山に捨てられた俺、トカゲの養子になる~の感想
タイトルの時点で無自覚無双をすることが安易に予想され、期待しないで読んでみたのですが、中々の突っ込みどころが散見されたため感想を書くことにしました。
【タイトル】
山に捨てられた俺、トカゲの養子になる 〜魔法を極めて親を超えたけど、親が伝説の古竜だったなんて知らない〜
【あらすじ】
主人公ハダルは生まれてすぐ生贄として山に捨てられたが、直後に古竜に拾われ、育てられることとなった。
竜と人間のいいとこ取りをしたような育ち方をしたハダルは、12才にしてあらゆる生物を凌駕する最強の存在となった。
そんなハダルは、ある日古竜に「人間なんだから人間社会で生きる準備をしなさい」と最難関魔法学園に送り出されるのだが──
【あらすじを読んだ感想】
読んだところで別に何の感情も湧いてきません。
どうせチートをひけらかして「すごいすごい」言われるだけの、物語と呼ぶにはおこがましいものだというのは、今まで散々見てきましたからね。
少しは予想を裏切るような展開を書けないものでしょうか。
【本編を読んだ感想】
古龍が捨てられた主人公を見つける所から始まります。
タイトルで「竜と人間のいいとこ取り」と書かれていたのですが、本編では具体的に「ドラゴンは魔力の量、人間は魔法の質で抜きんでている」と書かれています。
それで人間に捨てられた主人公は古龍に育てられるのですが……それって魔力量は人間並みで、魔法の質が古龍相応に成るのではないのでしょうか。
どう考えても「いいとこ取り」とは言えないのですが、「主人公は世界最強」という設定の上に雑に設定を積み上げることに集中している作者は気づくことはありません。
その為人間であるはずの主人公の魔力量は、0歳の時点で古龍の半分に及んでおり、人間に劣るはずの古龍の技術を学んで世界最強になるんですね。
まだ300字読んだだけなのにこんなに設定がガバガバな物は今まで見たことがありません。
ちなみに、大昔にドラゴンの魔法をパクった一人の魔法使いが暴れてドラゴンの数が半分に減らされた歴史があるようですが、
>そんな経緯から、人間は他の下等生物どもとは違い、ドラゴンからも一目置かれる生き物となっていた。
と解説されてます。
「一目置かれ」をドラッグして検索したのですが、「自分より優れていることを認めて敬意を払う」という説明が出てきました。
原因がわからない争いとは言え、種の数を半分にまで減らしてきた存在に敬意を払うってどういう思考回路なのでしょうか。
いきなり宇宙人が攻撃してきて人口を半分に減らされ、その宇宙人に敬意を払えと言われて作者は払えると思っているのでしょうか。
意味が分かってない日本語を調べずに使いたがるのか、それとも倫理観が狂っているかのどちらかですね。ぜひとも前者であることを祈るばかりです。
主人公が4歳になり、魔法の使い方を学ぶようになりました。
まず最初に学んだのは『竜の息吹』。その使い方は
>「魔法陣を脳内に浮かべつつ、『あっちに向かって撃つ!』と意識すれば、魔法は発動することができる。」
で、主人公は魔法を発動し、上空にでかい火炎放射が吹き荒れたそうです。
思っただけで発射できる大量殺戮兵器を主人公に持たせて無自覚無双させるって、設定だけ聞くと本当に頭おかしいなとしか思えません。それって大体の作品では敵として出てきて、最期は主人公たちに倒されるようなキャラだと思うのですが……。
まあ、なろうの場合は変なところで常識が働いて、同胞が傷つくという展開はないんですけどね。
だったら無自覚無双なんてやめればいいんですがね。
主人公が10歳になり、古龍から「寿命延長魔法」なるものを教わり、それで古龍の寿命を延ばしました。
後々やたらと魔法と科学を結び付けたがる展開が続きますが、ガバガバな知識で書かれるくらいならこんなファンタジーチックな魔法だけを出せばいいんじゃないかと思いました。
それで寿命を延ばした主人公は古龍から人間社会に溶け込むよう促されました。
具体的には王立魔法学園なる機関を受験するよう言われました。
つまり「無自覚無双」という名の地獄の始まりと言い換えることが出来ます。
主人公は受験のことを聞かされるまで、何千年も前に書かれた古代の論文や学術書で勉強していたそうです。
しかし、そういった読み物は古龍が人間の姿に変身して人間社会から買ってきているらしいです。
なぜ現代の本を買ってこないのか、それは作者が「なろう作品において、数千年経過したら技術が後退するのは当然だから、主人公だけには後退する前の極上の知識を与えよう」というなろうの深層心理が働いたからだと思われます。
