↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
74/95

第七十四話 武闘祭

「さぁ皆さま! ついにこの日がやってまいりました! 皆さまが『まだかまだか』と待ち望んだ武闘祭の開催です!」


 テンションの高い実況が、拡声器を通して『ラヴィウスコロッセウム』に響き渡った。

 ここには5,000人が収容できると聞いていたが、空席は見当たらない。


「スゲーな……」


「そうだろうそうだろう」


 俺の隣でジークフリードが満足げに頷いた。


「なぁ……ここにいていいのか?」


「かまわんだろう?」


「いや、かまうだろ……」


 そんな「何が?」みたいに首を傾げられてもだな……。

 俺は、というか俺たちは貴賓席に招待されていた。


「俺が良いと言っているのだからいいのだ。気にするな」


「悪目立ちしてるって言ってんだよ!」


 くそっ! 元『狂帝』の後遺症でもあるんじゃないか?

 当然ながら、貴賓席からはコロッセウム全体が見渡せる。

 ってことは俺たちも見られてるってことだ。


「どちらにせよ、目立つことには変わりないだろう? 今更何を言っているんだ」


 やれやれと肩をすくめるジークフリード。


「一発殴っていいか?」


「いいわけないだろう」


「コホン。ルゥ殿、そろそろ時間ですぞ」


 いがみ合っている俺たちに、老騎士が声をかけた。


「あー、ありがとうございます。それじゃあ行ってくるなー」


 皆からの声援を背に受けつつ、貴賓席をあとにした。


「ルゥ殿、この度はご愁傷さまでしたな」


「……ほんとですよ」


 老騎士が控室に案内してくれている。


「そういえば、今回の参加者って何人くらいいるんですか?」


「そうですなぁ、参加者は全部で3,489人。予選を勝ち残ったのが8人ですな」


「そんなにいたんですか!?」


「えぇ。毎年参加者は増え続けておりますぞ」


 老騎士はフォッフォと笑った。


 おいおい……そんな大会で、予選にも出てない俺が本戦から参加とか……大丈夫か?


「着きましたぞ」


「ありがとうございます」


「それでは、ご武運を」


 老騎士は激励の言葉を告げ、去って行った。

 控室の扉から熱気を感じる……ような気がする。

 嫌だなぁ……。

 覚悟を決めて扉を開けると、中にいた参加者が一斉に俺を睨んだ。


 ……殺気立ってるなぁ。殺したら失格なんだよ?


 俺が入口で立ち止まっていると、背が高くガタイのいい半裸の男が近づいてきた。


「てめぇがコネで潜り込んだ参加者だな?」


「違います」


 …………。


「じゃ、じゃあなんだってんだ!?」


「無理やり参加させられたんです」


「てめぇ! ばかに――」


「してませんよ。事実です」


 …………。


「プッ! アハハハハッ!」


 髪の毛が箒みたいに逆立っている男が突然笑い出した。


「いやー、おもろい坊っちゃんやなぁ。ウルド、こいつはよっぽどの世間知らずか、とんでもない大物か、どっちかやで?」


 そう言いながら、男はウルドの隣に並んだ。


 ウルドは無言で俺を睨むと、踵を返して部屋の椅子へと戻っていった。


「ありゃ? 行ってもうた。……まぁええか。坊っちゃん、ワイ、ヨシヒデいうんや。よろしゅうな」


「ルゥです。よろしくお願いします」


 ヨシヒデは細い目をうっすら開け、俺に問いかけた。


「ルゥがさっき、無理やり参加させられた言うてたん、ホンマなんか?」


「はい。残念ながら」


「何があったんや?」


「すみません、ここではちょっと……」


「ま、そうやな。すまん、今のは忘れてくれ! そろそろ第一試合が始まるころやなぁ……。よかったら一緒に観戦しよか?」


「そうですね。よろしくお願いします」


 特に断る理由もなかったので、ヨシヒデの好意に甘えることにした。

 ……他の奴らに絡まれるのも面倒だしな。


 部屋の奥には壁がなく、武闘場を見渡せるようになっていた。

 俺たちはそこに並べられていた長椅子に座った。


「皆さま大変長らくお待たせいたしました! それでは第一試合、北よりいずるは『筋肉の伝道師』! マッスルエイトー!」


 オォォォォォォ!!!


 実況に合わせて観客席から声援が飛び交う。

 ……待て待て、何だ今の?


「そして南よりいずるは『月光の揺らめき』! フレムーン!」


 キャーーーーー!!!


 うおっ!? 女性人気高っ!

 いや、おかしいおかしい。


「初戦からこの二人の戦いが見られるとは、面白い組み合わせやなぁ」


「は!?」


「……どしたん?」


「いや、なんか紹介の時、変なこと言ってなかったですか?」


「変な……ああ、『二つ名』のことか?」


「二つ名……多分そうです」


「ここにおる奴は皆、持ってんで?」


「えっ!?」


 ……うそだろ? まさか俺も!?


「さすがにルゥの二つ名は知らんけどな。ワイは『殲滅の掃除屋』って呼ばれとるで」


 ヨシヒデは少し誇らしげにそう言った……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。