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王都ダンジョン【百鬼夜行】へようこそ!  作者: 藤原キリオ
第三章 最高位冒険者たち
29/170

28:一方その頃50階では



 【紅の双剣】が五〇階層に到達してから一週間。

 五〇階層の探索はどうかというと、実は五〇メートルも進んでいない。


 ″暗黒迷宮″と銘打たれたそこは、光源が全くなくただただ闇が広がるばかり。

 問題となったのは「ライト」の光魔法がなぜか使えないという事だった。

 回復などの光魔法は使えるが、光を照らす系の魔法や生活魔法でさえも使用不可。


 火魔法で代用するか、ランタンや松明等の道具を常に持ち歩くしかないが、火魔法を延々使うと魔力が尽きる。

 光属性の昭光用魔法とは用途が違う為、消費魔力も異なるのだ。

 おまけに光魔法のように明るくはない。まぁそれはランタンなども同じだが。



 いずれにせよ鈍い明かりを片手に探索しなければいけないというルールの階層だと。

 そこまで判明したのは安全部屋から扉を開けて試した結果であって、まだ一歩も迷宮に足を踏み入れてはいなかった。

 そう、そこまでは良かったのだ。



 明かりを持って恐る恐る侵入する五人。

 どういう理屈か、安全部屋からの明かりが迷宮内に入らない。

 いや、開けた扉の向こうに明るい安全部屋は見えるのだが、その光が迷宮に照らされる事はない。

 一歩踏み入れた先は、真っ暗な床・壁・天井なのだ。


 益々慎重になる【紅の双剣】であったが、五メートルほど進んだところで、全員一斉に落とし穴に掛かった。

 本日の探索終了である。



「……なぜ?」



 復活室での第一声がそれである。



「えっなんか踏んだ?」


「……いや」


「壁も触ってないよね」


「ああ」


「……なぜ?」



 結局、その日は宿に戻り、次の日は作戦会議に当てた。



 一方、四九階層はどうなったかと言うと、それまでの連敗が嘘のように三組の突破者を出していた。

 もちろんそれ以上に敗退者も多いのだが。

 【聖戦の星屑】【三眼の鉾】【天馬の翼】であるが、【天馬の翼】は五人での突破であり、二〇人全員が突破するまで五〇階層を探索する気はないらしく、四九階層を繰り返すらしい。

 という事で五〇階層を探索し始めた【聖戦の星屑】と【三眼の鉾】であるが、【紅の双剣】と同じように五メートル地点でボッシュート。探索終了である。



 何かがおかしい。

 とりあえず理由の解明に動いた【紅の双剣】は簡易装備のみを着用し、死ぬ前提でトラップの原因を探り始めた。


 全員が安価な松明を持ち、目を皿のようにしてゆっくり進む。

 そして五メートル地点。



「あっ!これか!?」



 狩人のジョバンニが声を上げる。

 四人が近寄ると、地上三センチほどの高さに張られた黒く細い糸がやっと見えた。

 頭を地面近くまで下げないと見えない糸。



「これがスイッチ!?」


「まじかよ!よく見つけたな!」


「こりゃ分かんないわ」



 とりあえず警戒しながら五人は糸を越え、少し進んだところで後方の糸に向かって投擲用の小石を投げる。

 糸はプツリと切れ、そこから入口側の全ての床が消えた。

 戦慄する五人。



「うわ……」


「えげつねぇ……」



 それからは糸探しの始まりである。

 少し進んでは壁に張られた糸があり、それを越えるとすぐに床に張られた糸があり、フェイクのように白い糸があるすぐ裏に黒い糸がある。

 そうこうしているうちにシャドウパイソンとジャイアントバットの群れがやって来て彼らは死んだ。

 本日の探索終了である。



「……あいつら糸に引っ掛からないの?」


「……みたいだな」


「えげつねぇ……」



 えげつねぇと思っていたのは観客も同じだった。

 これは攻略に時間がかかる。

 確実に殺しにきているし、装備没収のせいで連続探索も出来ない。

 四九階層を突破するパーティーが多くなり、徐々に罠の位置などをマッピングしていく必要があるだろう、と。


 もしくは、そういった罠や魔物を簡単に突破できる力を持った存在。

 そうなると期待するのは……。



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