落ちこぼれ剣士、追放されたので魔術師に転向する~の感想
【タイトル】
落ちこぼれ剣士、追放されたので魔術師に転向する 剣士のときはゴミスキルだった『絶対記憶』は魔術師にとっては神スキルでした とにかく楽して生きていきたいので魔法でなんでも自動化したいと思います
【あらすじ】
「記憶力など、剣を振るうのになんの役に立つ! 出ていけ、この無能め!」
剣術と魔術が反目しあう世界。
デュランダルは世界でも有数の剣士の一族に生まれる。
しかし、デュランダルが持って生まれたスキルは『絶対記憶』。
一度見聞きしたものは忘れないというものだったが、力がすべての剣術では役立たずだった。
そのためデュランダルは一族でも最弱、弱肉強食の一族では家事を押しつけられ、外の犬小屋で寝かされ、妹からはからかわれていた。
しかしある日、デュランダルは魔術の入門書を拾い、魔術の楽しさを知る。
家族に隠れて魔術の勉強をしていたのだが、父親に見つかり追放を言い渡されてしまう。
着の身着のままであてもない旅に出るデュランダル。
旅先で魔術の盛んな街にたどり着き、そこで『氷菓姫』と呼ばれるアイスクリンを盗賊の手から助け出す。
アイスクリンが得意とする氷結魔術を、デュランダルは即興でマネしてみせた。
そう、『絶対記憶』のスキルは魔術との相性が抜群。
いちど見た魔術を再現することなどたやすいことだった。
しかもデュランダルは規格外の才能を発揮し、氷菓姫を上回る氷結魔術を放ってしまう。
魔術の楽しさを再認識したデュランは『王立高等魔術学院』に入学。
ライバルたちと魔術を競い、切磋琢磨……するはずだったのだが、デュランダルの魔術は他の追随を許さなかった。
デュランダルはオリジナルの魔術を編みだすようになり、ますます魔術を極め、ついには世界最高の魔術師の座へと登りつめていく。
【あらすじを読んだ感想】
剣術は力がすべてとかほざいていますが、この作品の剣術はリアル中世のように剣を刃物ではなく鈍器として振るっているというのでしょうか。
それで『絶対記憶』とやらの能力で一度見た魔術を再現できるらしいのですが、なんで剣術は再現できないんですかね。どうせ作者の都合でしょうが。
でもってこのネーミングセンスよ。
『氷菓姫』と呼ばれる人物の名前がアイスクリンって……。
さらに魔法学校に入学し世界最高の魔術師とやらになるらしいですが、なろう学園がちゃんとした学び舎として機能することに全く期待できません。どうせイキる舞台以上の意味を持たないでしょう。
【本編を読んだ感想】
主人公は剣士の家系に生まれましたが、その家は弱肉強食(笑)をモットーにしており、食べ物や寝床は奪い合いになっているそうです。
あとから生まれた子供が圧倒的に不利になるうえ、そもそもハングリー精神を鍛えたいなら敵をグループ内ではなく外に設定するべきだと思うのですが、追放側が知恵遅れでないと話が作れないといういつものことです。
主人公は一人犬小屋で魔術の本で勉強していましたが、その本は剣士たちに潰された村の図書館のゴミ捨て場から拾ってきたようです。
未熟な作家がよくやることですが、主人公の強さを際立たせるためにチートを持たせ、賢く見せるために周りの知能を下げ、聖人君子に見せるために周りを外道に描く傾向があります。
今後もこれらの姑息な描写が多々出てくるとあらかじめお伝えしておきます。
あくる日、主人公含めた兄弟が集められ、王立高等魔術学院に入学するよう宣言されました。
「剣士の家なのに魔術学校に行くのか?」と思われる方しかいないでしょうが、この作品では名前こそ魔術学院ですが、すべての職業の養成学校だそうです。
現代で例えるなら女学院という名の共学みたいなものです。名前変えろや。
そもそもなろうテンプレで「冒険者学院」みたいな施設が多々登場するのだから、それを持ってくればいいと思うのですが、最近のなろう作家はそれすらできなくなってきているのでしょうか。
どうせまっとうなオリジナリティのある設定なんか生み出せっこないのだから、従来通りテンプレなぞれよと言いたいですね。
主人公だけ家から勘当されるのですが、魔術に興味があるため結局魔術学院に入学しようとします。追放要素いらねえ。
馬車に揺られて学院のある街にたどり着いた主人公。そこには今まで見たことのないものばかりありました。
例えば『魔導装置』。説明によると、魔術で動く装置だそうです。なんか最近進次郎成分多くない?