ただでさえ主人公に最強設定を積んでいるのに、それに加えて周りのレベルを落とさないと不安で不安でしょうがないという、なろう作家の臆病な面がよく出ていると思います。
受験内容ですが、大体想像できると思いますが一応説明すると筆記、剣術、魔術という、いつものなろう学園物イキり散らし3点セットです。
剣術ですが、自前の剣か貸し出される剣で試験官と打ち合いする試験です。
主人公は『オリハルコンーアダマンタイト合金』なる、「ああ、とにかく強い剣だと表現したいのね」と思わんばかりの代物を作り出します。
それで試験官に斬りかかり、剣が合わさった瞬間試験官の剣が割れましたとさ。
この状況、試験官の剣が脆いとしか思えないのですが、実は名匠に打って貰った剣だったそうです。
つまり、主人公のチートパワーを受け止められた結果剣が折れたということになり、特にチートをもらっていない試験官は実は強いと思われるのですが、なろう作家は主人公をヨイショすることを第一としているため、そのような伏線が張られることは決してないので安心してください。
次に魔術試験ですが、なんと本作品には「魔法を的に当てたら破壊しちゃった」みたいな陳腐な展開ではありません!
「それが見たかったのに」と思った読者の方も安心してください。入学してからやります。
魔法試験は2種類に分かれており、それぞれ攻撃魔法試験とクリエイティブ試験となっています。
「防御魔法と回復魔法は評価されないのか」とか「クリエイティブ試験というネーミングセンスがださい」といった突っ込みが来そうですが、ぶっちゃけ「主人公が世紀の大発明をしました」の一言で片付く内容なので割愛させていただきます。
ちなみにクリエイティブ試験は攻撃魔法試験より評価されにくいみたいな設定がありますが、それぞれ別のベクトルの能力が要求されるのだから募集条件を分けろよとしか思えません。
しかし、実は作者の思惑が隠されていたのでした。
クリエイティブ試験の方が不利のため、通常の配点に加え「クリエイティブ点」なるものが加算されるそうです。
で、通常は上限で30点与えられるところ、世紀の大発明なので特別に200点!
全科目300点満点のところ、主人公は500点獲得!
主人公は学園史上空前絶後の点数をたたき出しました~!
って展開がやりたかったようです。まあ、勢いは嫌いじゃないよ。
試験の合格発表と入学式の間で、主人公の発明に目を付けた事業主ととある契約を結び、一生遊んで暮らせる額を稼ぎました。
なので学校に行く必要は微塵もないのですが、学生相手にイキり散らすのはどんな大金をはたいてもできない経験なのでしょう。入学するつもりのようです。本当にろくでもねえ。
その後はイキる展開が続くので、残りは突っ込み所のみを抽出したいと思います。
錬金術の授業を受ける主人公。しかし教科書には何を何に変換するかという例しか載っていないことに気づきます。
つまり、魔法陣の変換前の部分と変換後の部分以外はすべて同じ図柄であり、それさえわかってしまえば何でも変換できてしまいます。
主人公は例として空気をオリハルコンに変換しました。
この有機元素を金属に変換できる万能技術ですが、何故か主人公以外の人間は気づきませんし、生活を一変させてしまうような代物ですが、作者には事の重大さが全然、原子レベルでも気づいていないため、これを起点に何かが起こるといったことはありません。
次にインターン中、隣にいたクラスメイトの子が頭痛を訴えてもだえ苦しみ始めました。
主人公が魔法をかけましたが、一時的に症状が抑えれるだけで暫くしたらまた痛み出しました。
そこで原因を解決すべく、臨床診断を行いました。
しかしその内容が明らかに間違っており、「強烈の頭痛の代表例と言えば……脳梗塞だ!」とかほざきやがります。
いくら医学知識がないとはいえ、インターネットという手近な文明の利器があるにも関わらず調べようともしない。だからなろう作家はバカにされるのですが、誰に叱られれば顧みるのでしょうか。
その後聖女が会いたいと訪ねてくる話になりますが、聖女と聞いて「自分が一瞬で発動できる魔法に一時間かける人」と形容します。
主人公の見下しムーブが見られはじめ、ストックに追いついたのでここまでにしたいと思います。
ちなみにその聖女の名前はコロナウイルスワクチンの開発社名を文字ったものですが、寒いことこの上なかったです。




