醜い貴族に絡まれます。
まーたサンドバッグかと思われるでしょうが、実はもっと斜め上の存在意義を持ったキャラでした。
最初の試験は筆記試験であり、科目は国語、数学、社会、理科、魔法理論の5科目とのこと。
魔法が幅を利かせている世界で理科が何の役に立つのか、作者は考えていません。
それどころか受験をしたことがないのか、問題が意味不明の極みです。
例えば数学ですが、『X=5であるとき、リンゴはどれくらい木から落ちたか』で、主人公の答えは『10匹のバッタが、リンゴを全て食べた』でした。誰かこの部分の日本語訳知りません?
こんな感じで理科の問題も描かれたのですが、その内容が『魔物と魔獣の違いを答えよ』で、主人公の答えが『魔法を扱って、人間に危害を加える生物が魔物。魔物の中でも、ケモノに近い姿をしているのが魔獣』だそうです。
獣に近いかどうかという、主観が入り混じったクソみたいな分類法でもナーロッパなら取り入れられるのでしょう。
唯一まともそうな問題が魔法理論ですが、その問題で使用された理論というのが、主人公の師匠が間違ったまま提唱し、面倒くさいという理由で訂正されないまま広まった理論でした。
そんなことをする奴のどこが賢者なんだよ。
2つ目の試験は魔法試験でした。
内容は簡単で、魔法を的に当てるだけ。回復魔法が得意な方は門前払いされるのはナーロッパの魔法学院ではよくあることです。
主人公は当然的ごと試験会場を破壊するのですが、それと同時に受験者の使う魔法がしょぼいと見下します。
ナローシュは入学試験の時点で卒業時の実力を求めるのいつものことですが、作者が碌な学生時代を送れなかったからと言って、創作の中の学校を存在意義が疑われる施設にするのはいかがなものかと思います。
3つ目の試験は実技試験でした。
内容は受験生同士で1対1のルール無用の殺し合いです。
主人公が強すぎるなら、相手を殺しても問題ないルールにしてしまえばいいという発想の転換です。
相手は試験前に絡んできた貴族でしたが、戦闘開始直後にドーピングし、自我を失った化け物に変身しました。
ルールだけでなく、相手自体も殺しても問題ないようにしてしまえという作者の機転でしょう。
結果は当然主人公の勝利。それだけでなく、暴れる化け物を犠牲者無しで抹殺したボーナスで合格が確定したうえ、特待生として迎え入れられることが確定し、学費や宿泊費、食費などあらゆる金銭的負担が免除されましたとさ。
きっとあの貴族は隠れたところで主人公を非難したのでしょう。作者によって、踏み台というには生易しい何かにされてしまいました。
当然合格した主人公。それから勝ち組学生生活が始まりましたが、意外な落とし穴がありました。
なろうにおいて学園編というのは非常にエタりやすい展開らしいのですが、本小説も例外にもれず、迷宮授業とやらが始まったと同時に更新が止まりました。
いくら作者から寵愛を受けているとはいえ、話を動かす作者が書くのをやめてしまってはさすがのナローシュもどうしようもありません。
今後更新が止まっている限り、主人公は迷宮の最深部から出ることもできず、そのまま封印されたも同然の状態が続くでしょう。
まあ、この世界の人間からしたらそれが一番のハッピーエンドでしょうが。