などと重箱の隅をつつきましたが、この魔導装置はどうやら街灯やスピーカーと同じ役割をしているようです。
タイトルで「魔法でなんでも自動化したい」とありましたが、これは自動化とは言わないのでしょうか。
主人公を際立たせるために周りの技術レベルを落とすのは未熟な作家がやることと言いましたが、この錯品はそれすらできていません。
町に着いた主人公は、路地裏に人だかりができていることに気づきます。そこでは数人のガラの悪い男が一人の少女に絡んでいました。
誰一人として警備隊みたいなのに通報しないのは、主人公が男たちをぼこぼこにして少女をハーレム要員に加える上、見ているだけで何もしない野次馬と助けに行く主人公という対比で主人公を持ち上げるためですね。この錯品、主人公を何としても持ち上げようという熱意だけは伝わってきます。
相手は8人でしたが、主人公は最強の一族の中で最弱というレベルのため、そこらの有象無象など相手にならないほどの戦闘力を有しています。わかってたよ。
その後、少女が見せた氷の魔法を自分も使いたいと思い、今まで読んだ魔導書を応用すればできるかもしれないと実験しました。
そこらに積んである樽の残骸に向かって術を打ちましたが、つららが出るどころか巨大な氷柱が出現し、樽の後ろにある家を粉々に砕きました。
ですが、その家は取り壊したいのに費用が掛かるために壊せないでいた廃屋でした。
それを木っ端みじんに壊した主人公は家主に感謝されましたとさ。
どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーしても主人公に泥を食わせたくないのでしょう。最早茶番というほかありません。
魔術学院に着き、早速入学しようとする主人公。しかし紹介状がないと入学はできないとのこと。
普通そこは推薦状と称するべきところではないのでしょうか。パーティ会場か何かと勘違いしているのでしょうか。(もしくは「作者がまっとうな作品を書けると勘違いしている系」と言うべきか)
断られるも引き下がらない非常識な主人公ですが、実は先ほど助けた少女はお偉い家の令嬢だったため、その人の権限で入学できることになりました。
そんな重要人物がなぜ一人で路地裏にいたのかだって?どうせ作者は考えてないよ。
でもそんな令嬢には婚約者がいるそうですが、あまり口を利かないそうです。(そりゃ下手に好感度があったら主人公に乗り換える展開にならないからね)
令嬢に話しかけられた主人公に嫉妬した婚約者は、主人公に決闘を挑みます。
ですが婚約者は主人公と比べて大した魔法を使えず、主人公の魔法にぶっ飛ばされましたとさ。
今後も「学校に行く意味ないだろ」としか思えない主人公の活躍(笑)シーンが描かれますが割愛します。
掻い摘んで説明すると、学校の関係者が主人公にあらゆる場面で喧嘩を売りますが、争う前から相手のほうが主人公よりも格下だという描写をしてから叩き潰します。
あまりにもワンパターンなうえ、主人公が学校にいたおかげで成長したと感じる場面が微塵も存在しないため、この錯品の学校もただのイキるための舞台以上の意味を持ちません。
なのでこれ以上細かく話しても仕方なく、詳細を知りたい方は(おすすめしませんが)本編を見るほかありません。
最後に本編で一番気持ち悪いと思った部分を紹介します。
周りがどんなに潰そうとしても活躍する主人公。そんな情勢を作者は以下のように述べています。
>そう……! もはや世界は、選択するしかないのだ……!
>『デュランダル(主人公)側の人間』になるか『そうでない人間』になるか……!
これほんとすごいよね。主人公の敵になるか手下になるかしか選択肢がないんだよ、この世界の人間。
そのうえ敵になったら作者という名のデウスエクスマキナによって落ちぶれるんだから堪ったもんじゃない。
強いてこの錯品のすごいところを挙げるとするならば、ここまでのディストピアはなかなか描けるものじゃないという部分でしょうか。まったく羨ましくないけど。




