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久遠の海へー再び陽が昇るときー  作者: koto
第3章 赤い極東
16/24

3-5

マッカーサーを始め、多くの米国軍人が今後の朝鮮戦争の戦略を練る中、会議室の扉は予断なく壊れるほどの勢いで開けられた。

「元帥!横浜港がやられました!港湾設備も爆破された模様です」

「バカな!横浜港は完全に占領済みだったはずだ!!」

「スト参加者がなだれ込んだそうです!現地部隊は避難したと報告が」

「なんということだ……」

 この大規模ゼネストの最悪の展開は武力革命に至る事だ。それは日本政府もGHQも完全に同意だった。今、誰もがその事態が生じたのかと覚悟を決めていた。

 しかし、第一生命ビル眼下で行われているデモ行進の参加者は非武装で、ただ行進を続けているのみだ。参加者には男性のみならず主婦層の女性も多く、子供を戦争に巻き込みたくないという意思の下、産業ストライキにも関わらず共に声を上げていた。


「もはや半島の制圧は時間の問題だと言うことか」

 マッカーサーは横浜港のみが攻撃されたことの意味を理解した。つまり、半島の戦局は北朝鮮の勝利が間近で、GHQ司令部を攻略する必要が無かったのだ。

 半島への支援物資が集積され積み込まれる横浜港をゲリラ攻撃し、貨物船の出航を遅らせる。それによる時間稼ぎで、朝鮮戦争は終結すると北は予測していたのだ。

「北海道のソ連軍はどうか!?」

「国境線からは、ソ連軍兵士に動きなしと報告があります。」

「戦線の拡大は望まないと言うことか」

 ――それでも、道内で大規模な演習をソ連軍は実行中である。いつでも侵攻できると言う圧力を我々に与え続けていることに違いない。


 戦後の軍縮で大きく削られた影響で、米軍の数は半減している。太平洋艦隊で日本近海の制海権を手に入れられる日本と違い、ソ連と国境を接する欧州に米陸軍は集中していた。

 だからこそ、占領に必要最低限な部隊数しか日本には駐留していないのだ。そして、その一部は朝鮮半島で壊滅した。

――唯一の救いは、横浜港の自軍部隊が発砲をせず避難したことか。このことは将来的に役立てられるだろう。

 マッカーサーは、発砲を自制し避難を決断した指揮官には感謝のしようがなかった。もし発砲していたら日米の双方にどれだけの犠牲が生じただろうか。それこそ、共産主義者が台頭した可能性でさえあったのだ。

「我々の現有戦力でゼネストを制圧することはできない。日本政府に鎮圧を命令せよ。」

 そして、半島の勝敗が決するのを控えた今、開戦初期から韓国政府より要請のあった亡命政府についても視野に入れなければならない。


 山口県に6万人程度の亡命政府を作る計画は、あまりにもハイリスクだった。既に多数の密入国者が日本の流れ込み、今後の資金確保のため犯罪行為まで行っているのだ。

しかも、その犯罪行為は日本人に対してのみならず、進駐軍兵士にも行われている。暴行事件などは珍しい事ではなかった。

 ただし、海軍や警備隊などそれを防ぐための組織をGHQが廃止したことから、GHQ側から日本に強く言えない事情もあった。

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