27:とあるカオスパーティーの訪問
レレリア、ベン爺、フェリクスの三人は、とりあえず王都の冒険者ギルドに来ていた。
獣王国組の拠点変更と、パーティー申請をする為だ。
そして当然ながらギルド内はパニックになる。
アダマンタイト級が三人でうち一人は隣国の王族である。
受付嬢では相手にならず、ギルドマスター自らが応対するはめになった。
「お前、覚えておけよ……」
「いやいや、俺も被害者みたいなもんだし……」
とりあえずユーヴェは顔なじみのフェリクスに苦言を呈していた。
「しかしアダマンタイト級三人のパーティーとかとんでもないな」
「英雄パーティーは四人全員がアダマンタイトでしょ?」
「あれはパーティー単位での実績だからな。この三人とは話しが変わるだろう」
レレリアの疑問にユーヴェが返す。
「しかしわしら三人とビーツ・ボーエン一人が戦っても勝てるかのう」
「「「それは無理」」」
ベン爺の言葉に皆が即座に返す。
ビーツ自体の強さはないが、従えている連中がヤバすぎる。
仮にレレリアが罠に嵌めてダンジョン外でビーツを攻撃しても、護衛としていつもビーツに付いているクラビーとオロチに防がれて死ぬ。
ベン爺とフェリクスが同時に襲いかかっても一度は確実に防がれ、その隙に【百鬼夜行】を数体召喚されれば死ぬ。
実際どうかは知らないが、彼らの認識としてはそうだった。
「で、パーティー名はどうするんだ?」
「【混沌の饗宴】で」
「なるほど、上手いな」
ドワーフ少女の【アイテムマスター】、白虎獣人の【白爪】、人間とマンティコアの【怠惰】。
確かに混沌とした共演(饗宴)だ。
♦
そしてダンジョン【百鬼夜行】へとやって来た三人。
すでに冒険者ギルドから話しが来ていたらしく受付に混乱はない。
周りの冒険者は騒がしいが。
「あれが噂の【アイテムマスター】か。ドワーフとは言え相当若いな」
「白い虎の獣人って確か王族だけだろ?じゃああれが【白爪】か?」
「マンティコア……って事はフェリクス!?初めて見たぜ」
フェリクスは王都所属でありながら、ほとんど姿を見せない。
それは国王専属である事と、めんどくさいから常に隠密モードに入っている事もある。
さて、受付で登録を始めようかという所で、混乱を聞きつけたビーツがやって来た。
「フェリクスさん!デイド!」
「おー久しぶり……っておい、デイド。お前ビーツに懐きすぎだろ」
「おーよしよしよし」
マンティコアと戯れるダンジョンマスター。
周囲の冒険者は、従魔と触れ合うビーツを思い出し、いつもの事かと納得した。
よく訓練された連中である。
「初めましてね、あたしレレリア。よろしくね【百鬼夜行】」
「わしはベンじゃ。よろしくのう」
「あ、はい。よろしくお願いします!ビーツです!」
軽く挨拶をかわす三人。
フェリクスの紹介で、レレリアとベン爺がアダマンタイト級だと知るとビーツは驚いた。
それはダンジョンの敵として危険だ、という驚きではなく、滅多に見れないアダマンタイト級がパーティーを組んでいる事に対するミーハーな驚きだった。
自分もアダマンタイト級パーティーなのだが。
「へ~、じゃあ三人で潜るんですか。初心者講習はどうします?」
「俺がダンジョン経験者だからなー。俺から説明しとくよ」
フェリクスはオープンした当初に地下五階まで下りている。
目的はデイドの散歩だ。
「撮影権はどうします?許可でいいですか?」
ビーツとしては知人を死なせたくないのだ。
撮影権と不死のシステムについて、フェリクスからレレリアとベン爺に説明を行う。
不死について噂には聞いていたらしいが、本当にそうなのかと確認が行われた。
レレリアはモニターの魔道具と不死のシステムについて教えてくれとビーツに迫ったが「ダンジョンマスターの能力なんで、あはは……」と言葉を濁した。
どういうシステムでどう動いているのかなど、ビーツにも分からないのだ。
モニターなど液晶パネルを創造して配置しているが、その中身などは分からない。
電気もなしに動いているのが謎なのだ。
他にも色々とダンジョン技術を知りたそうなレレリアをなんとか鎮め、【混沌の饗宴】はダンジョン探索を始める事となった。
ダンジョン【百鬼夜行】が出来て、初めてのアダマンタイト級冒険者による本格的な探索である。
管理者側も冒険者も観客も、全てが注目していた。




