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独立第八護衛群、出撃ス  作者: アナール学派
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第2話 予期せぬ邂逅

ラ・パウロ海北方 インペリアル帝国極洋派遣艦隊旗艦『バーミリオン』


この日、カクタス帝国艦隊の殲滅を命じられた戦艦8隻を基幹とするインペリアル帝国極洋艦隊はラ・パウロ海をカクタス帝国方面に向けて東進していた。


「敵はリュイシュン要塞から出て来るでしょうか?」

副官らしき人間が、獣耳の生えた高級将校らしき人物へと質問する。


「出てくるだろう?いくら我が艦隊に及ばぬとはいえ奴らの生命線である海上交通をここまで乱してやったんだぞ?」

高級将校は自信深げに答える。


「この第三世界を統べるインペリアル帝国の代行者たる極洋艦隊に敗北などは無い。」

そう将校は言い、誇るように航行する戦艦群を見た。


先頭を航行するのは旗艦『バーミリオン』

1万6000トンクラスの旗艦級戦艦であり、30センチ連装砲を前後に1基づつ搭載している。


後続の4隻は『ミニットマン』『フランゲル』『コンノート』『ダルリンプル』

いずれも1万2000トンクラスの戦艦である。


そして最後尾の4隻は『ハーウッド』『パーッィバル』『マールバラ』『ワイアット』

少し小型1万1000トンクラスの戦艦であり、28センチ連装砲を2基搭載している。


どれも本国艦隊と比較すれば性能の劣る艦ではあるが、第三世界。とりわけインペリアル帝国を中心とした未開拓の世界圈である極洋では、当面の敵であるカクタス帝国相手には不足無い戦力だ。


「敵影発見!距離約18000、艦影大型4、中型4、小型10以上!」

すると、見張りが魔眼を用いた魔力索敵で先手を打って敵を発見した。


「ほう?戦艦は4隻。旗艦『ラ・ルナ』は置いてきたのか?それとも他が不調か?」

カクタス帝国が所有する戦艦は5隻、

その中でも『ラ・ルナ』はカクタス帝国の象徴的な戦艦であり、旗艦を務める戦艦だ。


排水量は20000トン近く達しており、34.3㎝砲を6門備える第三世界最強クラスの戦艦である。


しかし、カクタス帝国は『ラ・ルナ』を除く4隻は性能的にインペリアル帝国の『ハーウッド』級と渡り合うのが限界だ。


「寡兵で出てきただけでも尊敬に値しますな」

副官らしき人間がそう言うと、


「なら我らは全力を以てその心意気を買い、叩き潰すまでだ。」

高級将校は嗜虐的な笑みを浮かべて言った。


「最大戦速!!」

艦長は敵が逃げる前に射程に修めようと、更なる増速を機関室に命令する。


「確実に届かぬ事は分かっているが、左手の手袋替わりだ。打て!」

高級将校の命令と共に、『バーミリオン』の前部主砲が火を吹いた。


もちろん、放たれた2発の砲弾は『敵艦隊』の遥か手前に水中を上げただけに終わる。


しかし、これに対する返礼は苛烈だった


「敵艦隊!発砲!」

魔眼索敵員による報告を受けても、まだ艦橋内は落ち着いていた。

全員が思っていただろう『こんな距離では届かない』と、


しかし、特急列車の通過音のような轟音がその様な思いをかき消していった。


これまで経験したことの無い凄まじい揺れが『バーミリオン』を襲う。

30㎝や28㎝砲クラスではない、明らかに2ランクは上の衝撃だ


これまで和やかな雰囲気であった艦橋が一変、混乱の渦に叩き落とされる。


「そっ、損害報告!!」

まず、最初に混乱から復活したのは『バーミリオン』艦長だ。

彼は自分の職務に対する義務を果たすべく、すぐさま行動に移した。


そして、後部艦橋からの報告が届く

『艦尾大破』『航行不能』


『バーミリオン』右舷艦尾におよそ30度の仰角で命中した46㎝砲弾はその被弾経始を無視した装甲を容易く貫通した後、艦尾を鉞の如く叩き割り、舵と推進機に甚大な損害を与えていたのだ。

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